Flow 交通事故発生から解決まで

適正な慰謝料・賠償額を得るために。
「早めの行動・相談」がポイント。

ご家族を救済します

交通事故発生から解決まで

  1. 解決までの流れ
  2. 刑事事件の流れ
  3. よくある質問

交通事故発生から解決まで 1

解決までの流れ

解決までの流れ 解決までの流れ

(1) 交通事故の発生

交通事故の発生

交通事故発生時のポイントは3つです。

ポイント 1

すぐに病院に行きましょう

救急搬送されなかったとしても、痛みやしびれなどを感じる場合は、すぐに病院へ行きましょう。
放っておけばいbrずれ良くなるだろうと言って病院に行かない方がいらっしゃいますが、思ったとおりに良くならなかった場合、しばらく経ってから病院に行ったとしても、保険会社から治療費を払ってもらえなくなってしまいます。
また、交通事故で痛みを感じた場合に請求できる慰謝料も、すぐに病院に行かなかった方は請求できなくなってしまうことがあります。
すぐに病院に行かなかった場合は、慰謝料がいくらもらえるかという金額の話に移る前に、そもそも事故と通院との因果関係が無いと判断されてしまうのです。
因果関係がないと判断されてしまうと、治療費、休業損害、通院交通費、慰謝料など一切の損害賠償請求が認められなくなってしまいます。
まったく症状がなく無傷なのであればいいのですが、どこか身体に異変がある場合には、小さな異変であっても、すぐに病院へ行くようにしてください。

ポイント 2

人身事故の届出をしましょう

加害者より「人身事故の届け出をしないでくれ」とお願いされることがあります。
怪我をしていないのであれば、物件事故扱いでいいのですが、怪我をしている場合は、人身事故の届け出をしなければいけません。
軽傷だし、加害者からお願いもされているし、人身事故の届け出をするのも面倒だし、物件事故扱いで良いかと判断して、被害者が得をすることはありません。
人身事故の届け出をしないと以下の2つのリスクがあります。

①慰謝料額や治療費などが減らされるおそれがあります

まず、物件事故扱いにされているということで、将来慰謝料などを請求していく際に、物件事故扱いになっているということを理由に、軽傷扱いされてしまいます。
まだ治療をしたいのに治療費を打ち切られたり、慰謝料額を減らされたりといったリスクがあります。
裁判に移行した場合も、裁判官によっては、物件事故扱いになっているという事実から軽傷であると判断する人もいます。

②過失割合で損をするおそれがあります

人身事故の届け出をすると、警察官は実況見分調書を作成しなければなりません。
この実況見分調書というのは、過失割合を判断するうえで、重要な証拠となることが多いです。
これが物件事故扱いとなると、実況見分調書が作ってもらえず、物件事故報告書という簡易なものしか作成されません。
人身事故の届け出さえしていれば過失割合を決めることができたのに、届け出をしていなかったために、真実の事故態様が分からず、過失割合で不利になってしまったり、裁判に移行して尋問までしなければならなくなるということもあります。
人身事故の届け出は、事故現場を管轄する警察署に診断書を届け出るだけですので、交通事故により何かしらの症状が発生してしまった方は、人身事故の届け出をするようにしてください。

ポイント 3

早めに弁護士に相談しましょう

交通事故発生後の初動でミスをしたために、適正な慰謝料などの賠償金を受け取れなくなってしまうケースが多々あります。

①納得いかない過失割合で物損を示談してしまうと、その過失割合が人身の慰謝料請求などにも影響してしまいます

人身の示談交渉は治療終了後に行われるため、すぐに始まることはありませんが、物損の示談交渉は、交通事故の後、すぐに始まることが多いです。
物損と人身の損害賠償請求は別物なのですが、過失割合は共通する事項となっています。
物損で解決を急いでしまい、こちらに不利な過失割合を認めてしまうと、後々の人身の慰謝料請求にも、物損示談解決時の過失割合を主張されてしまい、慰謝料額などで損をしてしまいます。
被害者に過失がないという結論であればご自身で物損の示談をしていただいて構いませんが、そうでないのであれば、今後の慰謝料請求なども見据え、弁護士に過失割合の見解を聞いてから物損の示談交渉をした方が賢明です。

②病院での対応を間違えると、後々の慰謝料請求額などに大きな違いが出てしまいます

交通事故の発生から初診までの期間が開いてしまうと、因果関係が否定され、一切の損害賠償請求ができなくなってしまうおそれがあることは先ほど述べたとおりです。
また、交通事故の発生後すぐに病院には行ったが、診察する科を間違えてしまったという場合も、将来請求する慰謝料額が減らされてしまうことがあります。
例えば、交通事故の後に耳鳴りがするようになったという方は、本来耳鼻咽喉科に行かなければなりませんが、それを知らずに整形外科に行き続けてしまうと、耳鳴りの症状が残ってしまったとしても、耳鳴りの症状に対する賠償が受けれなくなってしまうおそれがあります。
また、交通事故の恐怖から、事故の時の夢にうなされるといった症状が出た方は、本来心療内科や精神科に行かなければPTSDの診断を受けることができませんが、それを知らずに整形外科に行き続けてしまうと、フラッシュバックなどの症状が残ってしまったとしても、その症状に対する賠償が受けれなくなってしまうおそれがあります。
他にも、中心性脊髄損傷など早期にMRI撮影をしなければ、脊髄損傷の所見が確認できなくなる可能性のあるケースなど、交通事故発生直後に撮影しなければならない画像や、検査の実施が必要な神経学的所見というものが存在します。
また、治療費の支払について、自由診療を選択するのか、健康保険を利用するのか、労災を利用するのか、人身傷害保険を用いるのか、事案によって適切なルートというものが存在し、この選択を誤ると、慰謝料額などが減らさせてしまいます。
こうした判断は専門の弁護士でないと難しいので、まずは、こうした事態にあたるのか否かも含めて弁護士に相談されることをおすすめします。

