Other 交通事故で請求できる損害

交通事故の慰謝料額・賠償額は弁護士で変わります。

交通事故で請求できる損害

交通事故で請求できる損害 1

慰謝料

慰謝料

慰謝料というのは、被害者の被った精神的・肉体的苦痛による損害(非財産的損害)をてん補するものです(民法第710条)。
もともと裁判官の裁量が大きい損害項目であり、その性質上、出捐や事故前の現実収入のような算定の基礎とするものもないため、定額化が最初に行われた損害項目となっています。
従いまして、交通事故から一般的に生じる精神的苦痛(日常生活や就労における苦痛、治療を余儀なくされる苦痛、事故当事者として紛争解決に関わらなければならない苦痛など)は、通常は基準額で評価されていると扱われることになります。
逆を言えば、当該事故から通常考えられる精神的損害を超えるものが発生していることを裏付ける事実を具体的に主張・立証していけば、裁判基準より更なる増額も可能となるということです。

慰謝料は、人身事故の場合に必ず発生する入通院慰謝料(傷害慰謝料)と、後遺症が残ってしまった場合に発生する後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)の2つがあります。
後遺症が残ってしまった場合には、入通院慰謝料(傷害慰謝料)と後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)の2つの慰謝料を請求できるということになります。
なお、被害者が重度の後遺症を負ってしまった場合には、近親者も慰謝料の請求をすることができます。
これについては、重度後遺障害特殊の損害のパートをご覧ください。
ここでは、入通院慰謝料(傷害慰謝料)後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)慰謝料増額事由について説明していきます。

(1) 入通院慰謝料(傷害慰謝料)

保険会社の慰謝料相場

自賠責保険の慰謝料基準は、通院日額4300円(令和2年3月31日以前の交通事故は4200円)とされています。
任意保険の慰謝料基準も、自賠責保険に準拠していることが多く、自賠責保険基準の倍額が上限とされています。
いずれにしても弁護士介入後の裁判基準の慰謝料額よりも低くなります。

裁判基準の慰謝料相場

裁判基準の慰謝料相場、軽傷かどうかによって分けられています。
神経根症型や脊髄症型ではない単なるむち打ちの場合や、軽い打撲・軽い挫傷・軽い挫創の場合は、低い慰謝料相場とされ、それ以外の場合は高い慰謝料相場が適用されます。

原則的な入通院慰謝料相場(単位:万円)
通院\入院 0か月 1か月 2か月 3か月 4か月 5か月 6か月 7か月 8か月 9か月 10か月 11か月 12か月 13か月 14か月 15か月
0か月 0 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1か月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2か月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3か月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4か月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5か月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6か月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346 352
7か月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344 348 354
8か月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341 346 350 356
9か月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338 343 348 352 358
10か月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335 340 345 350 354 360
11か月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332 337 342 347 352 356 362
12か月 154 183 211 236 260 280 298 314 326 334 339 344 349 354 358 364
13か月 158 187 213 238 262 282 300 316 328 336 341 346 351 356 360 366
14か月 162 189 215 240 264 284 302 318 328 338 343 348 353 358 362 368
15か月 164 191 217 242 266 286 304 320 332 340 345 350 355 360 364 370

※入院16か月以降は、6万円ずつ加算

※通院16か月以降は、2万円ずつ加算

※なお、大阪地方裁判所や名古屋地方裁判所では別の慰謝料基準が採用されていますが、大きな金額の差はありません。

他覚所見のないむち打ち・軽い打撲・軽い挫傷・軽い挫創の入通院慰謝料相場 (単位:万円)
通院\入院 0か月 1か月 2か月 3か月 4か月 5か月 6か月 7か月 8か月 9か月 10か月 11か月 12か月 13か月 14か月 15か月
0か月 0 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1か月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2か月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3か月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4か月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5か月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6か月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229 234
7か月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225 230 235
8か月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219 226 231 236
9か月 109 129 147 158 169 178 185 191 197 202 208 214 220 227 232 237
10か月 113 133 149 159 170 179 186 192 198 203 209 215 221 228 233 238
11か月 117 135 150 160 171 180 187 193 199 204 210 216 222 229 234 239
12か月 119 136 151 161 172 181 188 194 200 205 211 217 223 230 235 240
13か月 120 137 152 162 173 182 189 195 201 206 212 218 224 231 236 241
14か月 121 138 153 163 174 183 190 196 202 207 213 219 225 232 237 242
15か月 122 139 154 164 175 184 191 197 203 208 214 220 226 233 238 243

※入院16か月以降は、6万円ずつ加算

他覚所見のないむち打ち・軽い打撲・軽い挫傷・軽い挫創の入通院慰謝料相場 (単位:万円)

※なお、大阪地方裁判所や名古屋地方裁判所では別の慰謝料基準が採用されていますが、大きな金額の差はありません。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)の詳細解説

ア 原則は高い基準を用います

裁判基準の慰謝料相場には2つの表がありますが、原則は高い方の基準を用います。
例外的に低い基準を用いるケースというのは、神経根症型や脊髄症型などではない単純なむち打ちの場合や、軽い打撲・軽い挫傷・軽い挫創の場合です。

なお、神経根症型や脊髄症型などむち打ちの詳細についてはこちらをご覧ください。

イ 入通院慰謝料増額事由
  1. ①自宅療養中は入院期間と扱われることがあります

    入院待機中の期間や、ギプス固定中など安静を要する自宅療養期間は、慰謝料の算定上は、実際は入院していなくても入院期間とみることがあります。
    当事務所の弁護士の解決事例でも、実際入院していない期間を入院期間とする慰謝料算定に成功した事例が複数あります。

  2. ②被害者側の事情による入院期間を短縮させた場合の慰謝料増額

    被害者が幼児を持つ母親であったり、仕事などの都合で特に入院期間を短縮したと認められる場合には、入通院慰謝料金額が増額されることがあります。

  3. ③傷害の部位・程度による増額

    傷害の部位・程度によっては、慰謝料額が20%~30%増額されます。
    例えば、大腿骨の複雑骨折又は粉砕骨折や、脊髄損傷を伴う脊柱の骨折などは苦痛や身体の拘束が強い症状とされていますので、慰謝料の増額がなされやすいbrと思われます。
    また、脳や脊髄の損傷、多数の箇所にわたる骨折、内臓破裂を伴う傷害の場合も、通常生命の危険があることが多く、慰謝料の増額がなされやすいと思われます。

  4. ④手術関係による増額

    生死が危ぶまれる状態が継続したとき、麻酔なしでの手術など極度の苦痛を被ったとき、手術を繰返したときなどは、入通院期間の長短にかかわらず別途慰謝料増額を考慮するとされています。

  5. ⑤その他裁判例に見る個別事情による増額

    • 留年(50万円加算。岡山地方裁判所平成2年9月28日判決 交通事故民事裁判例集第23巻5号1257頁)
    • ゴルフツアー予選出場不能(25万円加算。大阪地方裁判所平成12年2月29日判決 交通事故民事裁判例集第33巻1号407頁)
    • 3年以上にわたる入院後離婚(600万円認定。東京地方裁判所平成14年4月16日判決 交通事故民事裁判例集第35巻2号518頁)
    • 選挙立候補断念(50万円加算。横浜地方裁判所平成23年12月21日判決 交通事故民事裁判例集第44巻6号1611頁)
    • 法科大学院試験での焦燥感(15万円加算。東京地方裁判所平成25年1月25日判決 交通事故民事裁判例集第46巻1号129頁)
    • 通院期間4か月だが多発性肋骨骨折のため介護職の就労に制限があり退職(160万円認定。名古屋地方裁判所平成28年2月19日判決 交通事故民事裁判例集第4巻1号219頁)
  6. ⑥他の損害費目の否定又は制限による慰謝料増額

