交通事故コラム

骨折

足指の骨折

2020.08.11

第1、2、3中足骨は、それぞれ第1、第2、第3楔状骨と、第4、5中足骨は、立方骨とかんせつを形成します。5本の中足骨で横アーチを形成し、リスフラン関節に近い基部では第2中足骨が頂点となっています。遠位部はそれぞれ基節骨と中足趾節関節を形成しています。

また、足趾は、第2~5趾は基節骨、中節骨、末梢骨からなり、中節骨と基節骨の間で中趾節関節、基節骨を中節骨との間で近位指節間関節、中節骨と抹消骨との間で遠位指節間関節を形成します。母趾のみ基節骨と抹消骨で趾節間関節を形成します。

中足骨骨折・趾骨骨折

(1)概要

足の甲部分、足指を骨折した状態です。

足背に物が落下したり、自動車の車輪にひかれたりするように、受傷原因のほとんどは、直達外力です。足部が内側にかえされたときに、短腓骨筋に牽引されて第5中足骨基部裂離骨折が起きることもあります。疲労性の骨折もあり、新鮮な骨折かどうかの峻別も大事です。

(2)症状

骨折部の疼痛、腫脹、足指の運動障害が主たる症状です。

(3)認定されうる後遺障害等級

疼痛の後遺障害等級である12級13号及び14級9号以外には、以下の等級が考えられます。

後遺障害等級第7級11号  両足の足指の全部の用を廃したもの
後遺障害等級第9級15号 1足の足指の全部の用を廃したもの
後遺障害等級第11級9号 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
後遺障害等級第12級12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
後遺障害等級第13級10号 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
後遺障害等級第14級8号 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの

(4)診断

ア 臨床所見

腫脹、皮下出血、疼痛、局所的圧痛が認められるはずであり、これらの所見があるかを確認してください。特に、亀裂骨折の場合には、腫脹や皮下出血が軽度であるのが通常なので、見逃されてしまうこともあります。

イ レントゲン

足部全体を側面、上・下方面から撮影します。

ウ CT

通常はレントゲン撮影で足りますが、疼痛が強度であるのにレントゲンでは異常なしとされた場合には、小さな骨折が見逃されている場合もありますので、これらの検査のためにCTや三次元CTが有用です。

特に、趾骨の骨折は見逃されやすいので、足趾の遠位部に強度の疼痛がある場合には、念のためにCT撮影をお願いされることをお勧めします。

また、靱帯損傷の項目で述べたとおり、足部の骨折は、その転位の有無や骨折部位によって、リスフラン関節など、足部のアーチを構成する関節面に影響を与える場合があります。関節面に不整が生じているかを確認するためにも、CT撮影は有用です。

エ MRI

靱帯損傷の有無や、拘縮の有無を確認するために、MRI撮影が必要な場合があります。特に、疼痛が持続する場合には、軟部組織の損傷が生じていたり、関節液貯留の範囲を確認するために、MRIを撮影することをお勧めします。

(5)評価の視点

後遺障害等級評価の視点は、以下のとおりです。

①骨折線が、関節内に達するような骨折か否か

骨折線が関節内に達しない骨折(関節外骨折)であれば、後遺障害が残りにくいとされているし、残ったとしても後遺障害等級は14級9号が認定されるにとどまることが多いです。

たとえば、中足骨の骨幹部の骨折であれば、関節面ではないので、骨折し痛みが残存したとしても、後遺障害等級は14級9号にとどまることが想定されます。

②骨折の転位があるか

転位のある骨折は、周辺の軟部組織を傷つけている可能性があり、また、完全な整復が困難なため、症状が残りやすいと評価できます。

特に、足部の骨折は、足部のアーチを構成する関節に影響を与えうるため、足部のアーチを構成する関節面の不整を導く程度の転位があるか、という視点で転位の有無を確認してください。

③症状固定時に関節面の不整が認められるか

症状固定時に関節面の不整が認められなければ、後遺障害等級12級13級以上の可能性は高くありません。関節面に不整が認められるからこそ、痛みが立証されていると考えられています。

症状固定時に関節面の不整が認められるかを確認するためには、レントゲンでは不十分(見えにくい)ので、CT撮影をお勧めします。

足部の後遺障害等級の視点は、「足部のアーチが崩れているか」です。足部のアーチを構成する関節面の不整が認められるか、という視点で確認してみてください。

この記事の執筆者

小杉 晴洋
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災などの損害賠償請求解決件数1000件超。

経歴
小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身・福岡市在住。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(当時。現「神奈川県弁護士会」)に登録後(損害賠償研究会所属)、福岡県弁護士会に登録換え(交通事故委員会所属)。