ご相談の流れはこちら >>

(2) 治療期間中のポイント

治療期間中のポイント

治療期間中の動きは、今後の慰謝料額などの損害賠償を考える上で、とても重要です。

ポイント 1

通院頻度は慰謝料額に影響します

当事務所では週2~3回程度のリハビリ通院をおすすめしています。
弁護士に依頼した場合、慰謝料額は裁判基準となりますが、週1回以下の通院頻度の場合、裁判基準満額の慰謝料額を得られなくなってしまうことがあります。
ただし、骨折の治療、眼科治療など週2~3回の通院が必要ではない診断名の場合もありますから、その場合は、治療期間が長期になりすぎないことと、定期的な通院(月1回など)を心がければ、慰謝料額を減らされずに済むこともあります。
慰謝料算定は様々な要素の総合考慮で判断される非常に難しい損害費目ですので、慰謝料額が気になる方は、交通事故被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。
なお、弁護士に依頼しない場合は、慰謝料計算は保険会社基準となり、自賠責の基準だと通院1日あたり4300円(令和2年3月31日以前の交通事故だと4200円)とされていて、弁護士に依頼した場合の慰謝料水準より低くなります。

慰謝料算定の詳細はこちら >>

ポイント 2

通院の仕方は後遺障害等級に影響します

自賠責は後遺障害等級の審査の際に通院の仕方も見ています。
むち打ち症などの神経症状(痛みやしびれ)の場合、週2~3回程度の頻度で通っていた方が、後遺障害等級が取りやすくなります。
逆に、通院頻度が少ない場合や、通院の間に数週間以上の空白期間がある場合は、後遺障害等級が付きにくくなります。
これは診断名や症状によっても異なりますが、後遺障害等級は治療中の過ごし方、通院の仕方などによって差が出ますので、早めに交通事故被害者側専門の弁護士に相談することをおすすめします。
なお、治療費の打ち切りを言われてしまった方についてはこちらをご覧ください。

治療費の打ち切りを言われてしまった方はこちら >>

ポイント 3

整骨院・接骨院での施術に注意

整骨院(接骨院)は、土日や夜間も営業しているところが多く、お仕事をしている方などにとっては整形外科よりも通いやすいことが特徴です。
また、施術も、整形外科のリハビリよりも丁寧なところもあります。
従いまして、整形外科のリハビリよりも、整骨院の施術をしたいという被害者の方も多いと思います。
ただし、整骨院の施術の場合、保険会社から施術費用が支払われなかったり、支払われていたとしても後になって否定されて、払った費用を返せと言われてしまうことがあるなど、リスクを伴います。
また、整形外科のリハビリに通っていた方が、後遺障害等級が取りやすくなるという特徴もあります。
もちろん整骨院の施術の必要性・相当性・合理性が認められるケースもありますが、どのような場合に整骨院施術が認められるのかについては、交通事故被害者側専門の弁護士に相談した方が良い事柄といえます。

ポイント 4

医師への症状の伝え方に注意

診察やリハビリの際に、お医者さん・理学療法士さん・看護師さんに症状を聞かれると思いますが、その時の回答にも注意が必要です。

NG1 「先生のおかげでだいぶ良くなりました」と伝えること

本当によくなっているのであれば、素直にそう伝えてもらっていいのですが、まだ症状が良くなっていないにもかかわらず、先生のおかげで良くなったと話してしまうと、診断書やカルテにその旨書かれてしまい、それが将来の後遺障害等級認定や示談交渉・裁判の際に不利な証拠として働いてしまいます。
例えば、首の痛みが残ってしまったために後遺症の主張をするというケースにおいて、治療期間中に「だいぶ良くなった」と本人が言っている旨の記載が診断書やカルテに残っていると、この時だいぶ良くなったと言っているから、後遺症は残らないような症状だったと認定されてしまったり、治療費の打ち切りが行われやすくなってしまいます。
人の良い方は、お世話になっている先生の治療の成果を伝えてあげようとして、良くなったなどと安易に伝えてしまうことがありますが、症状が残っているうちは、まだ症状が残っている旨素直に伝えましょう。

NG2 症状の伝え漏れ

例えば、首と右手首が痛かったという場合で、病院の先生から首のことばかり聞かれるものだから右手首の痛みの話はしなかったという方がいらっしゃいます。
病院で症状を伝えないと、証拠上は、痛みが無かったものとして扱われてしまうので、病院ではすべての症状を伝えるようにしましょう。
後から、実は右手も痛かったのですと言っても手遅れになってしまうことがあります。

ポイント 5

病院選びに注意

病院の規模の違いに注意

交通事故の場合、整形外科へ通院することが多いですが、整形外科といっても、町医者・総合病院・大学病院など様々な種類があります。
後遺障害等級14級9号の認定の場合は、主に治療やリハビリの状況や症状の推移が見られますから、予約の取りづらい大学病院や総合病院よりも町医者へ通院した方が適したケースもありますが、高精度のMRIやCTの撮影や電気生理学的検査など専門的な検査が必要な場合は、大学病院や総合病院への通院に馴染むことになります。
事故の内容や症状によって適した病院の規模が変わってきますので、まずは被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

