交通事故の解決実績

後遺障害等級変更 裁判 駐車場 歩行者vs四輪車・バイク 膝・脛 過失割合 主婦 靭帯損傷 14級 12級 素因減額・因果関係

【半月板損傷】【保険会社提示約288万円⇒1000万円で解決】駐車場内の事故による後遺障害等級14級の被害者につき、異議申立てにより半月板損傷12級13号を獲得し、過失0で解決した事例

Mさん 50代・女性・主婦

【半月板損傷】【保険会社提示約288万円⇒1000万円で解決】駐車場内の事故による後遺障害等級14級の被害者につき、異議申立てにより半月板損傷12級13号を獲得し、過失0で解決した事例

解決事例のポイント

① 交通事故による半月板損傷の所見を指摘し、異議申立てで後遺障害等級12級13号獲得
② 保険会社の示談提示額約288万円を裁判によって1000万円まで増額(約4倍)
③ 駐車場内の交通事故で過失割合0:100で解決
④ 変形性膝関節症による素因減額を争われたが素因減額0%で解決

相談前

Mさんは50代の主婦の方です。

駐車場内の通路を歩行していたところ、駐車することに気を取られていて歩行者にまったく注意をしていなかった車にはねられてしまい、右膝を痛めてしまいます。

Mさんは治療を続けましたが、右膝の痛みが治らず、後遺障害診断を受けることになり、加害者側の保険会社を通じて後遺障害等級14級9号の認定を受けました。

保険会社からは示談の話をされますが、Mさんは、後遺障害等級がこれで妥当なのかどうか分からず、このまま示談解決してしまってもいいものか疑問であったため、ひとまず弁護士に相談してみることにしました。

法律相談

法律相談では、まず後遺障害等級についてのご説明を差し上げました。

後遺障害等級の認定方法というのは2種類あり、被害者請求(16条請求とも呼ばれます。)と加害者請求(事前認定とも呼ばれます。)の2つです。

Mさんの件は、加害者側の保険会社を通じて後遺障害等級の申請がされていますので、加害者請求(事前認定)と呼ばれる手続によって後遺障害等級14級9号が認定されたことになります。

加害者側の保険会社というのは、被害者の方に重い後遺障害等級が認定されてしまうと、支払わなければいけない損害賠償金が高くなってしまいますので、重い後遺障害等級は認定されてほしくないという立場にあります。

従いまして、被害者の方の後遺障害等級が重く認定されるようには動いてくれません。

申請の際に出さなければいけない書類は出してくれますが、被害者の後遺障害等級認定の際に有利に判定される任意資料(出さなくてもよいもの)については提出してくれませんし、それどころか、この被害者の後遺症は低い/無いといった否定的な意見を添えて加害者請求(事前認定)の申請をすることすらあります。

加害者請求(事前認定)の被害者側のメリットというのは、①早い・②手続が楽の2点なのですが、どのような申請をしたとしても明らかに後遺障害等級の認定が予測されるようなケースでない限り、適切な後遺障害等級の認定が得たい場合は、被害者請求(16条請求)がおすすめということになります。

とはいえ、被害者の方が自身で、後遺障害等級の申請のための書類を揃えたり、後遺障害等級認定の見立てを立てることは難しいですから、被害者側専門の弁護士に代わりにやってもらうのが適切な対処法です。

Mさんのケースでは、交通事故によって右膝痛が残存したことは認められていますので後遺障害等級14級9号の認定はなされていますが、その右膝痛を裏付ける明確な医学的所見が無いとされ後遺障害等級12級13号該当性は否定されていました。

そこで、果たして右膝痛を裏付ける医学的所見が本当にないのかどうかを精査する必要があり、これを見つけられた場合には異議申立てを行って、見つけられなかった場合には後遺障害等級14級9号の認定を前提とした示談交渉に進む旨、Mさんの説明をし、委任契約締結となりました。

異議申立てによる後遺障害等級12級13号の獲得

Mさんの医学的証拠を分析したところ、半月板損傷のMRI画像所見の存在が確認できたことから、異議申立てを行い、見立てどおり後遺障害等級12級13号を獲得することができました。