    例えば、整骨院施術費が全部又は一部否定されるなど、慰謝料以外の他の損害費目が否定/制限される場合、その補完調整機能として慰謝料が増額されることがあります。

  7. ⑦加害者側の事情による増額

    これについては、後遺症慰謝料の増額事由ともなりますので、こちらをご覧ください。

※解決事例にみる入通院慰謝料増額事例

併合8級の後遺障害を残す50代女性・兼業主婦につき、傷害の重さから、裁判基準の1.2倍の慰謝料で示談解決した事例 >>

10級10号の後遺障害を残す20代男性・学生につき、裁判で、通院期間を入院期間とみて慰謝料を算定させた事例 >>

後遺障害等級12級13号の後遺障害を残す40代男性・公務員につき、通院期間を入院期間とみて慰謝料を算定させた事例 >>

併合14級の後遺障害を残す30代男性・会社員につき、仕事の支障を具体的に立証して、本来裁判基準の通院慰謝料が109万円であるところ、裁判基準を超えて通院慰謝料139万円で示談解決した事例 >>

14級9号の後遺障害を残す20代女性・学生につき、裁判で学校生活の支障や就職活動への影響を立証し、通院慰謝料を裁判基準の約2割増しを認めさせた事例 >>

ウ 通院慰謝料減額事由

通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ実通院日数の3.5倍(軽症の場合は3倍)程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもあるとされています。
例えば、骨折をしてしまい、月1回のペースで20か月間通院したとします。
20か月間の通院慰謝料は172万円とされていますが、長期通院であるとして上記の減額をされてしまう場合は、実通院日数20回×3.5倍=70日(2か月10日)の通院期間分の慰謝料まで減額されてしまい、通院慰謝料額は60万円程度まで減額されてしまいます。
あくまで減額の目安であって、必ず減額するというルールではありませんので、20か月間の苦痛の程度などを立証し、減額されないような活動をしていかなければなりません。
なお、具体的に何か月が「長期」にあたるのかについての基準はありませんが、『交通事故損害額算定基準‐実務運用と解説‐』を参考に考えると、1年以上の通院が「長期」と評価されやすくなるものと思われます。
また、保険会社の担当者は、通院が1年に満たないようなケースでも、実通院日数3.5倍(軽症の場合は3倍)で通院期間を計算してくることが多いですが、「長期」と評価できないケースにおいて、実通院日数から通院期間を計算することは誤りです。

(2) 後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)

保険会社基準と裁判基準の比較

後遺症慰謝料も、保険会社の基準と弁護士介入後の裁判基準とで大きな差があります。

保険会社の基準は、自賠責保険基準が明確に定められていて、任意保険の基準もこれと同額かこれより少し高い程度となることが多いです。

(令和2年4月1日以降の交通事故)
自賠責保険基準 裁判基準
14級慰謝料 32万円 110万円
13級慰謝料 57万円 180万円
12級慰謝料 94万円 290万円
11級慰謝料 136万円 420万円
10級慰謝料 190万円 550万円
9級慰謝料 249万円 690万円
8級慰謝料 331万円 830万円
7級慰謝料 419万円 1000万円
6級慰謝料 512万円 1180万円
5級慰謝料 618万円 1400万円
4級慰謝料 737万円 1670万円
3級慰謝料 861万円 1990万円
2級慰謝料 998万円
※介護を要する場合は1203万円
2370万円
1級慰謝料 1150万円
※介護を要する場合は1650万円
2800万円
(令和2年3月31日以前の交通事故)
自賠責保険基準 裁判基準
14級慰謝料 32万円 110万円
13級慰謝料 57万円 180万円
12級慰謝料 92万円 290万円
11級慰謝料 135万円 420万円
10級慰謝料 187万円 550万円
9級慰謝料 245万円 690万円
8級慰謝料 324万円 830万円
7級慰謝料 409万円 1000万円
6級慰謝料 498万円 1180万円
5級慰謝料 599万円 1400万円
4級慰謝料 712万円 1670万円
3級慰謝料 829万円 1990万円
2級慰謝料 958万円
※介護を要する場合は1163万円
2370万円
1級慰謝料 1100万円
※介護を要する場合は1600万円
2800万円

後遺症慰謝料の増額事由

ア 労働能力喪失の程度が後遺障害等級に比して大きい場合

後遺障害等級の認定がなされた場合、その認定等級に応じた労働能力喪失率が定められています(労働省労働基準局長通牒昭和32年7月2日基発第551号)。
例えば、後遺障害等級14級の認定がなされた場合の労働能力喪失率は5%とされています。
親指以外の手指の指骨を失った場合は、後遺障害等級14級6号が認定されますが、プロのピアニストが交通事故に遭い、この後遺障害等級認定を受けた場合には、労働能力喪失率は5%では収まらないことになりそうです。
このようなケースでは、後遺症慰謝料も増額される傾向にあります。

イ 労働労力喪失の程度が後遺障害等級に比して小さい場合

アとは逆に、労働労力喪失の程度が後遺障害等級に比して小さい場合、逸失利益を減額する代わりに、後遺症慰謝料額を増額して、全体の損害額を調整することがあります。

具体的には、体幹骨の変形、歯牙障害、醜状障害などの後遺症の場合、仕事への支障の程度が明らかでなく、労働能力喪失率が基準よりも減らされ、逸失利益が減額されることがあり、このようなケースで、後遺症慰謝料額が増額されることがあります。

ウ 後遺障害等級認定に至らない後遺症の評価

2本の歯牙障害、てのひら大には至らない上肢下肢の醜状障害など後遺障害等級は非該当であるが、後遺症が残っているといったケースでは、当該事情を考慮して後遺症慰謝料が算定されることがあります。

エ 他の損害費目の否定又は制限による慰謝料増額

例えば、将来治療費の全部又は一部否定されるなど、慰謝料以外の他の損害費目が否定/制限される場合、その補完調整機能として慰謝料が増額されることがあります。

オ 加害者側の事情による増額

(3) 慰謝料増額事由

下記のようなケースでは、弁護士に依頼した場合に用いられる裁判基準の入通院慰謝料相場や後遺症慰謝料相場から更に増額します。

ア 加害者の悪質さによる慰謝料増額

加害者の悪質さにより慰謝料相場から増額されるケースとしては、下記のようなものが挙げられます。

  1. ①加害者が故意に(わざと)交通事故を起こした場合

    わざと交通事故を起こした場合に限られず、交通事故を起こした後に被害者を引きずった等といった事例も含まれます。

    • 衝突の瞬間、傘を持った人に車をぶつけたかもしれないと考えながらも、約33m走行させてから停車し、車から降りずに、運転席から上半身を車外に乗り出して右後方を見ただけで発進させ、さらに120m引きずったケース(東京地方裁判所平成22年5月12日判決 交通事故民事裁判例集第43巻3号568頁)
  2. ②加害者が無免許運転で交通事故を起こした場合

  3. ③加害者が交通事故の後にひき逃げをした場合

  4. ④加害者が酒酔い運転で交通事故を起こした場合

  5. ⑤加害者が著しいスピード違反で交通事故を起こした場合

  6. ⑥加害者がことさらに信号無視をして交通事故を起こした場合

  7. ⑦加害者が薬物などの影響により正常な運転ができない状態で運転して交通事故を起こした場合

  8. ⑧加害者が居眠り運転で交通事故を起こした場合

  9. ⑨加害車があおり運転で交通事故を起こした場合

    事故の例としては、下記のような事例が挙げられます。

    • 加害車が、被害車両に非常識な割り込みをされたと立腹し、報復のため至近距離を保ったまま約400mにわたって加害車両であおり運転を行い、被害車両がほぼノーブレーキで先行車へ衝突するという事故を招いたケース(大阪地方裁判所平成18年8月31日判決 交通事故民事裁判例集第39巻4号1215頁)
  10. ⑩加害者が交通事故の後に著しく不誠実な態度をとっていた場合