病院の診察科の違いに注意

また、ずっと整形外科に通っていたが、耳鳴りの症状もあるであるとか、事故の瞬間を思い出してしまい横断歩道が渡れなくなったであるとか、本来整形外科以外に通わなくてはならないといったケースも存在します。
だいぶ日が経ってから、耳鳴りで本来通うべき耳鼻咽喉科に通ったであるとか、PTSDで本来通うべき心療内科や精神科に通ったというのでは、初診日が遅すぎるということで、交通事故との因果関係が否定されてしまうことがあります。
主治医から、この症状についてはこちらの診察科に通ってくださいなどのアドバイスがあればいいのですが、1つ1つの症状についてアドバイスをもらえないこともありますので、気になる方は被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

相談の流れはこちら >>

ポイント 6

必要な画像撮影や検査を受けましょう

医学的に必要な画像撮影や検査については、お医者さんが判断するところですが、後遺障害等級の獲得や慰謝料などの損害賠償請求のために必要な画像撮影や検査というものが存在します。
これらをしておかないと、適切な後遺障害等級の認定を受けれず、また、慰謝料額などの損害額も少なくなってしまいます。
必要な画像撮影や検査は、診断名や症状によって異なりますので、それぞれのパートをご覧ください。

むち打ち >>

骨折 >>

靭帯損傷(腱板損傷・TFCC損傷・関節唇損傷・半月板損傷など) >>

CRPS >>

脊髄損傷(頚髄損傷・胸髄損傷・腰髄損傷) >>

高次脳機能障害 >>

ポイント 7

治療費の支払方法に注意

治療費の支払について、自由診療を選択するのか、健康保険を利用するのか、労災を利用するのか、人身傷害保険を用いるのか、事案によって適切なルートというものが存在し、この選択を誤ると、慰謝料額などが減らさせてしまいます。
弁護士でも間違う可能性がある分野なので、被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

治療期間中のポイントについてもっと詳しく知りたいという方はこちらをご覧ください >>

(3) 症状固定=後遺障害診断作成のポイント

症状固定=後遺障害診断書作成のポイント

症状固定時期のポイント

症状固定とは、治療を継続しても、これ以上症状の改善が見込まれない状態のことをいいます。
症状固定時期は主治医の判断によることが原則ですが、短すぎず、長すぎずがポイントです。
短すぎると、むち打ちなどの神経症状の場合、治療期間が短いという理由で、後遺障害等級の認定を受けられなくなってしまうことがあります。
長すぎると、時効の問題が出てきたり、後になって保険会社側の医師の意見書を提出されるなどして治療費の返還を求められてしまうことがあります。
症状固定時期の目安は半年間で、半年経っても症状が残っているという場合に後遺障害申請をするというのが一応の考えとなりますが、事故の内容、ケガの内容、症状の内容、主治医の見解などによって異なってきますので、まずは被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

後遺障害診断書作成のポイント

後遺障害診断作成ポイントを3つ紹介します。
ここでは一般的なポイントのみ述べますので、詳細は各後遺症のパートの説明をご覧ください。

むち打ち >>

骨折 >>

靭帯損傷(腱板損傷・TFCC損傷・関節唇損傷・半月板損傷など) >>

CRPS >>

脊髄損傷(頚髄損傷・胸髄損傷・腰髄損傷) >>

高次脳機能障害 >>

後遺障害診断書
ポイント① 傷病名

傷病名(診断名)は漏れなく記載する必要があります。
漏れがある事例としては、通院していた病院が1つではなく複数ある場合に、他院で診断された傷病名が記載されていないというケースが散見されます。
これにより後遺障害等級の認定に影響が出ることがありますので、注意が必要です。

ポイント② 自覚症状

痛みやしびれなどの神経症状は、この自覚症状欄の記載を出発点として、後遺障害等級の認定がなされます。
後遺障害診断書の記載の中で、最も重要と言っても過言ではない部分です。
「自覚症状」ですから、主治医ではなく、交通事故被害者本人のみ答えを知っているパートです。
主治医の先生に、漏れなく自覚症状を伝えましょう。
たとえば、首の痛みがあるのに、後遺障害診断書の自覚症状欄に記載されていなかったとすると、たとえ、他の診断書などに頚椎捻挫などの記載があったとしても、そもそも首の痛みについて後遺障害等級の審査すらしてくれません。
また、自覚症状欄の記載の仕方について、どのような場面で症状が出るのかを書いていくと際限がなくなりますし、揚げ足取りの材料に使われることが多いので、単純に「頚部痛」などと記載してもらうことをおすすめしています。

ポイント③ 他覚症状および検査結果

自覚症状と並び重要なパートです。
交通事故被害者に残ってしまった症状の医学的な裏付けについて書いてもらうパートになります。
そもそも必要な画像を撮っていないとか、必要な検査を実施していないという場合は、このパートに書くことが何もなくなってしまいますから、前提として必要な画像撮影や検査を実施していることが重要になってきます。
後遺症の種類ごとに書くべき内容は異なってきますので、詳しくは各後遺症のページをご覧ください。

むち打ち >>

骨折 >>

靭帯損傷(腱板損傷・TFCC損傷・関節唇損傷・半月板損傷など) >>

CRPS >>

脊髄損傷(頚髄損傷・胸髄損傷・腰髄損傷) >>

高次脳機能障害 >>

(4) 後遺障害の申請のポイント

後遺障害の申請のポイント

後遺障害の申請には、①事前認定(加害者請求)と②被害者請求の2種類があります。
事前認定というのは、加害者側の保険会社が後遺障害の申請をしてくれる手続です。
被害者請求というのは、加害者側の保険会社を介さず、被害者側で後遺障害の申請を行います。

メリット・デメリットの整理

メリット デメリット
事前認定(加害者請求)
  • 審査が早い
  • 保険会社おまかせなので手続きが楽
  • 保険会社は被害者に高い後遺障害等級が付いてほしいとは思っていない
  • 被害者に不利な意見書が提出されることがある
被害者請求
  • 自賠責への提出書類をこちらで選ぶことができる
  • 事前認定よりも結果が出るのに時間がかかる
  • 手続きが面倒

