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【第2腰椎圧迫骨折】脊柱の権威の医師から意見書を取り付け、紛争処理申請により脊柱変形障害8級相当獲得

Jさん 東京都・40代・男性・自営業

【第2腰椎圧迫骨折】脊柱の権威から意見書を取り付け、紛争処理申請により脊柱変形障害8級相当獲得

解決事例のポイント

① 本来後遺障害等級11級にとどまるものを、その実質面に着目し、8級相当の認定をさせた
② 業界の権威の医師に対して医師面談を実施し、意見書を作成してもらう
③ 異議申立てと紛争処理申請の方法選択

相談前

Jさんは40代の自営業の男性で、バイク走行中に進路変更をしたところ、四輪車に衝突するという事故を起こしてしまいました。

Jさんは救急搬送され、総合病院に2週間入院し、第2腰椎圧迫骨折の診断を受けます。

その後、自宅近くの整形外科に通ってリハビリをし、半年強の治療期間を経て症状固定となりました。

後遺障害診断書を書いてもらい、後遺障害等級の申請を行ったところ、「脊柱の変形障害については、提出の画像上、本件事故外傷による明らかな第2腰椎圧迫骨折が認められることから、『脊柱に変形を残すもの』として別表第二第11級7号に該当するものと判断します。なお、腰痛の症状については、前記等級に含めての評価になります。」との認定を受けました。

Jさんは、この後遺障害等級11級7号という等級が妥当かどうか分からなかったため、弁護士に法律相談することにしました。

法律相談

Jさんがお持ちになった資料を見ながら、後遺障害等級が上がるかどうかのチェックをします。

Jさんの症状を確認したところ、脊髄損傷の症状はなかったことから、痛みや痺れについて後遺障害等級を争うという可能性は無いと判断しました。

また、Jさんは、胸腰椎が動きづらくなっているわけではなりませんでしたので、脊柱の運動障害の線も無くなりました。

そうすると、Jさんの第2腰椎圧迫骨折の評価が後遺障害等級11級7号の変形障害で良いのかという点に絞って検討をすることになります。

Jさんが一部保有していたレントゲン撮影画像を確認したところ、圧迫骨折が生じているのは第2腰椎のみであり、また、側弯は生じていませんでした。

そうすると、後遺障害等級6級5号の線もなくなり、あとは後弯による後遺障害等級8級相当の該当性のみが問題となってきます。

後弯による後遺障害等級8級相当にあたるというためには、脊柱圧迫骨折や脱臼等によって、1個以上の椎体の前方椎体高が減少して、後方椎体高の1/2以下になっていることが必要です。

簡単に言うと、圧迫骨折によって第2腰椎の前の方が潰れて、第2腰椎の後ろの高さの半分にならないといけません。

しかしながら、Jさんの第2腰椎の画像を見ると、第2腰椎の真ん中あたりは大きく潰れているものの、前の方は潰れておらず、前方椎体高が後方椎体高の1/2にはなっていませんでした。

したがって、後遺障害等級8級相当の要件に該当せず、後遺障害等級11級7号が妥当であるということになります。

ただ、1つ気になるのが、前方椎体高の減少はないものの、真ん中あたりは大きく潰れているという点です。

Jさんは、常に腰を丸くするような姿勢でいて、後弯が生じているようにも思え、この真ん中の圧潰を元に後遺障害等級8級相当を獲得することができないか検討することにしました。

そもそも、後弯というのは、簡単に言うと、前方椎体高の減少によって、圧迫骨折が生じた椎体より上の椎体が落っこちてきてしまい、背中が丸くなってしまうという様なものですので、椎体の真ん中が大きく潰れてしまった場合であっても、その潰れた箇所に上の椎体が落っこちてきてしまい後弯が生じるということはあり得るのではないかという疑問が生じたのです。

Jさんが通っている家の近くの先生では専門的な判断はできないと考え、脊柱の権威の医師を紹介し、そちらの先生にJさんの第2腰椎圧迫骨折の具合を見てもらうことにしました。

脊柱の権威の先生との医師面談の実施や意見書の作成

前述の見立てを持ちながら、Jさんのような画像所見であっても後弯が生じるのかについて、脊柱の権威の先生に医師面談をしてもらいました。

画像や診断書類などを見てもらったところ、脊柱の権威の先生の回答は下記のようなものでした。

① 第2腰椎には著明な椎体高の減少が認められ、かつ、同椎体の中央部には強い圧潰性変化が生じいてる。

② 通常の椎体骨折後の楔形変形は前壁の短縮が高度な像を呈するが、第2腰椎圧迫骨折後のJさんの第2腰椎椎体の前壁は、画像上残存してはいるものの、交通事故の影響により前方に飛び出していて、第1腰椎椎体を支える機能を果たしておらず、①のとおり中央部において強く圧潰した箇所に第1腰椎椎体が沈んで後弯が生じている。

③ Jさんの圧迫骨折の程度はSQ法で楔状変形型のグレード3であると考えられ、Jさんの第2腰椎に係る後弯の程度を評価するにあたっては、第2腰椎椎体の前方部において最も圧潰されている箇所を前方椎体高とし、同椎体高と後方椎体高を比較して考えるべきである。

④ Jさんの椎体高を測定したところ、前壁17.4㎜、中央部9.5㎜、後壁31.85㎜となり、さらに前壁の背側の催促端部は6.75㎜であることが確認された。このことからJさんの楔状変形の程度は17.4/31.85=0.54ではなく、6.75/31.85=0.21とすべきであり、上記圧潰箇所は後方椎体高の約1/5の高さであるといえる。