    加害者が交通事故後に著しく不誠実な態度をとっていた場合の裁判例は下記のとおりです。裁判例を見ていくと、交通事故直後の問題行動、捜査段階や刑事裁判における虚偽供述や不合理な弁解、証拠隠滅、反省や謝罪の態度がまったくみられない、といった場合に慰謝料増額がなされる傾向にあるといえます。

    • 逮捕後も完全黙秘し、刑事裁判でも事故は被害者の速度違反によるものであるなどと述べ、謝罪の言葉すら述べないこと(東京地方裁判所平成15年5月12日判決 交通事故民事裁判例集第36巻3号697頁)
    • 交通事故後、携帯で電話をかけたり小便をしたりタバコを吸ったりするだけで救助活動を一切しなかったことや、捜査段階で自らの罪を逃れるため、被害者がセンターラインを先にオーバーしてきたと供述したこと(東京地方裁判所平成16年2月25日判決 自保ジャーナル1556号13頁)
    • 事故後発覚を恐れて運行記録をチャートから破棄したこと(大阪地方裁判所平成19年4月10日判決 自保1718号21頁)
    • 加害者が刑事裁判において遺族から常軌を逸した対応と評価されてもやむを得ないような訴訟態度を示したこと、遺族に対して真摯な反省ないし謝罪を示していないこと(大阪高等裁判所平成19年4月26日 自保ジャーナル1715号2頁)
    • 朝まで量がわからないくらい飲酒し、事故後救護せずコンビニで強力な口臭消しを購入し、衝突まで全く被害者に気がついていなかったにもかかわらず捜査段階ではこれを隠す供述をしたこと(大阪地方裁判所平成20年9月26日判決 自保ジャーナル1784号15頁)
    • 交通事故発生後に現場から逃走し、破損したナンバープレートを捨てるなどの証拠隠滅行為を行ったこと(名古屋地方裁判所平成22年2月5日判決 交通事故民事裁判例集第43巻1号106頁)
    • 抗てんかん薬の服用を怠っていたにもかかわらず、刑事事件の公判廷等で薬を服用していた旨の虚偽の供述をしたこと(横浜地方裁判所平成23年10月18日判決 判例時報2131号86頁)
    • 刑事裁判で不合理な弁解に終始したこと(東京地方裁判所平成24年3月27日判決 交通事故民事裁判例集第45巻2号422頁)
    • ひき逃げの刑事裁判で否認をしたこと(東京地方裁判所平成24年7月18日判決 交通事故民事裁判例集第45巻4号830頁)
  11. ⑪その他の加害者の悪質さによる慰謝料増額

    • 加害者が会社から取り外しの指示があったにもかかわらず、大型貨物車の助手席ドアのガラス部にスモークフィルムを貼って左方視界を悪化させていたケース(千葉地方裁判所平成19年10月31日判決 交通事故民事裁判例集第40巻5号1423頁)

イ 保険会社の悪質さによる慰謝料増額

保険会社の悪質さが考慮されて慰謝料相場から増額されるケースとしては、下記のようなものが挙げられます。

交通事故で請求できる損害 2

休業損害

休業損害

休業損害は、被害者の属性によって判断基準が異なります。

(1) 給与所得者(正社員・派遣社員・アルバイトなど)

休業損害証明書に基づいて請求します

お給料をもらって仕事をしている方については、休業損害証明書に基づいて、休業損害を請求していくことになります。
正社員・派遣社員・アルバイトなどお給料をもらって仕事をしている方で、交通事故のせいで仕事を休むことになってしまった方は、お勤め先に「休業損害証明書」を書いてもらってください。
書き方がわからないであるとか、新しい会社で働き始めたばかりで交通事故の前3か月の給料が書けないなどの事情がある方は、被害者側専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。
休業損害証明書には、交通事故前3か月間の稼働日数や支給された額面給与などが記されます。
例えば、1月に交通事故に遭った被害者の場合ですと、10月11月12月の稼働日数や支給された額面給与が記されることになるのです。
ここで、10月11月12月の稼働日数が合計60日、額面給与が合計90万円だったAさんが、交通事故に遭い、30日分欠勤したケースで考えてみましょう。
一般的な休業損害の計算は、90万円÷60日×30日=45万円ということになります。
これに対して保険会社は、90万円÷92日×30日≒29万円という計算をしてくることがあります。
前者の計算式では稼働日数60日で割っているのに対して、後者の保険会社計算式では10月11月12日の総日数で割っています。
これは保険会社の計算が誤りです。
Aさんは事故前3か月で60日しか働いておらず、残り32日は休みだったわけですから、休みの日をカウントしてはいけません。
保険会社計算のように92日で割る場合は、掛ける休業日数は欠勤日ではなく、休業期間分の全日数としなければなりません。

交通事故で休むときは有給休暇を利用しましょう

交通事故で休むときは、有給休暇を利用した方が良いです。
有給休暇を使った場合は、会社からお給料が支払われますが、これとは別に休業損害を加害者の保険会社から支払ってもらえます。
例えば、交通事故で1か月仕事を休むという場合、すべて有給休暇で休みをとり、40万円の給料を会社から受け取ったとします。
この場合、保険会社からも休業損害として40万円の休業損害が支払われます。
従いまして、本来仕事をしていたとしたとしても1か月40万円の給料だったのが、1か月仕事を休んで倍の80万円の金額を受け取ることができるのです。
交通事故での怪我の場合、普段よりかは会社を休みやすいと思いますし、これを機に有給休暇を消化するようにしましょう。
ただし、近い将来、長期旅行に行くために有給休暇を貯めているなどの事情のある方もいらっしゃると思いますので、無理をして有給休暇を消化する必要はありません。
特に有給休暇についてこだわりのない方や、普段消化できずに困っている方については、交通事故で仕事を休むときは、有給休暇を消化することをおすすめします。

通勤中の交通事故は労災の利用がお得です

労災を利用すると必ず20%得をするようになっています

正社員・派遣社員・アルバイトなどお給料をもらって仕事をしている方が、通勤途中(帰り道も含む。)に交通事故に遭ってしまった場合は、労災の利用を考えましょう。
労災には、治療費に関するもの(療養給付)、後遺症に関するもの(障害給付)など様々ありますが、休業損害に関して休業給付というものがあります。
労災での休業給付は、休業して給料が減った分(若しくは有給を消化した分)の80%が支払われることになっています。
100%支払われるわけではないため、残りを加害者側の保険会社に請求していくことになるのですが、ここがポイントで、加害者の保険会社に対して、40%の休業損害を請求できることになっています。
すなわち、合計で120%の休業損害を回収できることになり、普通に働くよりも、多くの給料相当額を受け取ることができます。
これは、労災の休業給付の内の20%が特別支給金と呼ばれるもので、損害賠償請求とは無関係に支給されるものだからです。
なお、労災の特別支給金のみを申請することも可能で、この場合は、労災から20%の休業給付を受け取り、加害者の保険会社に対して100%の休業損害を請求していくことになります。
月の給料が40万円の方が1か月間有給休暇を使って休んだ場合を例にとると、まず会社から有給休暇の消化として40万円の給料が支払われます。
そして、労災から特別支給金として8万円の給付を受け取れます。
さらに、加害者側の保険会社から、休業損害として40万円を回収できます。
従いまして、本来仕事をしていたとしたとしても1か月40万円の給料だったのが、1か月仕事を休んで88万円の金額を受け取ることができるのです。
有給休暇の消化だけでなく、労災の特別支給金の利用をおすすめします。