被害者請求をする場合は、後遺障害等級の判定がなされるまでに3か月程度かかることが多いですが(事案によってはもっと長くなります。)、事前認定をする場合には、これよりも早く後遺障害等級の判定がなされます。
ただし、加害者側の保険会社は、被害者に重い後遺障害等級が認定されることを嫌がりますから、被害者に適正な後遺障害等級が獲得できるようお手伝いをしてくれるというわけではありません。
場合によっては、後遺障害等級に該当しないと思いますという保険会社の意見書を付けて、後遺障害等級の申請をしているケースもあります。
そこで、保険会社が後遺障害の申請をしたとしても結果が変わらないようなものは、迅速さや手続の煩雑さ・費用面などを考えて事前認定を利用することもありますが、原則は、こちらで提出書類をそろえて被害者請求手続により後遺障害の申請をしていくのが良いと考えています。

(5) 損害保険料率算出機構の調査

損害保険率算出機構の調査

後遺障害の申請は自賠責保険会社に対して行いますが、自賠責保険会社は東京海上日動・損保ジャパン・あいおい・三井住友など種々の保険会社に分かれています。
ただし、加害者側の自賠責保険会社がどこであっても、後遺障害等級の調査は損害保険料率算出機構という組織が行うことになっていて、この機構が後遺障害等級の認定を行います。

後遺障害の申請をしてから結果が出るまでは3か月程度が目安ですが、後遺障害の内容によって審査機関にはばらつきがあります。
また、高次脳機能障害や非器質性精神障害などについては、特定部会での審査がなされますので、3か月では結果が出ないことが多いです。

(6) 後遺障害等級認定と異議申立て・紛争処理申請

後遺障害等級認定と異議申立て・紛争処理申請

後遺障害等級の結果が出たら、認定理由が付けられる運用となっています。
認定理由が納得いくものであれば、後遺障害等級を確定として、それに応じた損害賠償額を計算し、示談交渉をスタートさせます。
認定理由が納得のいくものではない場合は、異議申立てを行います。
異議申立ては、最初の申請の際と同じ証拠を提出しても、結果が変わらないことが多いので、新しい証拠を追加して行います。
新証拠を追加した異議申立てでも納得いく結果が得られなかった場合には、紛争処理申請をするか、諦めて示談交渉に進むか、裁判にて後遺障害等級の主張をしていくかということになります。

当初の自賠責の判断因果関係不明→異議申立てにより高次脳機能障害1級 >>

当初の自賠責の判断12級13号→異議申立てにより併合5級(高次脳機能障害7級+醜状7級) >>

当初の自賠責の判断脊柱変形11級7号→紛争処理申請により脊柱変形8級相当 >>

当初の自賠責の判断非該当→異議申立てにより醜状9級 >>

当初の自賠責の判断併合14級→異議申立てにより併合10級(歯11級+骨盤11級) >>

当初の自賠責の判断膝痛12級13号→異議申立てにより膝動揺関節10級相当 >>

当初の自賠責の判断むち打ち14級9号→異議申立てにより中心性脊髄損傷12級13号 >>

当初の自賠責の判断むち打ち14級9号→異議申立てによりむち打ち12級13号 >>

当初の自賠責の判断むち打ち14級9号→異議申立てによりめまい12級13号 >>

当初の自賠責の判断肩痛14級9号→異議申立てにより肩機能障害12級6号 >>

当初の自賠責の判断手痛14級9号→異議申立てによりTFCC損傷12級13号 >>

当初の自賠責の判断非該当→異議申立てにより半月板損傷12級13号 >>

当初の自賠責の判断足痛14級9号→異議申立てにより足外踝骨折12級13号 >>

当初の自賠責の判断非該当→異議申立てにより内側側副靱帯損傷12級13号 >>

当初の自賠責の判断非該当→紛争処理申請により外傷性くも膜下出血12級13号 >>

当初の自賠責の判断膝痛14級9号→異議申立てにより半月板損傷12級13号 >>

当初の自賠責の判断足痛14級9号→異議申立てによりリスフラン関節変形12級13号 >>

当初の自賠責の判断非該当→異議申立てにより下肢短縮障害13級8号 >>

当初の自賠責の判断非該当→異議申立てにより肩関節捻挫14級9号 >>

当初の自賠責の判断非該当→異議申立てにより右上腕骨大結節剥離骨折14級9号 >>

当初の自賠責の判断非該当→異議申立てによりむち打ち併合14級 >>

当初の自賠責の判断非該当→紛争処理申請により頬骨骨折14級9号 >>

(7) 保険会社との示談交渉のポイント

保険会社との示談交渉のポイント

後遺障害等級認定が終わった場合や、そもそも後遺症がないという場合は、保険会社との示談交渉をスタートさせます。
保険会社との示談交渉のポイントは、保険会社内の決裁金額をなるべく上げることです。
保険会社の担当者は金額を出せる「枠」というのを持っていて、その「枠」内での解決を目指します。
当事務所では、担当者の「枠」の上限を早期に引き出し、事案によっては、担当者の上司に「枠」の上限を超すことを認めさせるよう説得し、更に本部決裁や保険会社の取締役会の稟議に回させることもあります。
当事務所は保険会社側の仕事をしませんので、特に保険会社へ配慮する必要がありません。
また、やみくもに金額を上げろと言っていても、保険会社の担当者は金額を上げてくれませんので、金額を上げるための根拠資料を提出したり、電話口での交渉で保険会社の担当者を説得する必要があります。
弁護士はいざとなったら裁判をすることができますから、いま示談をしておかないと、裁判になった場合に、より高額の賠償金を支払うことになるという点を保険会社側に説得的に語り掛けていくことがポイントになってきます。
当事務所の弁護士は、1000件以上の示談交渉を経験してきていますので、示談交渉の際の駆け引きなどを得意としています。
示談解決で裁判基準満額の賠償金を認めさせたり、裁判基準以上の金額を認めさせたケースも多く存在します。

