後遺障害等級の解説

神経系統の機能障害

CRPS・RSD・カウザルギー

労災補償障害者認定必携第17版161頁~等

赤本下巻講演録あり

1 CRPS・RSD・カウザルギーとは

CRPSとは、交感神経に異常が生じ、受傷部位はもちろんのこと、そこから離れた部位にまで異常に強い痛みや皮膚変化が生じる病態のことをいう。交感神経の異常の原因が、末梢神経の損傷であるとはっきりしているものを「カウザルギー」、はっきりしていないものを「RSD」という。外傷によって末梢神経が損傷していることが明らかな場合には、「カウザルギー」として、後は等級判断に進んでいくが、神経損傷が明らかでない場合には、そもそも等級認定の要件に該当するかどうかの判断を行った上で、これを満たした場合に、等級判断に移ることになる。

2 後遺障害等級表

第7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽微な労務以外の労務に服することができないもの
第9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの

3 等級認定のための要件

(1)自覚症状及び確定診断の存在

灼熱痛、誘発痛、感覚異常(知覚鈍麻)、腫脹、皮膚変化等のCRPS特有の自覚症状が症状固定時に残存しており、医師によってCRPSとして診断されていること。

(2)他覚所見による裏付け

関節拘縮、骨萎縮、皮膚の変化の全てが、症状固定時に健側(受傷していない側)と比較して明らかに認められることが必要である。

ア 関節拘縮

健側と比較して、CRPSの症状を呈している患部の関節に可動域制限があるかどうかで判断     する。CRPSというほどの疼痛がある場合、長期間関節を動かせないことにより、関節が固まってしまうと考えらている。

イ 骨萎縮

症状固定時のレントゲン画像にて判断する。レントゲン画像では通常、骨は白く映るが、骨萎縮がある場合は、骨密度の低下により、白色の部分が薄く透けて見え、健側の骨と比較して黒く見える部分が多くなる。

ウ 皮膚の変化

CRPSの症状が出てくると、血流障害が生じ、皮膚に栄養がいかなくなる結果、皮膚に次のような変化が生じる。

皮膚の萎縮(皮膚が乾燥して、カサカサになる)、皮膚が固くなる、光沢が出てくる、皮膚が腫れてくる、爪の形状の変化等の異常化、皮膚温の変化。

※他覚所見を裏付けるものとしては、以下のものを提出することが必要となってくる

ア→健側と患側の可動域を測定した結果

イ→レントゲン画像

ウ→健側と患側の左右差が分かる写真、サーモグラフィーの検査結果

その他、筋萎縮が生じている場合には、それを証するものとして、MMT値の結果や周径を測った結果を提出したり、異常に汗が出ている場合には、発刊テストの結果を提出することも有用である。

4 等級認定の注意点

CRPSと診断された場合、後遺障害申請に際して、後遺障害診断書とは別にRSD症状に関する所見を主治医に記載してもらいてしゆつすることが有用である。

なお、CRPSの疼痛と可動域制限は、通常は資する関係にあることから別々に評価されない(併合評価されない)点には注意が必要である。

この記事の執筆者

小杉 晴洋
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災などの損害賠償請求解決件数1000件超。

経歴
小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身・福岡市在住。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(当時。現「神奈川県弁護士会」)に登録後(損害賠償研究会所属)、福岡県弁護士会に登録換え(交通事故委員会所属)。