労災は過失相殺の影響を受けづらいです

被害者と加害者とでどちらが悪いとも言い難い交通事故の場合は、過失割合が50:50になることがあります。
この場合は、本来半分の休業損害しか請求できません。
仮に、保険会社から満額の休業損害を支払ってもらったとしても、後で慰謝料など他の損害費目から満額は払い過ぎだったということで引かれてしまいます。
しかし、労災を利用して休業給付を受け取る場合には、過失割合が50:50だったとしても満額の支払いがなされますし、仕事に関する給付以外の損害から、後で引くということも禁止されています。
従いまして、労災で休業給付を受け取った場合には、後で慰謝料の金額が減らされるということがありません。
また、従来、労災を利用すると、自賠責保険の傷害部分120万円枠が減らされていたのですが、最高裁判所平成30年9月27日判決(判例時報2401号22頁)はこれを禁止する判断を示しました。
そして、自賠責保険では、被害者側に過失があったとしても、その過失が7割未満であれば、過失相殺されない運用になっています。
従いまして、過失割合のあるケースでは、労災と自賠責をうまく併用することで、過失が無かった場合に近い賠償額を獲得できることになります。
ここは専門的な判断が必要な箇所ですので、通勤中に自身にも過失のある交通事故に遭ってしまった方については、被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

お勤め先に賞与減額証明書も書いてもらいましょう

賞与減額証明書

交通事故被害に遭い仕事を休んだという場合、その欠勤によって、賞与(ボーナス)が減らされてしまうということがあります。
このようなケースでは、会社に賞与減額証明書を書いてもらってください。
交通事故に遭っていなかったとしたらもらえたであろう賞与に足りない部分については、加害者側の保険会社から回収することができます。

お仕事もしているし家族のために家事(介護含む)もしているという方

お仕事もしているし家族のために家事(介護含む。)もしているという方については、仕事を休んだことによる休業損害と、家事がしづらくなったことによる休業損害の、いずれか高い方の金額を請求していくことになります。
家族のための家事や介護というのはお金をもらっているわけではないので金銭換算が難しいのですが、相場としては、むち打ちの症状が残ってしまったというケースでは、50万円以上の休業損害が認められることが多いです。
従いまして、むち打ちの症状が残ってしまった場合については、お仕事を休んだことによる給料の減少(若しくは有給休暇消化分)が50万円を超えるかどうかというのが、大雑把な目安になります。
超える場合には、お仕事を休んだことによる休業損害を請求し、超えない場合には家事がしづらくなった休業損害を請求していくということになります。

夫と共に事業をしている妻について主婦としての休業損害が100万円以上認められた事例(むち打ち) >>

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(2) 事業所得者の方(主に自営業者)

自営業者の休業損害の請求は非常に難しい分野です

自営業者の方が交通事故に遭った場合、①事業を継続するのか、②事業を一時休みとするのか、③廃業するのかといった経営判断を迫られることになります。
保険会社は営利企業ですので、そもそもなるべく休業損害を支払いたくないというスタンスです。
また、裁判所も、損害賠償請求を考えるにあたって、「損害の控えめな認定」という思考回路を持っていて、証拠上明らかでない休業損害については、消極的に考える傾向にあります。
従いまして、一般論としては、自営業者の方が交通事故に遭ってしまったという場合、「保険会社から収入減少分は補填されるだろう」との考えの下に、事業を休んだり、廃業したりすることはおすすめできません。ただし、交通事故で入院してしまい仕事しようにもできない、手先を使う仕事だが手をケガしてしまって仕事にならない、首腰が痛くて運転ができなくなり営業に回れないなど、やむを得ない休業や廃業の事例は存在します。
そのような場合には、なるべく高い金額での休業損害を認めさせるべく、周到な準備をしてくことが重要となります。
自営業者の方が交通事故に遭った場合の休業損害は、損害論の中でも、最も難しい分野の一つとされていますので、被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

①事業を休まずに継続させたケース

交通事故に遭ってしまったが、事業を休まずに継続させたケースについては、交通事故に遭っていなければ得られたであろう収入と、交通事故後の収入との差額を、休業損害として請求していくことになります。
その場合の主な資料は確定申告書類や帳簿類になりますので、お仕事関係の資料は大事に保管しておいていただくことをおすすめします。
仮に申告をしておらず、仕事関係の資料が一切ないという場合は難しい戦いになりますが、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。
当事務所の弁護士の解決事例でも、確定申告をしていないケースや、確定申告をしていたが元々赤字申告であったというケースで、休業損害を獲得できた事例が多数存在します。
なお、ご自身は仕事を休まれた若しくはセーブしたという場合で、他者に応援を頼んで事業継続させたであるとか、従業員により働いてもらって事業継続させたような場合は、応援代や追加人件費を損害として請求していくことになります。
いずれにしても資料が重要ですので、請求書・見積書・領収書・預金通帳などお金の流れに関する資料は、すべて保管しておいてください。

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②事業を休業させたケース

交通事故に遭ってしまったが、事業を休業させたケースについては、交通事故に遭っていなければ得られたであろう収入を、休業損害として請求していくことになります。
また、廃業ではなく休業ですので、売上が減少し、流動経費も減少するのに対して、地代家賃など固定経費は払い続けなければならないという状況に置かれると思います。
こうした地代家賃などの固定経費分も請求していきます。
この場合の主な資料は確定申告書類や帳簿類になりますので、お仕事関係の資料は大事に保管しておいていただくことをおすすめします。
仮に申告をしておらず、仕事関係の資料が一切ないという場合は難しい戦いになりますが、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。
当事務所の弁護士の解決事例でも、確定申告をしていないケースや、確定申告をしていたが元々赤字申告であったというケースで、休業損害を獲得できた事例が多数存在します。

事故後休業を余儀なくされたウェブデザイナーについて、保険会社から休業損害は払わない旨の示談提示があったのに対して、弁護士介入後に200日分の休業損害が認められた事例 >>

③廃業したケース

交通事故に遭ってしまったが、事業を廃業させたケースについては、交通事故に遭っていなければ得られたであろう収入を、休業損害として請求していくことになります。
この場合の主な資料は確定申告書類や帳簿類になりますので、お仕事関係の資料は大事に保管しておいていただくことをおすすめします。
仮に申告をしておらず、仕事関係の資料が一切ないという場合は難しい戦いになりますが、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。
当事務所の弁護士の解決事例でも、確定申告をしていないケースや、確定申告をしていたが元々赤字申告であったというケースで、休業損害を獲得できた事例が多数存在します。
また、廃業の場合は、交通事故と廃業との因果関係を繋げることがポイントとなってきます。
従来していた事業の内容と、交通事故によるおケガの内容を照らし合わせて、作業ができないことを医学的に立証できるかが重要となってきます

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(3) 会社役員

会社役員の方の休業損害については、受け取られていた役員報酬の性質が、労働の対価として払われていたものであるのか、利益配当として払われていたものであるのかがポイントとなってきます。
社長や会長などの役員の方の中には、いまは一線を退いているが、これまでの事業への貢献として役員報酬が支払われ続けているというケースがあると思いますが、これは株式配当と同様、利益配当の性質を持ちますので、交通事故時点において労働をしていない役員の方が交通事故に遭ったとしても、休業損害は支払われません。
ただし、こうした役員の方というのは少数で、多くの役員の方々は、実際、営業などの労働をしていることが多いように思われます。
そこで、仕事内容、企業規模などをヒアリングさせていただき、入手可能な限りで資料を整え、役員報酬が労働の対価として払われていたことを証明して、休業損害を請求していくこということになります。

