裁判 自転車vs四輪車・バイク 膝・脛 骨盤・腿 腰・胸 腕・肘 肩 首 むち打ち・捻挫等 会社員 14級
【捻挫など7箇所受傷】複数部位に14級の認定を受けたことを理由に、逸失利益が裁判基準以上に認められ、保険会社示談提示の4倍で裁判解決した事例
Pさん 40代・女性・会社員
【むち打ちなど7箇所受傷】複数部位に14級の認定を受けたことを理由に、逸失利益が裁判基準以上に認められ、保険会社示談提示の4倍で裁判解決した事例(160万円⇒約640万円)
解決事例のポイント
① 後遺障害等級14級であるが、それが複数あることを理由に、通常の14級よりも高い逸失利益を認めさせた
② 保険会社提示額160万円⇒裁判で約640万円(4倍)で解決
弁護士小杉晴洋の解説
後遺障害等級というのは1級~14級まで定められていますが、交通事故の内容によっては、複数の部位に後遺症が残ってしまうことがあります。
そして、複数の後遺症が生じた場合の後遺障害等級については「併合」という処理を行って、等級を定めることになっています。
具体的には、下記のような基準となっています。
①後遺障害等級5級以上が複数あると、重い等級が3つ繰り上がる。
例1:5級と4級の1つずつ(計2つ)⇒重い方の等級である4級が3つ繰り上げる⇒併合1級
例2:5級が3つ⇒1番重い等級である5級が3つ繰り上げる⇒併合2級
②後遺障害等級8級以上が複数あると、重い等級が2つ繰り上げる
例1:8級と6級の1つずつ(計2つ)⇒重い方の等級である6級が2つ繰り上げる⇒併合4級
例2:4級と6級と7級が1つずつ(計3つ)⇒重い方の等級である4級が2つ繰り上げる⇒併合2級
※例2の場合、後遺障害等級5級以上のものは1つしかないので3つ繰り上がることはありません。
③後遺障害等級13級以上が複数あると、重い等級が1つ繰り上がる
例1:12級と13級の1つずつ(計2つ)⇒重い方の等級である12級が1つ繰り上がる⇒併合11級
例2:8級と11級と12級と13級の1つずつ(計4つ)⇒重い方の等級である8級が1つ繰り上がる⇒併合7級
※例2の場合、後遺障害等級8級以上のものは1つしかないので2つ繰り上がることはありません。
以上のルールとなっているのですが、後遺障害等級14級については、併合による等級の繰り上がりが規定されていません。
すなわち、「14級は何個あっても14級」というのが現在の実務の運用です。
1つの部位に後遺症を残す人と、7つの部位に後遺症を残す人とでは、仕事や日常生活の支障に大きな差が出ることは明らかで、現在の実務の運用は不合理です。
この運用の不合理に対して戦ったのがPさんのケースです。
保険会社からは14級の事案ということで160万円の示談提案を受けていましたが、東京地方裁判所・東京高等裁判所・最高裁判所と戦い、最終的に約640万円で解決しました。
裁判所も、通常の14級の計算方法よりも高い計算方法で逸失利益を計算してくれましたが、私は、これでも足りないと思っています。
Pさんは、保険会社の提示額より4倍程度増額したこともあり感謝してくれましたが、この裁判によって自賠責実務や裁判実務を変えるというところまでは至りませんでしたので、今後も併合14級問題については戦い続ける必要があると思っています。
このケースを元にした講演を行っておりますので、詳しくはこちらをご覧ください。