併合14級の後遺障害を残す50代女性・主婦につき、本来労働能力喪失率の裁判基準は5%であるところ、14%で示談解決した事例 >>

併合14級の後遺障害を残す30代男性・会社員につき、本来労働能力喪失率・期間の裁判基準は5%・5年であるところ、10%・10年で示談解決した事例 >>

併合14級の後遺障害を残す40代男性・自営業につき、本来労働能力喪失率・期間の裁判基準は5%5年であるところ、9%・7年で示談解決した事例 >>

併合14級の後遺障害を残す40代男性・会社員につき、本来労働能力喪失期間の裁判基準は5年であるところ、10年で示談解決した事例 >>

併合11級の後遺障害を残す20代女性・アルバイトにつき、本来裁判基準の後遺症慰謝料が420万円であるところ、後遺症慰謝料450万円で示談解決した事例 >>

12級14号の後遺障害を残す40代男性・会社員につき、本来裁判基準の後遺症慰謝料が290万円であるところ、後遺症慰謝料690万円で示談解決した事例 >>

(8) 示談による解決

示談による解決

示談をするか否かの基準

交通事故損害賠償請求のケースでは、示談書は免責証書と呼ばれることが多いです。
この免責証書を書く際の注意点は、これですべて終わりにする趣旨であるのか、将来追加請求の余地を残すかという点です。
例えば、後遺症の部分を除いて、通院慰謝料や休業損害の示談をするという場合は、将来後遺症についての慰謝料や逸失利益を請求する予定であることを残しておかないといけません。
具体的には、「後遺症に係る損害については別途協議する。」などといった文言を免責証書に入れておく必要が出てきます。
これを入れずに示談をしてしまうと、重い後遺症が残ってしまったとしても、後遺症についての賠償も認められなくなってしまう可能性があります。
また、後遺症の内容からして、将来症状が発生することがあり得るケースや、将来追加の手術代などが必要となるケースも存在します。
将来治療費を示談金として支払ってもらえるなら良いのですが、そうでないのであれば、「将来本件事故に基づく症状が発現した場合の損害については別途協議する。」であるとか「将来本件事故に基づく手術が必要となった場合の損害については別途協議する。」などといった文言を免責証書に入れておく必要があります。

示談書を書く際の注意点

交通事故損害賠償請求のケースでは、示談書は免責証書と呼ばれることが多いです。
この免責証書を書く際の注意点は、これですべて終わりにする趣旨であるのか、将来追加請求の余地を残すかという点です。
例えば、後遺症の部分を除いて、通院慰謝料や休業損害の示談をするという場合は、将来後遺症についての慰謝料や逸失利益を請求する予定であることを残しておかないといけません。
具体的には、「後遺症に係る損害については別途協議する。」などといった文言を免責証書に入れておく必要が出てきます。
これを入れずに示談をしてしまうと、重い後遺症が残ってしまったとしても、後遺症についての賠償も認められなくなってしまう可能性があります。
また、後遺症の内容からして、将来症状が発生することがあり得るケースや、将来追加の手術代などが必要となるケースも存在します。
将来治療費を示談金として支払ってもらえるなら良いのですが、そうでないのであれば、「将来本件事故に基づく症状が発現した場合の損害については別途協議する。」であるとか「将来本件事故に基づく手術が必要となった場合の損害については別途協議する。」などといった文言を免責証書に入れておく必要があります。

傷害部分の示談において、後遺障害部分は別途協議するとの条項を入れておき、示談後に後遺障害部分の損害賠償請求を行った事例 >>

交通事故のせいで義足となってしまった被害者のケースにおいて、将来義足を買い替える際には別途請求できる文言を挿入し示談した事例 >>

(9)民事裁判

民事裁判

管轄権を有する裁判所に訴状を提出して、民事裁判が始まります。
なお、管轄権というのは、事故発生場所(民事訴訟法第5条9号)、被害者の住所地(民事訴訟法第5条1号・民法第484条)、加害者の住所地(民事訴訟法第4条1項)の裁判所に生じます。例えば、事故が福岡県、被害者の住所地が東京都、加害者の住所地が佐賀県という場合、福岡地方裁判所、東京地方裁判所る程度出揃った段階で、裁判所より和解案が示されることが多いです。
裁判所和解案では、原告・被告双方の主張立証に対する、現時点での裁判所の見解が示され、被告が支払うべき損害賠償額(、佐賀地方裁判所のいずれかの裁判所に提訴することができます。当事務所の場合、管轄権を有する裁判所の裁判官情報を元に訴訟戦略を練り、ご依頼者の希望とすり合わせながら、どの裁判所に提訴するかを決定します。

提訴をすると、これまで保険会社の担当者が交渉にあたっていた事案であっても、保険会社側の弁護士が登場することになります。
民事裁判では、提訴をした方が原告、された方が被告となりますので、被害者側が原告、加害者側・保険会社側が被告ということになります。

第1回期日では、提出した訴状の陳述と、答弁書の陳述がなされます。被告の弁護士は形式的な答弁書のみ提出し、第1回期日には欠席することが多いです。
そして、第2回期日において、被告の弁護士から訴状に対する詳細な反論を記した準備書面が陳述され、第3回期日において、原告側の弁護士が再反論をするというような流れで、原告側と被告側の反論-再反論というラリーが続きます。