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(4) 家事従事者(家族のために家事や介護をしている方)

家事ができなくなった/しづらくなったことにより、もらえる損害額

骨折で長期入院をするなど重傷のケース

交通事故に遭った年にもよりますが、治療期間中1日あたり1万円を少し超える金額が認められます。
例えば、交通事故により丸々1年間治療をして、その間家事ができなかったという場合は、400万円弱の休業損害が認められることになります。
なお、これは弁護士に依頼したケースの話で、弁護士の介入が無い場合は、日額6100円(令和2年3月31日以前の交通事故の場合は日額5700円)という計算になり、1年間家事ができなくなった休業損害額は約223万円(令和2年3月31日以前の交通事故の場合は約208万円)となり、弁護士に依頼するか否かで休業損害に倍近い差が生まれます。

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むち打ちなど重傷とはいえないが症状が残ってしまったケース

むち打ちなど重傷とはいえないが症状が残ってしまったケースというのは、家事が不可能になるというわけではなく、家事がしづらくなるということになります。
そのため、重傷のケースと異なり、治療期間中100%の休業損害までは認められないことが多いです。
事案によって異なりますが、相場としては50万円以上を目標にすることが多いです。

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症状が残らず完治したケース

症状が残らず完治したというケースでも、完治に至るまでは痛みなどの症状が出ていたはずですので、その間の家事のしづらさの休業損害を請求していくことになります。
おケガの内容や、どのくらいの治療期間で完治したのかなどによって、休業損害の金額は異なってきます。
相場としては30万円程度が目安になりますが、事案によってこれよりも低くなることもあれば、高くなることもあります。

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Point
主婦(専業主婦・兼業主婦)立証のポイント

まず同居の家族構成を明らかにする必要があります。
住民票を取り付けるのが一般的で、高校生以下のお子さんが載っている場合は、お母さんが家事をしているだろうという予測が働きますので、主婦としての休業損害が認められやすい傾向にあります。
お子さんが同居していない、若しくは、お子さんが同居しているが既に成人しているといった場合には、同居家族の方の収入資料を入手するのが良いです。
同居家族の方の収入で家計が賄われていて、ご自身は家事をして家庭を支えているということを立証していきます。
お仕事をしながら家事もされているという方の場合は、ご自身の収入資料と、他の同居家族の方の収入資料とを入手するのが良いです。

男性であっても主夫休業損害が認められます

交通事故に遭った年にもよりますが、治療期間中1日あたり1万円を少し超える金額が認められます。
例えば、交通事故により丸々1年間治療をして、その間家事ができなかったという場合は、400万円弱の休業損害が認められることになります。
近年、男は外に出て、女は家にいるという昭和以前の価値観に変化が見られ、男性であっても家事を行っているというケースが増えてきています。
従いまして、従来の裁判例の傾向よりも、今後は男性の主夫としての休業損害が認められやすくなっていくものと思われます。
この場合、同居の奥様やお子さんの収入資料などがあると、男性の主夫としての休業損害が認められやすくなります。

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家事ではなく家族の介護をしているという場合でも休業損害は認められます

家事ではなく家族の介護をしているという場合でも休業損害は認められます。
この場合、介護が必要なご家族の方の診断書などを取り付けることによって休業損害を請求していきます。

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(5) 学生

就職遅延による休業損害を請求できます

症状が重く、本来交通事故がなければ就職していた可能性があったのに、就職できなかったというケースでは、就職していたとしたら得られたであろう給料について、休業損害を請求することができます。
交通事故の前に就職活動をしていたという方については、エントリー受付のメールなどの資料を保管しておいてください。
交通事故のせいで、学校を留年・休学したために卒業が遅れ、就職遅延となった方については、留年や休学の証明書を取り付けていただいて、それを元に就職遅延の休業損害の請求をしていくことになります。

交通事故で休んだアルバイト代について請求できます

交通事故でケガをしてしまい、アルバイトのシフトを入れられなくなったという学生の方もいらっしゃると思います。
その場合は、アルバイト先に休業損害証明書を書いてもらえば、本来アルバイト出勤していたであろう日数についてのアルバイト代が休業損害として認められます。
また、アルバイト通勤中に交通事故に遭ってしまった方については、労災の利用もできます。

休業損害証明書

通院の付添いなどで親が仕事を休んだ場合、親の休業損害を請求できます

お子様が交通事故に遭ってしまい、その入院や通院の付添いのために、親が仕事を休まなければならないケースがあります。
このような場合には、お勤め先に休業損害証明書を書いてもらってください。
入通院付添費の一環として、親の休業損害相当額が認められます。

休業損害証明書

学生をしながら、家族のために家事や介護をしている方について

交通事故に遭ってしまった学生の方の中には、お子さんがいる方や、弟妹、両親などの家族のために家事もこなしているという方もいらっしゃると思います。
また、祖父母の介護などご家族の介護をしながら、学生をされているという方もいらっしゃると思います。
このような家事や介護もしている学生については、交通事故によるおケガのせいで、家事や介護がしづらくなった分の休業損害を請求することができます。
家族のための家事や介護をしていたという方はこちらをご覧ください。

(6) 失業中の方

失業中など無職の方で交通事故の時に仕事をしていなかったという方については、まず家族のために家事や介護をしていたかどうかを検討することになります。家族のための家事や介護をしていたという方はこちらをご覧ください。
特に家族のために家事や介護をしないという無職の方についても、労働能力や労働意欲があって、就労の蓋然性のある方について休業損害が請求できます。
具体的には、職業安定所・ハローワークの登録や、採用募集をしている企業の採用フォームにエントリーした・履歴書を送付した・面接を受けたなどといった事情、就職活動をしていたことが伺われるメールの受信、マイナビ・リクナビ・indeedなど各就職活動サイトへの登録情報などの資料を保管しておいていただき、これらに基づいて、交通事故に遭っていなければ就労していたということについて立証し、休業損害を請求していきます。

後遺障害等級14級の20代の男性につき、保険会社から無職ゆえに休業損害は0円と言われていたケースで、弁護士介入後に200万円の休業損害が認められた事例 >>

交通事故で請求できる損害 3

逸失利益

逸失利益

(1) 逸失利益は最も大事な損害費目と評価できます

交通事故で後遺症を残してしまった場合、今後も仕事をして稼ぎを得ることができたのにそれがしづらくなった/できなくなった、これまで家事をしてくれていたのに今後それがしづらくなった/できなくなった、まだ学生だが将来は働いて稼ぎを得るはずだったのにそれがしづらくなった/できなくなった、といった事情が生じます。
こうした事情を損害賠償請求として表したものを「逸失利益(いっしつりえき)」と呼びます。
逸失利益は、最も高額な損害費目となることも多く、慰謝料と並び損害賠償請求の中でも大事な要素と位置づけられます。
この逸失利益をどのように算定するかというと、①まず、被害者に後遺症がなければ今後得ることができたと認められる年収(基礎収入といいます。)を算定します。②次に、後遺障害等級に応じた労働能力の喪失率を乗じます。③最後に、何歳まで働いていたかを決め、その年数を掛けます。ただし、一括して賠償金を受け取るため、中間利息の控除というものが行われます。
以上の①~③を計算式に直すと、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間の年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数」となります。
学生など若年の被害者の場合ですと、「基礎収入×労働能力喪失率×(労働能力喪失期間の終期までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数-就労開始年齢までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数)」という計算式になります。
以下では、①基礎収入、②労働能力喪失率、③就労可能年数と中間利息控除について、それぞれ詳細解説をしていきます。

