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【右脛腓骨開放骨折等】医師面談により後遺障害診断書を修正してもらい、腓骨神経麻痺や偽関節による後遺障害等級6級認定

Gさん 福岡市・30代・男性・会社員

【右脛腓骨開放骨折・右総腓骨神経障害・右足関節拘縮等】医師面談により後遺障害診断書を修正してもらい、腓骨神経麻痺や偽関節による後遺障害等級6級認定

解決事例のポイント

① 医師は後遺障害等級認定のプロではない。後遺障害診断書に書き漏れがあれば修正してもらう。
② 後遺障害等級12級が考えられるような後遺障害診断書に対して、弁護士が腓骨神経麻痺やそれに伴う足指の自動運動制限、また、偽関節の加筆を医師に促し、後遺障害等級併合6級を獲得。
③ 後遺障害等級の方針を立てる際は相当と併合の関係も意識する。
④ 示談交渉では担当者決裁のみならず、本部決裁や役員決裁も頭に入れながら行う。
⑤ 訴状を用いた交渉により5500万円で示談解決

相談前

Gさんは30代の会社員男性で、バイク事故に遭ってしまいました。

右脛骨や腓骨の開放骨折、右第3・4中足骨骨折の傷害を負い、入院することになります。

Gさんの治療は3年弱かかりましたが、完治することなく、症状固定を迎えました。

通っていた整骨院の先生から、酷いケガだし、一度弁護士の先生に話を聞いてみたら?と言われ、弁護士に相談することにしました。

法律相談

Gさんは症状固定を迎え、後遺障害診断書を書いてもらっていたため、それを見せてもらいました。

そこには、自覚症状として、右足の関節の痛みが書かれています。

しかしながら、Gさんに、実際の症状を聞くと、右足関節以外にも痛みが生じていたのと、右足が垂れ下がるような症状を呈していたことから、骨折をした部位や程度から考えると、腓骨神経麻痺が疑われる状態となっていました。

腓骨神経麻痺により足指が自分では動かしづらくなっていましたが、足指の可動域制限の記載もありません。

また、Gさんが一部保有していた骨折部のレントゲン写真を見ると、明らかに偽関節が疑われる状態となっていましたが、偽関節の記載が「長管骨の変形」の欄に記載がない状態となっています。

この後遺障害診断書では、後遺障害等級12級程度にしかならない可能性があると考え、弁護士介入の上、後遺障害診断書の訂正や後遺障害等級の申請を行った方が良いという結論に至り、受任しました。

後遺障害診断書の訂正

1 医師面談の準備

後遺障害診断書の訂正ができるのであれば、した方が良い事案であると考えていましたが、訂正のお願いは1回勝負ですので、その前にできる準備を行いました。

具体的には、Gさんが3年弱の間に通った病院の医証を取り付け、それの分析を行います。

分析が終わった後は、いよいよ後遺障害診断書の訂正お願いのための医師面談になります。

2 医師面談

主治医の先生にアポイントを取り、医師面談を実施します。

医師面談の際には、事案を頭に入れることや、考えられる後遺障害等級の要件を頭に入れておくことは当然ですが、それに加えて、お会いする先生の経歴や論文なども調べておきます。

今回お会いする先生は、かなり脚の骨折について詳しいことが予想されましたので、こちらとしても緊張する医師面談となりました。

傷病名の追記(右総腓骨神経障害・右足関節拘縮・右第3~4中足骨骨折の追加)

最初に作成された後遺障害診断書の傷病名欄には、右脛腓骨開放骨折と記されていましたが、本当にそれだけなのかについてお話をお伺いしました。

先生は後遺障害診断書の訂正にはやや消極的な立場をにおわせておられましたが、救急搬送先となるGさんが通っていた他院の診断書には、右第3~4中足骨骨折の診断名が挙げられていることを指摘すると、他院で挙げられていたものは挙げないといけないねということで、右第3~4中足骨骨折の傷病名を追加することを約束してくれました。

次に、Gさんは、右足関節について動きづらさが生じていたのですが、その原因についてお伺いしました。そうしたところ、それは右足関節拘縮が原因として考えられるとのことでしたので、右足関節拘縮も傷病名として挙げてもらいました。