原告・被告双方の主張と書面による証拠があ解決金)が具体的に示されます。
書面で示す裁判官もいれば、裁判の期日において口頭で示す裁判官もいます。
裁判所和解案に、原告も被告も同意するとなった場合には和解成立となり、民事裁判は終了します。

他方で、原告・被告の両方又はいずれか一方が裁判所和解案に同意しないとなった場合には、民事裁判は終了せず、審理が続くことになります。

なお、裁判所和解案に納得しない理由について、証拠に基づき意見した場合、裁判所が和解案を修正してくれることがありますので、和解案を増額するチャレンジをした方が良いケースというのも存在します。
交通事故訴訟の場合、和解での解決率は概ね70%程度です。
和解が成立しなかった場合には、判決に進みます。
判決に進む場合は、判決前に尋問が行われるケースがあります。
過失割合に争いのあるケースでは、原告・被告双方の尋問が行われることが多いです。
尋問の結果を踏まえて裁判所が判決を書きますが、尋問後に裁判所和解案が出されるケースもあります。
判決に対しては、判決書を受け取った日から14日以内に控訴をすることができます(民事訴訟法第258条)。

交通事故発生から解決まで 2

刑事手続の流れ

交通事故は、故意犯(わざとした犯罪)ではなく、過失犯(うっかりしてしまった犯罪)ですので、加害者は不起訴とされるケースがほとんどです。
ただし、被害が重大な場合や、加害者の運転が悪質な場合(飲酒をした上での交通事故など)は、不起訴とされずに、加害者に罰金刑が下されたり、加害者が刑事裁判にかけられることがあります。
以下では、刑事手続の流れについて紹介していきます。

(1)捜査段階

捜査段階

事故の発生

交通事故の場合、加害者は在宅被疑者といって、逮捕や勾留をされずに、これまでどおり自宅に住んだまま、呼ばれた時のみ警察署や事故現場に出頭すれば良いということが多いです。

警察による捜査

事故場所を管轄する警察署の交通課による実況見分が行われます。

実況見分のみが行われて捜査終了ということが多いですが、被害者重症の事案や加害者の運転が悪質な場合には、実況見分のような事故態様の捜査の他に、加害者の取調べ、被害者の事情聴取なども行われます。

警察は、捜査を終えると、検察に捜査資料や証拠物を送付し、今度は検察が補充捜査を行います(在宅被疑者の事件の担当が警察から検察に移ることを一般に書類送検と呼びます。)。

なお、加害者が警察官により逮捕された場合は、身体拘束のときから48時間以内に、捜査資料や証拠物とともに、加害者の身柄も検察に送られます(刑事訴訟法第203条)。この場合は、加害者の身柄も一緒に移るので、書類送検とは呼びません。

検察による捜査

検察は、警察と違って、被疑者を起訴する権限や、刑事裁判に当事者として参加する権限を有していますので、刑事裁判を見据えて、警察の捜査資料で足りないところがないか検討し、補充捜査をします。とはいっても、検察が現場近くで聞き込みを行うなどすることはほとんどなく、警察に指示をしながら補充捜査を行うことが多いです。

補充捜査の内容は案件によりますが、加害者の取調べは、警察段階でなされたものが十分なものであったとしても、検察段階でも行われることがほとんどです。

被害者の事情聴取も、警察段階でなされたものに加え、検察段階でもなされることが多いですが、警察で作成された供述調書のみを証拠とすることもあります。

検察は、捜査を終えると、①公判請求(起訴)・②略式命令・③不起訴のいずれかの処分を選択しなければいけません。

なお、加害者が警察官により逮捕された場合、検察官は24時間以内に釈放するか勾留の請求をしなければなりません(刑事訴訟法第205条)。勾留の期間は勾留請求した日を含めて10日間とされていますが(刑事訴訟法第208条1項)、やむを得ない事情があるときは更に10日間を限度に延長できるとされています(同条2項)。検察は、この勾留期間内に、①公判請求(起訴)・②略式命令・③不起訴の処分のいずれかの選択をしなければなりません。

検察による終局処分

交通事故は、故意に(わざと)人を傷つける殺人や傷害と違って過失犯(うっかり罪を犯してしまった犯罪類型)ですので(ただし危険運転致死傷罪は除く。)、検察は不起訴処分とすることが多いです。

なお、仮に不起訴とされた場合でも、検察審査会への申立てにより不起訴処分が覆ることがあります。当事務所の弁護士の経験例でも、区検察庁が被疑者不明として不起訴処分としたことに対し検察審査会へ申立てを行い、不起訴不当の議決が出されました。その後、大規模検察庁に捜査権限が移り、無事起訴(公判請求)されています。

また、告訴をすることによって、加害者に略式命令(罰金刑)がなされたという解決事例もございます。

一度は不起訴処分とされたが、告訴をしたことにより、加害者に罰金刑が下された事例 >>

(2)刑事裁判

刑事裁判

交通事故被害が重大なケースや加害者の運転が悪質で、加害者が不起訴にならず刑事裁判にかけられたというケースについて説明します。

刑事裁判が始まるまでの準備

公判請求がなされた場合には、刑事裁判が開かれることになります
案件によって異なりますが、公判請求から1か月以上先に初回期日が設定されます。

刑事裁判で使われる証拠が事前に見られるのかという点については、刑事訴訟法で「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」と規定されています(刑事訴訟法第48条)。次長検事依命通達により、被害者は刑事裁判で使われる証拠の閲覧が可能とされていますので、刑事裁判が始まる前に証拠を見ることができます。
また、謄写(コピー)については、被害者参加の準備に必要である旨説明をすれば、許可されることがほとんどです。
どのような証拠に基づいて刑事裁判が行われるのかを把握するためには、早期に担当検察官と連絡を取って、謄写(コピー)の許可を得ることが大事です。
なお、大規模な検察庁の場合は、捜査担当検事と公判担当検事が分かれていますので、捜査のときに担当であった検察官が、裁判では担当ではないということがあります。検察庁内部で刑事裁判記録が捜査担当検事から公判担当検事に引き継がれた場合は、被害者サイドに連絡するよう伝えておき、公判担当検事ともスムーズな連携を取れるようにしておくのがよいでしょう。