(2) 基礎収入

基礎収入額が400万円になるのか800万円になるのかによって、逸失利益の金額が倍変わってきます。
被害者の方が交通事故に遭わずに後遺症なく生きていたとしたら、どのくらいの稼ぎがあったのかについては、想像するほかありませんので、立証が難しい側面はありますが、基礎収入額は極めて重要な要素のため、被害者の方の属性に応じた丁寧な立証をしていく必要があります。

以下では、被害者の方の属性ごとに分けて、基礎収入の説明をしていきます。

給与所得者(お給料をもらって働いている人)

原則として、交通事故の前年の年収を基礎収入額とします。
何か事情があって、交通事故の前年の年収が低かったという場合は、その事情を説明して、賃金センサスというものを基礎収入額にすることができる場合があります。

事故前年の年収が約260万円だったケースにおいて、将来の昇給の蓋然性を立証し、賃金センサスを用いて約664万円の基礎収入額が認定された解決事例 >>

また、交通事故時の年齢が概ね30歳未満の若年労働者の場合も、原則として賃金センサスを基礎収入額とすることができます。

20代被害者の交通事故で、保険会社から基礎収入額を争われていた事例で、賃金センサスを用いて約664万円の基礎収入額が認定された解決事例 >>

事業所得者(主に自営業者)

原則として、交通事故前年の確定申告の事業所得を基礎収入額とします。
ただし、自営業者の場合、節税の関係などから、申告所得と実際の収入が異なることもよくあります。
その場合、申告所得よりも実際の収入が高いことを立証して、実際の収入を基礎収入額とすることを目指します。
経費として挙げられているが実際は所得に近いもの、例えば、経費として挙げているが実際はプライベートで使用している車があるといった場合は、その経費性を否認して所得を上げるといったことを行います。
また、申告所得が低い場合、賃金センサスを基礎収入額とするよう求めていくこともあります。

申告所得が0円だったケースにおいて、東京地方裁判所民事27部(交通専門部)で年収600万円以上であると認められた事例 >>

開業間もない飲食業を営む男性(事故前年の年収0円)について、年収約530万円が認定された事例 >>

自営で清掃業を営む男性(事故前年の年収150万円)について、年収の3倍以上の524万円の基礎収入額が認定された事例 >>

美容師について、申告所得の3倍以上の基礎収入額が認定された事例 >>

フリーランスのデザイナーについて、申告所得の約2倍の基礎収入額が認定された事例 >>

不動産業を営む男性について、赤字所得であったため保険会社が休業損害・逸失利益0円という認定をしていたケースで、裁判により休業損害・逸失利益の合計190万円超を認定させた事例 >>

会社役員

会社役員といっても、様々です。
従業員よりも働いている方もいらっしゃいますし、役職だけあって一切労働はしていないという方もいらっしゃいます。
会社役員の基礎収入は、働いた分の対価として収入を得ている場合には、その金額が基礎収入額となり、働かないで収入を得ている場合(実質株式配当と同じだと言えるようなケース)は、その金額は基礎収入額とは認められていません。

本件事故前年の役員報酬が約1260万円だったケースにおいて、示談交渉で、その全額が基礎収入であると認められた事例 >>

なお、会社役員の方に重い後遺症が残ってしまい、会社が廃業に追い込まれたり、会社の利益が減ってしまった場合は、間接損害として会社の損害賠償請求が認められることがあります。
詳しくはこちらをご覧ください。

家事従事者(主婦・主夫・家族の介護をしている人など)

主婦、主夫、家族の介護をしている人が交通事故で後遺症を残してしまった場合、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎とするとされています(最高裁判所昭和49年7月19日判決 判例時報748号23頁)。
具体的には、平成30年の症状固定の場合ですと、基礎収入額が382万6300円とされます(他の年の場合でもそこまで大きくは変わりません。)。
家事(又は介護)もしているし仕事もしているという人の場合は、仕事の収入と賃金センサスの金額とのいずれか高い方の金額が基礎収入額とされます。

★家事従事者の解決事例

30代専業主婦について、医師との連携により、今後の介護の必要性や今後も家事や仕事をすることの困難さなどを立証し、約2億5000万円の賠償金で解決した事例 >>

(高次脳機能障害)妻の介護をしていた70代男性について保険会社から約2200万円の示談提示を受けていたケースで、家事従事者としての休業損害・逸失利益を認めさせ、総額約8300万円で解決した事例 >>

(大腿骨骨折)50代兼業主婦について、交通事故の後も仕事を休むことがあまりできなったため休業損害については主婦ベースで計算をして、逸失利益については仕事がしづらくなることについての請求をし、5000万円以上の賠償金で示談解決した事例 >>

(頚椎捻挫・腰部挫傷)50代兼業主婦について、首腰の痛みによる家事の支障を立証し、裁判基準の労働能力喪失率5%を超えて、14%を認めさせた事例 >>

学生・児童・幼児

学生・児童・幼児が交通事故に遭い後遺症を残してしまった場合、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額を基礎収入額とするとされています。
例えば、平成30年症状固定の男の子の交通事故の場合ですと、基礎収入額は558万4500円とされます(他の年の場合でもそこまで大きくは変わりません。)。

事故時大学生の交通事故で、保険会社から基礎収入額を争われていた事例で、賃金センサスを用いて約664万円の基礎収入額が認定された解決事例 >>

女の子の場合の平成30年賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額は382万6300円とされていますが、男の子の場合との金額の差が大きく、時代にそぐわないので、女の子の交通事故の場合には、男女差をできるだけなくす観点から男女計の賃金センサスを用いる裁判例が増えています。平成30年の男女計の賃金センサスは497万2000円とされています。

失業者

失業者が交通事故に遭い後遺症を残してしまった場合、保険会社からは働いていなかったのだから逸失利益は払いませんと言われることがあります。しかしながら、労働能力があって、労働意欲もあって、就労の蓋然性があることを立証できれば、逸失利益は認められます。
基礎収入額は、再就職によって得られるであろう収入が基礎とされますが、その場合、特段の事情のない限り失業前の収入が参考とされます。
また、賃金センサスを用いて認定するケースも多いです。

事故当時無職であった被害者の基礎収入額が500万円以上であると認定された事例 >>

高齢者

仕事で収入を得ている場合

高齢者であっても、実際に仕事をしていて収入を得ていれば、交通事故の前年の年収が基礎収入額として認められることが多いです。
ただし、役員報酬である場合には、労働の対価として受け取っていることが立証される必要があります。

同居家族のために家事をしていたり配偶者の介護をしている場合

高齢者であっても、実際に家事や介護をしていれば、家事従事者として逸失利益が認められます。
年齢別の賃金センサスが採用されることが多いですが、多くの家事労働をこなしている場合や、重労働の介護をしている場合などには全年齢の賃金センサスが採用されることがあります。
全年齢の賃金センサスが採用された裁判例としては、東京地方裁判所平成8年5月28日判決(70歳:交通事故民事裁判例集第29巻3号791頁)、横浜地方裁判所平成13年12月21日判決(67歳:自保ジャーナル1441号22頁)、横浜地方裁判所平成21年7月2日判決(82歳:自保ジャーナル1798号13頁)、大阪地方裁判所平成22年2月9日判決(75歳:交通事故民事裁判例集第43巻1号140頁)、前橋地方裁判所平成28年6月17日判決(79歳:自保ジャーナル1983号25頁)、東京高等裁判所平成28年11月17日(70歳:自保ジャーナル1990号1頁)、横浜地方裁判所平成30年11月2日(66歳:自保ジャーナル2038号1頁)などがあります。
平成30年の症状固定の場合ですと、70歳以上の賃金センサスは296万2200円とされていて、全年齢の賃金センサスは382万6300円とされていて、年齢別とされるか全年齢とされるかで大きな差が出てきます。
最近の高齢者は元気ですから、30代主婦などと比較しても、多くの家事労働をこなしているケースも多く、その点をご本人やご家族の話から丁寧に立証をして、全年齢平均賃金での逸失利益を目指していくことが重要です。

