交通事故の解決実績

後遺障害等級変更 示談 醜状 バイクvs四輪車 頭・脳 アルバイト 高次脳機能障害 12級 5級

【脳挫傷】後遺障害等級12級認定が、弁護士による異議申立てにより5級獲得

Fさん 福岡県・20代・男性・アルバイト

【脳挫傷】後遺障害等級12級認定が、弁護士による異議申立てにより5級獲得

解決事例のポイント

① 弁護士介入後に医師の意見書や家族の日常生活状況報告を取り付け、事前認定12級を5級まで上げた
② 醜状障害の面談に同行し、頭部の陥没について弁護士が説明を行った

相談前

Fさんは20代の男性で、アルバイトをしながら生計を立てていました。

交通事故に遭い、1か月強の入院生活を送った後、通院を続けましたが、本人としては頭の傷が残ったほかは、完治したものと考えていました。

一応、病院の先生に後遺障害診断書を書いてもらい、保険会社を通じて、後遺障害等級の申請を行ってもらいました。

そうしたところ、後遺障害等級12級の認定が出されました。

Fさんは、この等級に特に疑いを持ちませんでしたが、どのくらいの慰謝料額が取れるのか知りたかったため、弁護士に法律相談してみることにしました。

法律相談

Fさんは保険会社から送られてきたという書類を持って法律相談に来られました。

Fさんとしては、頭部に傷が残ってしまったことで後遺障害の等級が取れたと考えているようでしたが、実際は、頭部の画像上、脳挫傷痕が残っていることを根拠に12級13号が認定されていました。

他方で、Fさんが気にしていた頭部の傷は、後遺障害等級の対象となっていませんでした。

脳の後遺障害等級というのは大きな事故でない限り獲得が難しいのですが、1番の難所とされるのが画像所見です。

アメリカでは認められていますが、MTBIという画像所見上は確認しづらい脳障害というものがあり、このMTBIの患者さんの場合だと、症状は酷いのに後遺障害等級は付かないということになります。

ただ、Fさんの場合は、その逆で、難所とされる画像所見は肯定されていて、症状がないために後遺障害等級12級13号が認定されていました。

Fさん自身は無症状という自覚でしたが、会話がかみ合わない部分もあり、同棲中の彼女やお母さんの連絡先を聞き、ご家族や親しい間柄の人から見て事故前後で性格の変化などがないかどうか確かめることにしました。

また、頭部の傷については髪の毛で隠れてしまっているため見えづらくなっていましたが、よく見ると、頭部が陥没していました。

以上の確認事項をもとに、すぐに示談交渉に入るのではなく、異議申立てをさせてもらうことにしました。

異議申立て

1 異議申立前の準備
(1)後遺障害診断書の訂正のお願い(醜状障害)

Fさんの後遺障害診断書の醜状記載欄には何も書いてありませんでした。

そこで、頭部の傷跡や陥没について病院の先生に追記のお願いをし、追記してもらいました。

(2)意見書の作成(高次脳機能障害)

Fさんには脳挫傷痕が認められることから、脳損傷を原因とする症状や検査結果について大学病院の先生にお話を伺いました。

FさんのIQは同年代平均値を下回る水準となっていて、作動記憶及び言語理解が有意に低いことが確認され、当該大学病院の先生に高次脳機能障害であることの確定診断をもらいました。

