後遺障害等級一般論
併合等級
1 併合とは
系列(身体の部位を生理学的な観点から35種類に細分したもの)を異にする複数の後遺障害が残った場合に、これらの障害を最終的に1つの等級として定めるための方法をいう。
2 併合の原則
(1)13級以上に該当する後遺障害が2以上ある場合
重い方の等級を1級繰り上げる
(2)8級以上に該当する後遺障害等級が2以上ある場合
重い方の等級を2級繰り上げる
(3)5級以上に該当する後遺障害等級が2以上ある場合
重い方の等級を3級繰り上げる
3 併合の例外
(1)併合して等級を繰り上げた結果、障害の序列を乱すことになる場合
障害の序列にしたがって、等級を定めることになる。
例)
1上肢を手関節以上で失い(第5級4号)、かつ他の上肢をひじ関節以上で失った(第4級4号)場合、併合により等級を繰り上げると1級になるが、このような場合、「両上肢をひじ関節以上で失ったもの」(第1級3号)という障害の程度には達しないことから、併合2級となる。
(2)併合して等級が繰り上げられた結果、障害等級第1級をこえる場合
障害等級上、第1級以上の障害は存在しないので、第1級にとどめる。
例)
両眼の視力が0.02以下になり(第2級2号)、かつ両手の手指をすべて失った(第3級5号)場合、併合して等級を繰り上げると、第1級をこえることになるが、第1級以上の障害は存在しないことから、併合第1級とする。
(3)系列を異にする身体障害が2以上存する場合
併合して等級を認定することになるが、以下の場合は、併合の方法を用いることなく等級を認定する。
ア 両上肢の欠損障害及び両下肢の欠損損害については、本来系列を異にする複数の身体障害として取り扱うべきであるが、障害等級表上、組み合わせ等級として定められているので、併合の方法を用いることなく、障害等級表に定められた等級により認定する。
例)
1下肢をひざ関節以上で失い(第4級5号)、かつ他の下肢をひざ関節で失った(第4級5号)場合、併合の方法を用いることなく、「両下肢をひざ関節以上で失ったもの」(第1級5号)に該当する。
イ 1の後遺障害に他の障害が通常派生する関係にある場合には、いずれか上位の等級をもって
当該障害の等級とする。
例)
1上肢に偽関節を残すもの(第8級8号)が、当該箇所に頑固な神経症状を残した(第12級13号)場合には、上位等級である第8級8号をもって後遺障害等級とする。