最後に、Gさんが自動運動(自分で動かすこと)では、右足指を動かしづらくなっていることについての話をし、腓骨神経麻痺は考えられないかという質問をしました。そうしたところ、骨折の態様からして、腓骨神経麻痺を生じるような骨折をしていて、足指の動かしづらさは間違いなく腓骨神経麻痺(右総腓骨神経障害)から来ているとの説明をしていただきました。そこで、右総腓骨神経障害も傷病名として挙げてもらうことにしました。

自覚症状の追記(右膝痛、右足趾痛、右下垂足等の追加)

最初に作成された後遺障害診断書の自覚症状欄には、右足関節痛の記載しかありませんでしたが、Gさん本人曰く、右膝や右足指にも痛みがあり、また、右足が垂れ下がるような症状が出ているという説明をしました。

そうしたところ、この欄は自覚症状欄なので、基本は患者さんの申告の症状を書くものであるし、骨折の内容と整合する症状なので、すべて追記すると言ってもらえました。

他覚症状および検査結果の追記(偽関節・腓骨神経障害・関節拘縮の説明の追加)

傷病名や自覚症状があれば後遺障害等級が認定されるというわけではなく、画像所見や検査所見から医学的に裏付けられることが必要ですので、なぜ偽関節・腓骨神経障害・関節拘縮になっているといえるのかについて教えていただき、それを追記していただきました。

さすが専門の先生ですので、こちらも勉強になるお話をお聞かせていただきました。

長管骨の変形の追記(仮関節・偽関節)

長管骨の変形欄が空欄になっていたので、偽関節であることを追記していただきました。

可動域制の追記(足指の可動域制限)

先生によれば、こちらの見立てどおり、腓骨神経麻痺により足指が自動運動で動きづらくなっているとのことでしたので、足指の可動域についても測定の上、追記していただくことにしました。

指の関節というのは、親指が2つ、第2指~第5指がそれぞれ3つあり、かつ、自動値(自分で動かした場合に何度動くか)と他動値(先生が動かした場合に何度動くか)を測定しなければならないので、28回の測定をしなければなりません。

加えて、可動域制限は、原則として、健側(ケガをしていない方)と患側(ケガをした方)の比較において後遺障害等級判定をすることになっていますので、左右両方の測定をしなければならず、計56回の測定が必要になります。

これは大変な手間ですので、嫌がる先生も多く、省略されがちなのですが、Gさんの後遺症を適切に判定してもらうには必須のことであると説明し、なんとか測定の上、追記していただけることになりました。

自賠責による後遺障害等級の認定(併合6級)

偽関節8級9号(短縮障害を含む。)

後遺障害診断書の追記の甲斐あり、偽関節で後遺障害等級8級9号が認定されました。

なお、Gさんには2㎝の短縮障害(後遺障害等級13級)も残っていましたが、これは通常派生関係にあるものとして、偽関節の後遺障害等級の中で評価されます。

足関節の著しい機能障害10級11号(右足関節痛を含む。)

Gさんの右足関節の背屈・底屈の動きは、左足関節のそれと比べると1/2に制限されていたことから、「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」として、後遺障害等級10級11号が認定されました。

ただ、可動域制限の数値が出ているだけでは後遺障害等級の認定はされませんが、右足関節拘縮の説明をしていただいておりましたので、医学的な裏付けもありと判断されるに至りました。

なお、Gさんには右足関節痛(後遺障害等級12級)も残っていましたが、これは通常派生関係にあるものとして、機能障害の後遺障害等級の中で評価されます。

右足指全部の用廃9級15号

Gさんの足指の可動域は、自動運動にて、すべての右足指が左足指と比べて1/2しか動かなくなっていたので、「1足の足指の全部の用を廃したもの」として後遺障害等級9級15号が認定されました。

ここで重要なのは、自動運動(自分で動かすこと)の左右比較で、後遺障害等級の認定がなされたことです。

可動域制限による機能障害の後遺障害等級認定では、他動運動(医師が動かすこと)の左右比較で行うことが原則であるとされています。

Gさんは、他動運動では、すべての右足指が左足指と比べて1/2しか動かなくなっていたという状態ではなかったので、本来は後遺障害等級9級15号の認定はなされません。

しかしながら、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となり、他動では関節が稼働するが、自動では可動できないという場合は、「他動運動による測定値を採用することが適切でないもの」として捉えられていて、例外的に、自動運動の比較によって後遺障害等級の認定を行うものとされています。