(3)同棲中彼女からのヒアリング

Fさんは事故前後を通じて、彼女と同棲していたことから、その彼女から事故前後のFさんの比較を行ってもらいました。

話を聴いていくと、以下のことが確認できました。

①事故前は問題なかったのに、事故後は家の戸締りやガスの始末など安全管理ができなくなった。

②事故前は問題なかったのに、事故後は落し物が増え、道に迷うなどの行動が見られるようになった。

③事故前は問題なかったのに、事故後は怒りやすくなり、場にそぐわない言動などをするようになった。

④事故前は問題なかったのに、事故後は年齢にそぐわない甘えや依存、また自傷・他傷・ものを壊すなどの暴力を振るうようになった。

これらのヒアリング内容を「日常生活状況報告」という書面にまとめてもらいました。

(4)母からのヒアリング

Fさんのお母さんから事故前後のFさんの比較を行ってもらいました。

話を聴いていくと、以下のことが確認できました。

①昔はゲームなどを器用にこなす子だったが、事故後は会話についていけなかったり、自分の気持ちを説明できなかったり、人の名前や約束をすぐに忘れるようになった。

②事故前は母に対し暴言を吐くようなことはなかったが、事故後は暴言を吐くようになり、激しい口調でのメールを送ってくるなどもしている。

2 異議申立て(高次脳機能障害7級4号+醜状障害7級12号)

以上のとおり後遺障害診断書の訂正、高次脳機能障害の診断、同棲中の彼女の日常生活状況報告、母の陳述書がそろったことから、異議申立てをすることにしました。

医師の高次脳機能障害診断、彼女の日常生活状況報告、母の陳述書から、意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)、問題解決能力(理解力、判断力等)、作業負荷に対する持続・持久力、社会行動能力(協調性等)の喪失を主張し、高次脳機能障害12級13号ではなく、7級4号に該当すると主張しました。

また、Fさんには頭部にてのひら大の瘢痕が残存しており、顔面部にも10円硬貨大以上の組織陥没が認められることから、後遺障害等級7級12号に該当すると主張しました。

3 醜状面談の弁護士同行

醜状障害の後遺障害等級認定を行う場合、コロナウィルス感染予防などの時期でない限り、被害者の方が自賠責保険の調査事務所に赴き、醜状の大きさや長さを測定するという運用になっています。

注意をしないと、小さめに醜状を測定されてしまうことから、当事務所では基本的には醜状面談に弁護士が同行することにしています。

調査事務所の担当者は、案の定、Fさんの頭部陥没の事実を見落としていたため、用意していた写真を見せ、この部分に陥没があるから確認するよう促しました。

4 異議申立ての結果

無事、異議申立てどおり、高次脳機能障害7級4号及び醜状障害7級12号が認定され、併合5級となりました。

なお、併合というのは、後遺障害等級が複数ある場合の処理のことで、後遺障害等級8級以上の等級が複数ある場合は、1番重い等級が2つ繰り上がるというルールになっています。

Fさんの場合は、7級が1番重い等級ですので、2つ繰り上がり併合5級となりました。

示談

併合5級の結果を元に示談交渉をし、自賠責保険金1574万円の他に約6000万円で示談が成立しました。

弁護士小杉晴洋のコメント:保険会社が行う後遺障害等級の申請はあてになりません。被害者側専門の弁護士による後遺障害等級の申請をするようにしましょう。

Fさんは、賠償額がいくらになるか気になったため弁護士に法律相談してみたという経緯でしたので、後遺障害等級12級13号という判断には何の疑問も持っていませんでした。

しかし、後遺障害等級12級と後遺障害等級5級とでは、賠償額が6000万円~7000万円程度変わってきますので、非常に大きな差となります。

後遺障害等級の異議申立てにはコツがあります。

最初の申請の際と同じ証拠を出したのでは、後遺障害等級は変わりませんので、新しい証拠を作る作業が重要となってきます。

Fさんのケースですと、後遺障害診断書の修正・大学病院の先生による高次脳機能障害の確定診断・同棲中の彼女の日常生活状況報告・母の陳述書がそれぞれ重要と言えます。

また、醜状面談におけるプレゼンも非常に重要といえます。

後遺障害等級の認定を受けた方は、安易に示談交渉に進まず、まずは被害者側専門の弁護士に当該等級が妥当なのかどうかチェックしてもらってください。

当事務所では、無料の法律相談を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

この記事の執筆者

小杉 晴洋
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災などの損害賠償請求解決件数1000件超。

経歴
小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身・福岡市在住。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(当時。現「神奈川県弁護士会」)に登録後(損害賠償研究会所属)、福岡県弁護士会に登録換え(交通事故委員会所属)。