交通事故の解決実績

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【腰部打撲】異議申立てにより後遺障害等級14級9号の認定を受け、裁判により加害者の有責性を立証し勝訴した事例

Dさん 30代・男性・自営業

【腰部打撲】異議申立てにより後遺障害等級14級9号の認定を受け、裁判により加害者の有責性を立証し勝訴した事例

解決事例のポイント

① 腰部打撲のむち打ち症状について、自賠責保険非該当の判断に対して、異議申立てで後遺障害等級14級9号獲得
② 治療期間3か月という保険会社の主張に対して、全治療期間(11か月分)の因果関係を認めさせた
③ 後遺障害等級14級9号のむち打ち症で、裁判基準の2倍となる労働能力喪失期間10年を認めさせた
④ 被害者の過失割合4割という保険会社の主張に対して、加害者の悪質性を立証し25:75の過失割合を認めさせた
⑤ 確定申告上の所得は赤字であったが、休業損害・逸失利益で合計200万円以上を獲得
⑥ 自賠責保険金の回収と合わせて合計約500万円の損害賠償金を獲得

 

事案の概要

Dさんは30代自営業の男性です。

ある日、仕事のため高速道路を自動車で走行していたところ、車線変更をした車に衝突されてしまい、腰を痛めてしまいます。

腰椎椎間板ヘルニアなどの異常所見はありませんでしたが、Dさんの腰痛の症状が取れることは無く、後遺障害診断を受けることになりました。

しかしながら、自賠責保険の判断は、後遺障害等級非該当というものでした。

 

異議申立てによって自賠責保険の非該当判断を後遺障害等級14級9号に変更させる

Dさんが通った病院のカルテや交通事故記録などを取り付け、Dさんの身体に加わった衝撃が大きかったことや、症状の推移に不自然さが無いことなどを異議申立書で立証していきました。

そうしたところ、自賠責保険の当初の非該当判断が覆り、後遺障害等級14級9号の認定に変更させることができました。

 

民事裁判 福岡地方裁判所

加害者は、Dさんの側に責任があるかのような言動を行っていたため、民事訴訟を提起することにしました。

過失割合 保険会社の主張40:60⇒25:75で解決

裁判では、後続車両のドライブレコーダーなどから加害者の運転の悪質性を立証していき、Dさんの過失が少なくとも4割あるとされていたのに対して、25%という過失割合に変更させることができました。

これは裁判所が過失割合の基準として用いている別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(全訂5版)の基準よりも、Dさんによって良い過失割合となっています。

治療期間 保険会社の主張3か月打切りは妥当⇒全期間の11か月まるまる認められる

保険会社は、Dさんのむち打ち症は、3か月程度の治療期間で十分であったはずだと主張立証してきました。

これに対しては、カルテなどを用いて詳細に反論を行い、結果として、Dさんが通院していた11か月分の治療のすべてが交通事故と因果関係があるものとして認められました。

治療期間の認定というのは、保険会社が治療費を打ち切った後の治療費が損害として認められるかという点で重要ですが、その他、休業損害が支払われる期間や通院慰謝料額にも影響してきますので、治療期間が3か月なのか11か月なのかによって、損害賠償額の総額は大きく異なることになります。

後遺障害等級 保険会社の主張非該当⇒後遺障害等級14級9号の認定

保険会社側の弁護士は、Dさんの腰部打撲に基づく腰痛の症状は、しょせん打撲であって、後遺障害等級には該当しないとの主張を行いました。

これに対しては、既に異議申立てによって自賠責保険から後遺障害等級14級9号の認定を受けていること、Dさんの身体に加わった衝撃が大きいこと、症状の推移に不自然さがないことなどを立証し、自賠責保険の判断と同様、後遺障害等級14級9号であるとの認定を受けることができました。

休業損害 赤字申告であったが50万円超の認定

Dさんは、自営業者ですが、赤字申告をしていました。

そのため、交通事故がなかったとしてもそもそも利益が出ていなかったのであるから、休業損害は発生しないとも捉えられますが、今後売上が上昇していくところであったということを立証し、50万円以上の休業損害を認めさせることができました。

逸失利益 裁判基準の2倍となる労働能力喪失期間10年の認定

Dさんの腰痛の程度が重いことから、むち打ち症の労働能力喪失期間の基準である5年では足りないとの主張を行っていたところ、裁判所もこれを認めてくれて、労働能力喪失期間10年の認定を得ることができました。

自賠責保険金額と合わせて合計約500万円の損害賠償金を獲得

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。