連携がスムーズにいかないと、刑事裁判の期日が既に設定されてしまっていて、被害者が参加できない日に刑事裁判が勝手に行われてしまうということもありますので注意が必要です。

被害者参加の詳細はこちら >>

刑事裁判の期日回数

被告人が罪を認めている場合には、1回の期日で審理を終え、次の期日で判決ということが多いです。
案件によっては、1回の期日で判決まで済ませてしまうこともあります。
ただし、被害者参加をする場合には、こうした少ない期日では、十分な準備ができませんので、あらかじめ公判担当検事や裁判官と協議をして、複数回の期日を要請することが望ましいです。
なお、被告人が罪を犯したことを争っている場合には、刑事裁判が1年以上の長期にわたることもあります。

刑事裁判の流れ

冒頭手続
  1. 裁判長による人定質問(刑事訴訟規則第196条)

    刑事裁判のスタートは、裁判長による被告人に対する人定質問です。裁判長は被告人に対し、氏名・年齢・職業・住所・本籍を聞き、被告人が起訴されている人物と人違いではないことの確認が行われます。

  2. 検察官による起訴状朗読(刑事訴訟法第291条1項)

    次に、検察官が起訴状の朗読を行います。検察官が罪となるべき行為について、日時、場所、事故態様など具体的な事実を述べ、また、罪名と罰条についても述べられます。交通事故の場合の罪名及び罰条は、過失運転致傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)となることがほとんどですが、アルコールなどの影響によって正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ交通事故を起こした場合には危険運転致傷罪となります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条)。

  3. 裁判長による黙秘権などの権利告知(刑事訴訟法第291条3項,刑事訴訟規則第197条)

    次に、裁判長が被告人に対して、黙秘権などの権利告知を行います。具体的には、終始沈黙して、質問に対して答えないこともできるし、答えることもできる、何か発言をした場合には、被告人にとって有利になることもあれば不利になることもある、などが告げられます。

  4. 被告人・弁護人による罪状認否(刑事訴訟法第291条3項)

    次に、裁判長が被告人に対して、検察官が先ほど読み上げた起訴状に間違いがないかどうかが尋ねられます。これを罪状認否といいます。交通事故の場合には、被告人が「間違いありません」と答え、弁護人も「被告人と同意見です」と答えることがほとんどです。ひき逃げ事件で、しばらくの間、加害者が判明しておらず、起訴された被告人が「犯人は自分ではない」と話しているような案件では、否認事件となります。

    この罪状認否で、認め事件なのか否認事件なのかが判明しますが、裁判実務では、裁判が始まる前に、認めるのか否認するのかについて、裁判所より調査がなされていますので、事前に認め事件となるか否認事件となるかが判明していることがほとんどです。

    認め事件の場合には、量刑(刑の重さ)が主たる審理事項になり、期日も判決期日を含めて2回程度で終わることが多いです。

    否認事件の場合には、期日が1年以上の長期となることもあります。

    否認事件の場合、事案により進行が異なるため、以下では認め事件における進行を中心に説明していきます。

証拠調べ手続(刑事訴訟法第292条)
  1. 検察官による冒頭陳述(刑事訴訟法第296条)

    冒頭手続が終わると、次は検察官による冒頭陳述というものが行われます。
    被告人の経歴、前科前歴、犯行に至る経緯、犯行状況などが検察官によって語られ、証拠によって証明しようとする事実が何かを明らかにします。

  2. 検察官による証拠調べの請求(刑事訴訟法第298条1項,刑事訴訟規則第193条1項)

    検察官は冒頭陳述を終えると、刑事裁判で用いたい証拠を取り調べることを請求します。

  3. 弁護人による証拠調べ請求に対する意見(刑事訴訟規則第190条2項前段)

    検察官からなされた証拠調べの請求に対して、弁護人が同意・不同意などの意見を述べます。

    同意された証拠書類は刑事裁判で証拠とすることができ(刑事訴訟法第326条1項)、不同意となった証拠書類は刑事裁判で証拠とすることができないというのが原則です(刑事訴訟法第320条1項)。

    不同意となった証拠については、検察官が証拠調べの請求を撤回して、その書面の作成者などを証人尋問申請して、証拠書類の代わりに、法廷で証言してもらい、その証言を証拠として用いるといったことが行われます。

  4. 裁判所による証拠決定(刑事訴訟規則第190条1項)

    裁判所は、訴訟関係人の意見を踏まえ、証拠調べの必要性等を吟味した上で、証拠調べを認容する採用決定か、証拠調べの請求を却下する却下決定を行います。

  5. 検察官請求証拠の取調べ

    証拠決定がなされた証拠について、証拠調べが行われます。

    証拠調べの方式は、証拠書類を朗読するのが原則とされていますが(刑事訴訟法第305条)、実務では要旨の告知(刑事訴訟規則第203条の2)という方法が取られることがほとんどです。