公務員

公務員の場合、交通事故に遭い後遺症を残してしまったとしても、それが理由で給料が支給されないということは原則としてありません。
従いまして、減収がないことを理由に、保険会社から逸失利益を支払わないと言われてしまうことがあります。
しかしながら、公務員の方であっても、後遺症を残してしまえば、交通事故前と比較して働きづらくなることがあるのは当然で、場合によっては、昇格や昇給遅れの原因にもなり得ます。
当事務所の弁護士の扱った事例では、公務員であることを理由に逸失利益が否定されたことはありません。

消防士につき、事故前年の年収全額が基礎収入額として認められた事例 >>

市営バスの運転手につき、事故前年の年収全額が基礎収入額として認められた事例 >>

外国人

外国人が交通事故で後遺症となってしまった場合は、在留資格によって扱いが変わってきます。

在留活動に制限がない在留資格がある場合

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者については、日本人とまったく同じに算定することになります。

従いまして、日本で給料を得ている永住者等については「給与所得者」、日本で自営業を営む永住者等については「事業所得者」、日本で会社役員をされている永住者等については「会社役員」、日本人の夫を持つ外国人妻又は日本人の妻を持つ外国人夫で家事をされている方については「家事従事者」、学生・児童・幼児の永住者等は「学生・児童・幼児」、失業中の永住者等は「失業者」、公務員は「公務員」、高齢の永住者等は「高齢者」と同じ算定になりますので、各パートの説明を御覧ください。

就労可能な在留資格を持っている外国人の場合

特殊技能等の就労可能な在留資格がある外国人は、日本において得ていた収入を基礎収入額とします。
ただし、在留期間の定めがありますので、算定の対象期間が在留期間を超える場合には、在留期間が更新される可能性のあることを立証した場合は在留期間以降も日本において得ていた収入を基礎収入額として、そうでない場合は母国の平均収入などを参考に基礎収入額とします。

留学生や日本で研修中の外国人

留学生・研修中の外国人の場合、本国の平均収入が参考にされることが多いですが、当該外国人の状況によって個別に判断されます。

  1. ①3か月の研修目的で来日中の韓国国立保健員勤務の獣医の場合 本国での年収(東京地方裁判所平成5年1月28日 判例時報1457号115頁)
  2. ②中国籍の新聞販売奨学生 5年間は日本での年収、その後3年間は賃金センサス男性学歴計30歳~34歳、その後67歳までは日本の年収の1/3(東京地方裁判所平成9年12月24日判決 交通事故民事裁判例集第30巻6号1832頁)
  3. ③中国籍大学院生 大学院修了後の10年間は賃金センサス男性学歴計全年齢、その後67歳までは賃金センサス男性学歴計全年齢の1/3(東京地方裁判所平成10年3月25日判決 交通事故民事裁判例集第31巻2号441頁)
  4. ④上海留学生 賃金センサス男性高専短大卒全年齢(名古屋地方裁判所平成16年9月29日判決 交通事故民事裁判例集第37巻5号1341頁)
  5. ⑤オーストラリア籍留学生 オーストラリア連邦2004年投影における製造業女性労働者の賃金(大阪地方裁判所平成19年7月12日判決 交通事故民事裁判例集第40巻4号891頁)
観光者や商用目的などの短期滞在者

本国に戻って生活することが通常なので、本国の収入が基礎収入とされます。

不法就労者・密入国者

交通事故後3年程度は日本に在留する可能性が高いことから、3年間は日本における現実収入額を基礎収入として、その後については本国の収入額を基礎として計算するという裁判例が多いです。

(3) 労働能力喪失率

後遺障害等級に応じた労働能力喪失率

後遺障害等級の認定がなされた場合、その認定等級に応じた労働能力喪失率が定められています(労働省労働基準局長通牒昭和32年7月2日基発第551号)。

1級 2級 3級 4級 5級 6級 7級 8級 9級 10級 11級 12級 13級 14級
100% 100% 100% 92% 79% 67% 56% 45% 35% 27% 20% 14% 9% 5%

後遺障害等級に応じた労働能力喪失率

示談交渉においても、裁判においても、労働能力喪失率は労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日基発第551号)別表労働能力喪失率表を参考に定められることになっていますが、①被害者の職業、②年齢、③性別、④後遺症の部位、⑤後遺症の程度、⑥事故前後の稼働状況などを総合的に判断して、例外的に労働能力喪失率表よりも高い労働能力喪失率が認められることがあります。
当事務所の弁護士の解決事例でも、多くの事例で労働能力喪失率表よりも高い労働能力喪失率が認められた事例があります。

12級13号の後遺障害を残す40代男性・柔道整復師につき、本来労働能力喪失率の裁判基準は14%であるところ、裁判により25%を認めさせた事例 >>

併合14級の後遺障害を残す50代女性・主婦につき、本来労働能力喪失率の裁判基準は5%であるところ、14%で示談解決した事例 >>

併合14級の後遺障害を残す30代男性・会社員につき、本来労働能力喪失率・期間の裁判基準は5%・5年であるところ、10%・10年で示談解決した事例 >>

併合14級の後遺障害を残す40代男性・自営業につき、本来労働能力喪失率・期間の裁判基準は5%5年であるところ、9%・7年で示談解決した事例 >>

併合14級の後遺障害を残す40代女性・会社員につき、本来労働能力喪失率の裁判基準は5%であるところ、裁判により7%を認めさせた事例 >>

労働能力喪失率表よりも低い労働能力喪失率が認定されるケース

示談交渉においても、裁判においても、労働能力喪失率は労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日基発第551号)別表労働能力喪失率表を参考に定められることになっていますが、①被害者の職業、②年齢、③性別、④後遺症の部位、⑤後遺症の程度、⑥事故前後の稼働状況などを総合的に判断して、例外的に労働能力喪失率表よりも低い労働能力喪失率が認定されてしまうケースがあります。
例えば、歯が無くなってしまった場合、顔にキズが残ってしまった場合、体幹骨が変形してしまった場合などが挙げられます。
実際の身体の動きに支障がないため、労働能力は喪失していないのではないかという問題意識です。
これらのケースの場合、保険会社は労働能力喪失率表よりも低い労働能力喪失率を主張してくることが多く、裁判所も同様の判断をすることがあります。
しかしながら、歯がなくなると歯を食いしばることに支障が生じる、顔にキズが残り精神的ストレスがかかり対人の仕事が困難になる、腰椎圧迫骨折により腰の痛みや多少の可動域制限を伴っているなど、立証の仕方によっては、労働能力喪失率算定表どおりの労働能力喪失率を守れることもあります。

腰椎圧迫骨折の変形障害の事例において労働能力喪失率表どおりの示談解決をした事例 >>

外貌醜状障害の事例において労働能力喪失率算定表どおりの裁判解決をした事例 >>

歯牙障害の詳細についてはこちらをご覧ください

醜状障害についてはこちらをご覧ください

脊柱変形障害についてはこちらをご覧ください

(4) 労働能力喪失期間と中間利息控除

労働能力喪失期間

始期

症状固定日が始期となります。
ただし、学生・児童・幼児については、18歳を始期とすることが多いです。
学生の場合で、大学卒業を前提として逸失利益を計算する場合は、大学卒業予定の年を始期とします。

