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【TFCC損傷(三角繊維軟骨複合体損傷)】異議申立てにより後遺障害等級12級13号を獲得し、裁判で労働能力喪失率25%を認めさせた事例

Zさん 北九州市・40代・男性・自営業

【TFCC損傷(三角繊維軟骨複合体損傷)】異議申立てにより後遺障害等級12級13号を獲得し、裁判で労働能力喪失率25%を認めさせた事例

解決事例のポイント

① 造影剤を入れてのMRI撮影を実施することにより異議申立てで後遺障害等級12級13号を獲得
② 手首の痛みは整骨院の仕事に大きな支障が出ることを立証し、12級の場合14%とされている労働能力喪失率を25%認めさせた
③ 動いている者同士の交通事故であったが過失割合0:100で解決
④ 示談提示額約480万円⇒裁判で1200万円に増額(720万円増額)

相談前

Zさんは40代男性で、整骨院を営んでいました。

夜間、バイクで帰宅していたところ、Uターンしてきた車にはねられ、手首を損傷してしまいます。

急なUターンで、避けることが困難でしたが、保険会社の担当者からは、動いている者同士の交通事故の場合、過失割合は0:100にはならないという話を聞かされ、物損は10:90で示談してしまいます。

手首の痛みが治らないため後遺障害の申請をしたところ、後遺障害等級14級の認定がなされました。

Zさんは、この等級で良いのか分からなかったため、弁護士に法律相談することにしました。

法律相談

法律相談では、主に過失割合と後遺障害等級の点についてお話をしました。

まず、過失割合については、Zさんの話を伺う限り、こちらとしては避けようがない事故のように思えたので、過失割合10:90ではなく、過失なしを目指しましょうというお話をさせていただきました。

また、後遺障害等級については、手首の捻挫の場合、後遺障害等級14級9号より高い等級が出ることはほとんど無い旨の説明をさせていただきました。

ただし、Zさんの痛がり方かたして、手首の捻挫にとどまらず、TFCC損傷(三角繊維軟骨複合体損傷)となっている可能性があり、TFCC損傷であることを裏付けることができれば、後遺障害等級12級13号に上がる可能性がある旨をお伝えさせていただきました。

裏付けの方法としては、手首に造影剤を入れた上で、MRI撮影を行う方法があると提案しました。

造影剤を入れることで、仮にTFCC損傷がある場合は、損傷箇所から造影剤が漏れることになり、その漏れをMRIで撮影することによって、TFCC損傷を裏付けるという方法です。

造影剤の注入はとても痛いらしいので、Zさんの判断に委ねましたが、身体のことですしちゃんと調べたいとのことでしたので、造影剤を注入してのMRI撮影を実施してもらうことにしました。

異議申立てによる後遺障害等級12級13号の獲得

Zさんに造影剤を注入してのMRI撮影を実施してもらったところ、MRI画像上、造影剤の漏れが確認でき、TFCC損傷の確定診断を得ることができました。

この資料をもとに自賠責保険会社に対して異議申立てを行ったところ、無事後遺障害等級12級13号の認定がなされました(自賠責保険金224万円獲得)。

示談交渉の決裂

異議申立てにより獲得した後遺障害等級12級13号をもとに示談交渉を開始しました。

保険会社の示談案は、一般的な回答で、特段被害者にとって不当と言えるようなものではありませんでしたが、物損と同様過失割合が10:90とされていて、すでにZさんも合意の過失割合なのでこれを変更することはできないと言われてしまい、異議申立てにより獲得した自賠責保険金224万円のほかに480万円を支払うことでの示談を提案されました。

過失割合については納得いくものではありませんでしたし、また、Zさんの仕事は整骨院経営のため、手首の痛みによって施術が上手くできなくなり、客離れが生じていたことから、この賠償額では納得できないとして裁判をすることにしました。

民事裁判 福岡地方裁判所小倉支部

過失割合

被告側からは、別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」に従って、過失割合は原告10:被告90とするべきとの主張がなされ、この点については物損の示談で原告も合意済みの数字であることが指摘されました。

これに対して、物損の示談交渉で合意した過失割合は無関係であることを裁判例を引用して主張するとともに、刑事記録やZさんの供述から、原告に過失はない旨の反論をしました。

そうしたところ、裁判所も原告過失なしの和解案を示してくれました。

逸失利益

逸失利益算定の際の労働能力喪失率というのは、労働省労働基準局長通牒(昭32.7.2基発第551号)別表労働能力喪失率表を元に定められることが多く、後遺障害等級12級の場合には労働能力喪失率14%とされています。

しかしながら、●級の場合●%と機械的にあてはめるのは妥当でなく、被害者の職業や後遺症の部位・程度、交通事故前後の稼働状況等を総合して労働能力喪失率を定めるべきです。

そこで、整骨院業界の資料をもとに手首を損傷した場合の支障について立証するとともに、主治医よりどのような動きで特に痛みが出るのかについて医学的意見書を作成してもらい、労働能力喪失率は14%にとどまらない旨の主張を行いました。

そうしたところ、裁判所もこれを認めてくれて、労働能力喪失率は25%である旨の裁判所和解案が提案されました。

1200万円での和解成立

保険会社の示談提示額は480万円でしたが、最終的に1200万円での和解解決をすることができました(自賠責保険金224万円除く。)。

 

弁護士小杉晴洋のコメント

物損の示談の際の過失割合は後で覆せることがあります

物損の示談交渉は、交通事故後すぐに行われることも多く、弁護士に相談する前に示談をしてしまっているケースもよくあります。

保険会社の担当者は、一度示談をしているのだからということで、物損で合意した過失割合を人損の示談交渉の際も主張してきますが、人損の示談交渉や裁判では、物損の過失割合に拘束される理由はありません。

物損を示談してしまっているが、過失割合に納得いっていなかったという方は、人訴の際にあらためて弁護士に交渉してもらうことをおすすめします。

後遺障害等級の見極めは被害者側専門の弁護士に任せましょう

Zさんのケースでは、造影剤を入れたMRI撮影によりTFCC損傷が判明し、異議申立てによって後遺障害等級12級13号が獲得できています。

こうした手法は、被害者側専門の弁護士に依頼しなければ、なかなか難しいといえます。

実態に応じた逸失利益を主張しましょう

交通事故事案は定型的であると言われることがあります。

確かに、定型的にやろうと思えばできますが、それでは実態に応じた解決をすることはできません。

きちんと証拠をそろえて立証を行えば、裁判基準を超える慰謝料額や逸失利益の認定を受けることができます。

定型的な処理だけをするのであれば小学生でも解決できますので、交通事故の被害者の方は、被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

この記事の執筆者

小杉 晴洋
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災などの損害賠償請求解決件数1000件超。

経歴
小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身・福岡市在住。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(当時。現「神奈川県弁護士会」)に登録後(損害賠償研究会所属)、福岡県弁護士会に登録換え(交通事故委員会所属)。