    要旨の告知では、朗読と異なり、検察官がその証拠書類の要点のみを述べます。

  6. 弁護人請求証拠の取調べ

    検察官請求証拠の取調べと同様の順序で、弁護人請求証拠の取調べも行われます。

    交通事故の刑事裁判では、任意保険に加入していることを示す書類が提出され、被害者に満額の賠償がなされる予定であると立証されることが多いです。

  7. 情状証人の尋問

    認め事件の場合、被告人の監督を誓う立場の人(配偶者・親・職場の上司など)が情状証人として登場することがあります。

    証人尋問の順序は、①弁護人→②検察官→③裁判官の順です。

    なお、情状証人に対しては、裁判官の尋問はなされないこともあります。

    尋問内容としては、弁護人からの尋問に対しては、今後は自動車の運転はしないであるとか、するとしても注意して自動車に乗るよう監督するであるといったこと等が述べられ、検察官から、本当に今後自動車に乗らないのか、本当に監督できるのか等といったことが質問されていきます。

    なお、被害者参加をする場合、被害者が証人に対して直接質問をすることができます(刑事訴訟法第316条の36第1項)。

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  8. 被告人質問

    情状証人の尋問の後に、被告人質問が行われることが多いです。

    被告人質問の順序は、①弁護人→②検察官→③裁判官の順です。

    なぜ死亡事故を起こしてしまったのか、反省はしているのか、反省を踏まえて今後どうするのかといったことが質問されていきます。

    なお、被害者参加をする場合、ご遺族が被告人に対して直接質問をすることができます(刑事訴訟法第316条の37第1項)。

    また、被告人質問の後に、ご遺族の心情について意見を述べることもできます(刑事訴訟法第292条の2第1項)。

    被害者参加の詳細はこちら >>

検察官による論告・求刑(刑事訴訟法第293条1項,刑事訴訟規則第211条の2)

証拠調べが終わると、検察官は、被告人が罪を犯した事実や法律の適用について意見を述べます。これを論告と言います。
また、被告人の情状を挙げ、科せられるべき刑罰の種類や量についての意見も述べられ、これを求刑といいます。

交通事故は過失犯ですので、懲役刑ではなく、禁錮刑や罰金刑が選択されることも多いです。
なお、懲役刑と禁固刑の違いは、懲役刑の場合は身体拘束(刑務所に入ること)に加え強制労働が課せられるのに対し、禁固刑というのは身体拘束はされるものの労務作業は課せられないという点にあります。
なお、被害者参加をする場合、検察官の論告・求刑の後に、被害者が論告意見を述べることもできます(刑事訴訟法第316条の38第1項)。

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弁護人による最終弁論・被告人による最終陳述(刑事訴訟規則第211条)

検察官による論告・求刑の後は、弁護人による最終弁論が行われます。

認め事件の場合、任意保険に入っている、被告人は真摯に反省をしている、家族や会社の上司などが監督を誓っている、再犯可能性は低いなどが述べられ、弁護人から執行猶予付きの判決や低額の罰金刑が求められることになります。

弁護人による最終弁論が終わると、最後に、被告人が証言台の前に立たされ、裁判長より「最後に何か言っておきたいことはありますか?」と尋ねられ、被告人が最終陳述をすることになります。
交通事故の場合、被害者への反省の言葉が述べられることが多いです。

弁論の終結(結審)

被告人による最終陳述が終わると、裁判長は弁論の終結を宣言します(これを「結審」ともいいます。)。
そのまま判決手続に進むこともありますが、多くの場合、判決期日は、後日に指定されることになります。

判決の宣告

裁判長が判決の宣告を行います(刑事訴訟法第342条,刑事訴訟規則第35条1項)。

まず主文を読み上げ、その後に理由が述べられます(刑事訴訟規則第35条2項)。
判決の宣告後、被告人に対して、その将来の訓戒について述べられることもあります(刑事訴訟規則221条)。
また、有罪判決がなされた場合には、被告人に対し、判決日の翌日から14日の間であれば控訴できることや、控訴申立書を差し出すべき裁判所(高等裁判所ではなく有罪判決を出した裁判所)の案内もなされます(刑事訴訟規則220条)。

(3) 捜査中や刑事裁判中に加害者・弁護士・保険会社から
示談提示をされた場合はどうしたらよいか

捜査中や刑事裁判中に加害者・弁護士・保険会社から示談提示をされた場合はどうしたらよいか

加害者や刑事事件での加害者の弁護士から示談の提案があった場合、それは刑を軽くするために行われるものです。

加害者やその弁護士としては、加害者が反省していることを示すため、お金を用意して、被害者へ提供するということがあります。
「示談」や「和解」という形で提案があった場合には、それに応じてしまうと、以後、民事上の損害賠償請求をすることができなくなってしまうため、慎重に考える必要があります。こうした提案を受けた場合、被害者側専門の弁護士に相談しましょう。

また、示談や和解という形ではなく、「見舞金」という形で、金銭提供がなされることがあります。
この場合は、金額などにもよりますが、受け取った金額が損害賠償請求に影響しない(=受け取ったとしても損害賠償請求額が減らされない。)ことがあります。
いずれにしても、慰謝料額や損害賠償請求額に影響することがあるため、被害者側の専門の弁護士に相談し、対応を協議することをおすすめします。

保険会社の担当者や刑事事件の弁護士ではなく、保険会社の弁護士から示談の提案があった場合については、こちらをご覧ください >>

交通事故発生から解決まで 3

よくある質問

Q 交通事故に遭いむち打ちとなってしまいましたが、弁護士さんにお願いした場合、何か月くらいで解決しますか?

Q できれば裁判はしたくないのですが、裁判をせずに解決をすることは可能ですか?

Q 裁判したいのですが、必ず裁判してくれるのでしょうか?

Q 裁判をする場合、わたしも裁判所に行かないといけなくなるのですか?

Q 弁護士さんに依頼した後は、保険会社の担当者と話さなくてもよくなるのですか?

Q 交通事故の遭った日に警察を呼んで実況見分をしてもらったのですが、この時の警察の資料を入手することはできますか?

Q 加害者を刑務所に入れたいのですが、可能ですか?

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。