後遺障害等級の解説

脳損傷

外傷性てんかん

1 後遺障害等級表

第5級1の2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第7級の3 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第9級の7の2 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
第12級の12 局部にがん固な神経症状を残すもの

 

2 外傷性てんかんの認定基準

外傷性てんかんについての等級の認定は発作の形、発作回数に着目し下記の基準による。

第5級2号

一ヶ月に一回以上の発作があり、かつ、その発作が「意識障害の有無を問わず転倒する発作」又は「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為をする発作」(以下、転倒する発作)

転倒する発作:「意識消失が起こり、その後ただちに四肢等が強くつっぱる強直性のけいれんが続き、次第に短時間の収縮と弛緩をくりかえす間代性のけいれんに移行する」強直性間代発作や脱力発作のうち「意識は通常あるものの筋緊張が消失してしまうもの」

意識障害を呈し、状況にそぐわない行為をする発作:意識混濁を呈するとともにうろうろ歩き回るなど目的性を欠く行動が自動的に出現し、発作中は周囲の状況に正しく反応できないもの

第7級の3

転倒する発作等が数か月に1回以上あるもの又は転倒する発作等以外の発作が1ヶ月に1回以上あるもの

第9級10号

数か月に1回以上の発作が転倒する発作等以外の発作であるもの又は服薬継続によりてんかん発作がほぼ完全に抑制されているもの

第12級13号

発作の発現はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波を認めるもの

 

3 外傷性てんかんの注意事項

1ヶ月以上に2回以上の発作がある場合には、通常の高次脳機能障害を伴っているので、脳の高次脳機能障害にかかる第3級以上の認定基準による。

 

 

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。