腓骨神経麻痺の追記を強くお願いしていたのはこのためで、腓骨神経麻痺を医学的に説明してもらうことにより、自動運動の比較にて後遺障害等級の認定を行うことが可能になり、後遺障害等級9級15号の認定をしてもらえることになります。

後遺障害等級の相当処理と併合処理

後遺障害等級13級以上の等級が複数ある場合はその中で1番重たい等級が1つ繰り上がり、後遺障害等級8級以上の等級が複数ある場合はその中で1番重たい等級が2つ繰り上がるとされています。

この手法を「併合」といいます。

Gさんのケースでは、後遺障害等級8級9号、10級11号、9級15号の3つの後遺障害等級が認定されていて、8級以上の後遺障害等級は1つしかなく、他方で13級以上の後遺障害等級は複数あることから、この中で1番重い8級9号が1つ繰り上がり併合7級になりそうです。

しかしながら、併合の処理をする前に、併合の方法を用いて「相当」の処理をしなければなりません。

具体的には、右足関節の機能障害と右足指の機能障害とは、後遺障害等級認定上は別系列として扱われていますが、同じ右下肢内の機能障害の話ですので、このような場合には、併合の方法を用いて1つの相当等級を定めます。

Gさんの場合、右足関節機能障害10級11号と右足指関節機能障害9級15号とが、同じ右下肢内の機能障害の話ですので、併合の方法を用いて重い方の9級15号を1つ繰り上げ、8級相当という1つの後遺障害等級とします。

従いまして、Gさんの後遺障害等級は、偽関節の8級9号と、右下肢機能障害の8級相当の2つになるわけです。

そうすると、後遺障害等級8級以上の等級が複数ある場合はその中で1番重たい等級が2つ繰り上がるというルールを使うことになり、2つ繰り上げて併合6級ということになります。

示談交渉

併合6級の結果を元に示談交渉を開始します。

Gさんは、裁判はしたくないとおっしゃっていたので、なんとか示談で解決する必要がありますが、数千万単位の金額の示談交渉となりますので、示談解決をするには、保険会社側の決裁が通りやすくする工夫をする必要があります。

そこで、裁判するつもりはありませんでしたが、訴状を作成し、すべての損害を証拠によって裏付けてそれを提出しました。

保険会社の決裁は、担当者限りで示談するか否かを判断できる金額、担当者の上司の決裁を経なければ示談するか否かを判断できない金額、上司の決裁でも足りず本部の決裁を経なければ示談するか否かを判断できない金額というのがありますが、Gさんのケースでは、これらを超えて、本部決裁でも足りず取締役会の決裁が必要ということになりました。

保険会社からすれば、支出が大きい事案であるため、慎重な判断をすることは当然ともいえますが、証拠をガチガチに固めていたことが奏功し、実収入以上の基礎収入額が認定されるなどして、計5500万円での示談解決となりました。

弁護士小杉晴洋のコメント:後遺障害診断書の修正によって後遺障害等級は変わります。

Gさんは、とりあえず弁護士に相談してみようという程度の気持ちで法律相談に訪れていましたので、まさか後遺障害診断書を訂正するとは思っていなかったみたいで、驚いておられました。

今回医師面談に応じてくださった先生は、当然ですが、私よりも医学的知識や理解は豊富です。

しかしながら、後遺障害等級の要件や、どのような後遺障害診断書だと適切な等級を獲得できるかについては、私の方が詳しいです。

後遺障害診断書というのは、純医学的なものではなく、後遺障害等級の申請のために書いていただくものですから、記載には後遺障害等級の要件についての理解とコツが要ります。

もちろん、真実ではないことを書いてもらうようなことはしませんが、どこまでの事実を書いたらいいのかは、被害者側専門の弁護士でなければ分からないことがあります。

主治医に後遺障害診断書を書いてもらったという方については、一度、被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

本件のように、後遺障害診断書の書き漏れのため、そのまま提出していたのでは、適正な後遺障害等級が獲得できないということがあるからです。

当事務所では、無料の法律相談を実施しておりますので、お気軽にお尋ねください。

この記事の執筆者

小杉 晴洋
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災などの損害賠償請求解決件数1000件超。

経歴
小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身・福岡市在住。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(当時。現「神奈川県弁護士会」)に登録後(損害賠償研究会所属)、福岡県弁護士会に登録換え(交通事故委員会所属)。