示談交渉の決裂

異議申立てにより獲得した後遺障害等級12級13号をもとに示談交渉を開始しました。

保険会社の示談案は、Mさんは元々膝に疾患があったことから後遺障害等級12級13号が認定されたのであって、元々の膝の疾患分は減額されなければならないと主張してきました。

これを素因減額の主張と言います。

また、駐車場内での交通事故の場合は、過失割合は0:100にはならないなどの主張もされました。

示談提示額は約288万円と低額であったことから、Mさんに裁判を提案をし、Mさんの了解を得て裁判をすることにしました。

民事裁判 福岡地方裁判所

過失割合(駐車場内の歩行者vs四輪車)

過失割合の判断は、別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(全訂5版)の基準に従ってなされることが多く、Mさんのケースですと、【338】図に該当することから、過失割合は原告10:被告90という基準になります。

しかしながら、、加害者側が駐車することに夢中になっていて、一切歩行者の動静などを気遣っていなかった点などを刑事記録から立証し、Mさんの過失なしという裁判所の判断を獲得することができました。

素因減額(半月板損傷と変形性膝関節症)

保険会社側の弁護士は、Mさんの右膝痛は、元々有していた変形性膝関節症由来のもので、素因減額がなされるべきであるとの主張を行ってきました。

これに対して、こちら側としては、変形性膝関節症の医学的文献を提示して、変形性膝関節症の症状及び臨床所見を説明しました。

具体的には、変形性膝関節症の場合、

①変形性膝関節症の初期には、歩行開始時や座位からの立ち上がり時に膝の内側に痛みが見られる。
②変形性膝関節症の症状が進行すると、歩行や階段昇降など関節の運動に伴い疼痛が生じる。
③膝の骨の変形が進むと、立位での膝関節屈曲・O脚などが顕著になる。
④触診で関節裂隙の圧痛、関節の腫脹を認める。時に関節液が過剰になり関節水腫を呈する。

といった症状や臨床所見が出るものです。

しかしながら、Mさんの場合、本件事故以前にこうした変形性膝関節症の症状や臨床所見がなかったことを立証し、素因減額の対象となる疾患の域に達するようなものは無かったという主張を行いました。

裁判所もこちら側の主張を全面的に認めてくれて、素因減額0%という判断を示してくれました。

1000万円での和解成立

保険会社の示談提示額は約288万円でしたが、最終的に1000万円での和解解決をすることができました(既払金約810万円除く。)。

弁護士小杉晴洋のコメント:後遺障害等級の申請はプロの弁護士に任せましょう

日本の交通事故損害賠償請求の実務は、後遺障害等級を元にして行われています。

どんなに症状が重症であったとしても、後遺障害等級の認定がなければ、慰謝料などの損害賠償額は低額となってしまいます。

Mさんのケースでは、Mさんが後遺障害等級14級9号の認定を受けた時点で、これで良いのかどうか疑問に思われ、専門の弁護士に相談されたことがポイントであったといえます。

Mさんのケースの相手方保険会社は、後遺障害等級12級13号の認定を受けた後ですら300万円未満の賠償金しか提示してきませんでしたので、後遺障害等級14級9号の場合ですと、100万円台の賠償提案しかなされなかったことが予想されます。

結局、既払金の約810万円(自賠責保険金224万円含む。)を除いて新たに1000万円の獲得ができたわけですから、被害者側専門の弁護士に依頼することによって、後遺障害等級が変わったり、解決金額が10倍以上になるケースというのはよくあることです。

保険会社というのは営利企業ですから、なるべく低い損害賠償額で、早く解決してこようとします。

素人対プロでは勝負は見えていますから、後遺障害等級の認定を受けたという方は、被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

この記事の執筆者

小杉 晴洋
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災などの損害賠償請求解決件数1000件超。

経歴
小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身・福岡市在住。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(当時。現「神奈川県弁護士会」)に登録後(損害賠償研究会所属)、福岡県弁護士会に登録換え(交通事故委員会所属)。