後遺障害等級の解説

醜状障害

下肢(腿・脚・足)の醜状障害

このページでは、交通事故によって下肢の露出面を怪我し、瘢痕や線状痕などの醜状の後遺症を残すことになった場合の後遺障害等級について解説します。

1.後遺障害等級表

交通事故によって受傷し、治療を続けるも治癒には至らず後遺症が残存した場合に、加害者の自賠責に対して、後遺症に関する保険金の請求をすることができます。自賠責保険では後遺障害の態様に応じて第1級~第14級までの等級が定められています。

下肢の露出面に醜状痕を残した場合の後遺障害等級は以下のとおりとなります。

第14級5号 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

2.後遺障害等級認定の要件

⑴「露出面」について

等級表に規定される「露出面」とは、下肢にあっては股関節以下(足背部を含みます。)をいいます。

つまり、股関節、太もも、膝、ふくらはぎ、足の全体が、下肢の「露出面」にあたります。

⑵てのひらの大きさについて

等級表に規定される「てのひらの大きさ」とは、指を除いた部分を指します

大きさについては、被害者本人のてのひらを目安とします。そのため、下肢に線状痕を残す場合には、外貌における醜状とは異なり、長さではなく、てのひら大以上の大きさであるかどうかをもって等級認定がなされることとなります。

⑶てのひらの3倍程度以上の瘢痕が残存した場合

下肢に、てのひらの大きさの3倍程度以上の瘢痕を残した場合には、自賠法施行令別表第二備考6を適用し、別表第二第12級相当と認定されます

なお、露出面に複数の瘢痕又は線状痕が残存する場合は、それらの面積を合計して認定されますが、この場合、てのひら大以上の瘢痕を残すものに該当する程度の瘢痕又は線状痕が少なくとも1個以上存在している必要があります。そのため、これに該当しない瘢痕又は線状痕のみが複数残存している場合は、面積を合計して認定することはできません。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。