以上のお話を頂けたことから、お伺いした内容をこちらで意見書案として作り、その案を先生に修正していただいて、上記内容の意見書を完成させることができました。

異議申立てや裁判ではなく紛争処理申請へ

形式的には後遺障害等級8級相当の要件を満たさないことから、異議申立てをしたとしても、最初の判断と同様、11級7号にとどまるのではないかということが懸念されました。

他方で、訴訟を提起すると、解決まで長期化することが予想されたことから、異議申立てでもなく裁判でもなく、紛争処理申請を行うことにしました。

紛争処理申請をすると、学者や弁護士などの有識者で構成される紛争処理員会によって後遺障害等級該当性を判断してくれますので、Jさんのように、形式的要件の該当性判断ではなく、実質面に着目すべきケースでは、この紛争処理申請の方が適しているのではないかという判断です。

なお、紛争処理申請は、東京と大阪で行うことができますが、大阪の場合ですと、追加証拠を出すのであればまずは異議申立てをしてくださいとして申請を断られてしまうことがあり、東京の方が柔軟に対応してくれる印象です。

紛争処理申請の内容

紛争処理申請の要旨は下記のとおりです。

自賠責保険の認定では、後遺障害等級11級7号に該当するとの判断がなされているのみで、Jに後弯が生じていることについては一切触れられていない。

しかしながら、以下のとおり、Jには、後遺障害等級8級相当の後弯が生じている。

提出した意見書作成の医師によれば、前方に飛び出してしまっている前方椎体高は17.4㎜、後方椎体高は31.85㎜ということであり、減少した椎体の後方椎体高と減少後の前方椎体高との差が14.45㎜であって、減少した椎体の後方椎体高の約45%に過ぎないことから、「減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個あたりの高さの50%以上である」という労災補償障害認定必携237頁の要件をわずかに満たさず、形式的には「前方椎体高が減少」したとはいえないことになる。

しかしながら、本件における第2腰椎圧迫骨折後の椎体の前壁は、画像上残存しているように見えるものの、交通事故の影響により前方に飛び出していて、第1腰椎椎体を支える機能を果たしておらず、中央部において強く圧潰した箇所に第1腰椎椎体が沈んで後弯が生じている。

提出した意見書作成の医師によれば、Jの圧迫骨折の程度は、SQ法で楔状変形型のグレード3であるとされ(なお、グレード3が最も重い圧迫骨折の程度である。)、Jの第2腰椎の変形の程度を評価するにあたっては、第2腰椎椎体の前方部において最も圧潰されている箇所を前方椎体高とし、同椎体高と後方椎体高を比較して考えるべきであるとされている。

本件では、前壁背側の最短縮部を前方椎体高と捉えると、減少した椎体の後方椎体高(31.85㎜)と減少後の前方椎体高(6.75㎜)との差が25.1㎜となり、減少した椎体の後方椎体高の高さの約79%となることから、「減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個あたりの高さの50%以上である」という労災補償障害認定必携237頁の要件を満たし、「前方椎体高が減少」したといえることになる。

したがって、「脊柱に中程度の変形を残すもの」として8級相当に該当する。

調停(紛争処理)結果要旨

上記の紛争処理申請を行ったところ、紛争処理委員会は下記の判断を示しました。

本件事故当日の画像では、明らかな第2腰椎の新鮮圧迫骨折が認められた。

その後、圧迫骨折部の強い圧潰性変化が進行し、圧潰部の椎体高の減少による後弯が生じているが、その椎体前壁部は第1腰椎下部椎体よりも前方に出た状態で傾斜しており、前方支持機能を保持しているとは認め難く、前壁後部の圧潰した椎体部で前方支持機能を保持していると捉えられる。

したがって、本件の後弯の程度については、第2腰椎椎体前壁部の圧潰部を減少後の前方椎体高として、後方椎体高と比較することが妥当であると判断する。

そうすると、本件については、第2腰椎椎体の減少した椎体の後方椎体高と減少後の前方椎体高との差が、減少した椎体の後方椎体高の高さの約50%以上であり、後弯が生じているものに該当すると捉えられることから、認定基準に照らし、脊柱の変形障害の第8級相当と判断する。

弁護士小杉晴洋のコメント:医師の力を借りることができれば、自賠責の要件が覆ることがあります

本件は、形式的に考えれば、後遺障害等級が変更されることは無いケースです。

しかし、Jさんの腰が明らかに曲がっている、画像を確認したところJさんの第2腰椎の前壁は変に飛び出していて、真ん中が大きく凹んでいるといった素朴な疑問が生じるケースでした。

このような素朴な疑問を大事にすると、結論が変わってくることがあります。

もちろん、素朴な疑問を有しているだけではダメですが、特に、後遺障害等級認定の場面では、病院のお医者さんの元へ足を運び、医師面談を実施することによって後遺障害等級変更のための手がかりをつかめることが多いです。

当事務所では医師面談や、それに伴う医学的意見書作成を積極的に行っております。

無料の法律相談を実施しておりますので、後遺障害等級の結果に納得がいかない、この等級で妥当なのかどうか分からないといった方は、お気軽にご相談ください。

この記事の執筆者

小杉 晴洋
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災などの損害賠償請求解決件数1000件超。

経歴
小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身・福岡市在住。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(当時。現「神奈川県弁護士会」)に登録後(損害賠償研究会所属)、福岡県弁護士会に登録換え(交通事故委員会所属)。