終期

終期は、原則として67歳までとされています。

ただし、職種・地位・健康状態・能力等によって、67歳を超える期間が終期とされることがあります。

高齢者が元気な時代ですから、今後は例外の裁判例が多く登場していく可能性があり、もしくは、終期67歳という原則自体が変更になる可能性があります。

67歳を超える人については、簡易生命表の平均余命の1/2が労働能力喪失期間とされます。

67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の1/2より短くなる人についても、簡易生命表の平均余命の1/2が労働能力喪失期間とされます。

中間利息控除

逸失利益というのは、被害者が将来長期間にかけて取得するはずであった利益を、現在の一時金としてまとめて支給するものなので、本来ならばただちに手に入らないはずの金銭を受領して利息を得ることができるのは不公平な結果となるという理屈から控除がなされるものです。
具体的には、法定利率での利息を得ることができるだろうと考えられていて、その分が引かれることになっています。
例えば、令和2年4月1日、年収700万円の50歳会社員(妻・子2人あり)が交通事故に遭い、後遺障害等級10級10号の後遺症を残したという場合、労働能力喪失率27%、労働能力喪失期間を17年として計算すると、700万円×0.27×17年=3213万円が逸失利益ということになりますが、これはもらいすぎであると考えられています。
具体的には、労働能力喪失期間の17年をそのまま乗じるのではなく、中間利息控除が行われますので、17年に対応するライプニッツ係数13.1661年分の賠償金(700万円×0.27×13.1661=2488万3929円)をもらえば、17年間法定利率3%で運用することにより17年後に3213万円になると考えられています。

なお、民法改正により令和2年4月1日以降と、令和2年3月31日以前とで、法定利率が異なっていますので、それに伴って中間利息控除の係数であるライプニッツ係数も変わっていきます。

ライプニッツ係数(年金現価表)
就労可能年数 令和2年4月1日以降の
交通事故
就労可能年数 令和2年3月31日以前の
交通事故
1 0.9709 1 0.9524
2 1.9135 2 1.8594
3 2.8286 3 2.7232
4 3.7171 4 3.5460
5 4.5797 5 4.3295
6 5.4172 6 5.0757
7 6.2303 7 5.7864
8 7.0197 8 6.4632
9 7.7861 9 7.1078
10 8.5302 10 7.7217
11 9.2526 11 8.3064
12 9.9540 12 8.8633
13 10.6350 13 9.3936
14 11.2961 14 9.8986
15 11.9379 15 10.3797
16 12.5611 16 10.8378
17 13.1661 17 11.2741
18 13.7535 18 11.6896
19 14.3238 19 12.0853
20 14.8775 20 12.4622
21 15.4150 21 12.8212
22 15.9369 22 13.1630
23 16.4436 23 13.4886
24 16.6967 24 13.7986
25 17.4131 25 14.0939
26 17.8768 26 14.3752
27 18.3270 27 14.6430
28 18.7641 28 14.8981
29 19.1885 29 15.1411
30 19.6004 30 15.3725
31 20.0004 31 15.5928
32 20.3888 32 15.8027
33 20.7658 33 16.0025
34 21.1318 34 16.1929
35 21.4872 35 16.3742
36 21.8323 36 16.5469
37 22.1672 37 16.7113
38 22.4925 38 16.8679
39 22.8082 39 17.0170
40 23.1148 40 17.1591
41 23.4124 41 17.2944
42 23.7014 42 17.4232
43 23.9819 43 17.5459
44 24.2543 44 17.6628
45 24.5187 45 17.7741
46 24.7754 46 17.8801
47 25.0247 47 17.9810
48 25.2667 48 18.0772
49 25.5017 49 18.1687
50 25.7298 50 18.2559
51 25.9512 51 18.3390
52 26.1662 52 18.4181
53 26.3750 53 18.4934
54 26.5777 54 18.5651
55 26.7744 55 18.6335
56 26.9655 56 18.6985
57 27.1509 57 18.7605
58 27.3310 58 18.8195
59 27.5058 59 18.8758
60 27.6756 60 18.9293
61 27.8404 61 18.9803
62 28.0003 62 19.0288
63 28.1557 63 19.0751
64 28.3065 64 19.1191
65 28.4529 65 19.1611
66 28.5950 66 19.2010
67 28.7330 67 19.2391
68 28.8670 68 19.2753
69 28.9971 69 19.3098
70 29.1234 70 19.3427
71 29.2460 71 19.3740
72 29.3651 72 19.4038
73 29.4807 73 19.4322
74 29.5929 74 19.4592
75 29.7018 75 19.4850
76 29.8076 76 19.5095
77 29.9103 77 19.5329
78 30.0100 78 19.5551
79 30.1068 79 19.5763
80 30.2008 80 19.5965
81 30.2920 81 19.6157
82 30.3806 82 19.6340
83 30.4666 83 19.6514
84 30.5501 84 19.6680
85 30.6312 85 19.6838
86 30.7099 86 19.6989

※最高裁判所第一小法廷が、令和2年7月9日に後遺症逸失利益について定期金賠償を認める判決を出しました。
定期金賠償の場合には、上記の中間利息控除は行われません。
定期金賠償の詳細はこちらをご覧ください。

交通事故で請求できる損害 4

治療関係費

治療費関係

(1) 治療費

必要かつ相当な実費全額が認められます。
治療費の必要性については、治療期間の問題として捉えられることが多いので、詳しくは治療費打ち切りのパートをご覧ください。
治療費の相当性については、高額診療・過剰診療として問題となるケースがありますが、病院での治療ではほとんど問題となりません。
治療費については、支払方法が重要となってきます。
治療費の支払方法の詳細については、こちらをご覧ください。

(2) 整骨院・接骨院、鍼灸、あんま、マッサージ、指圧など
病院以外の治療関係費について

症状により有効かつ相当な場合、ことに医師の指示がある場合などは認められる傾向にあるとされています。
病院での治療費については、治療期間について争われることはあるものの、治療内容について必要性・有効性などが争われることは少ないですが、整骨院・接骨院、鍼灸、あんま、マッサージ、指圧など病院以外の治療類似行為については争われることが多いです。
医師の指示がポイントとなってくるため、仕事の都合などで整形外科に通いづらく整骨院に通いたいという方については、その旨、整形外科医に話をして、指示や同意を取り付けることが重要となってきます。
ただし、東洋医学について理解のある医師もいますが、整骨院など医療類似行為を認めていませんと宣言される医師もいます。
このような場合には、医師の指示や同意を取り付けることは不可能に近いです。

では、医師の指示や同意のない場合には、整骨院・接骨院、鍼灸、あんま、マッサージ、指圧など病院以外の施術費は認められないかというと、そういうわけではありません。
医師の指示や同意のない場合、保険会社や保険会社の顧問弁護士は、これ見よがしに施術費を否定してきますが、東洋医学については「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」及び「柔道整復師法」により法的に免許制度が確立されたものですから、医師の指示や同意のない限り施術の必要性が認められないということはありません。
実際、優秀な柔道整復師などの先生は多くいらっしゃいますし、施術効果があがっている事例も多いです。
鍼灸治療に関していえば、病院においてもペインクリニックが鍼灸治療を用いているなど、その治療法が全国的に普及・一般化してきているともいえ、医師の指示や同意がなくとも交通事故との相当因果関係が認められるべきケースというのは多々あります。
医師の指示・同意を取り付けることがまず大事ではありますが、これが取り付けられなかった場合には、施術期間・施術内容・施術費の相当性などについて具体的に主張立証をしていくことになります。

なお、施術期間については、整骨院・接骨院は6か月程度、鍼灸は12か月程度が目安とされています。

整骨院施術費について勝訴し、130万円の示談提示に対して、損害賠償金550万円で解決した事例 >>

交通事故で請求できる損害 5

交通費

交通費

(1) 通院交通費

通院交通費の注意点については、こちらをご覧ください。

(2) 将来の通院交通費

重度の後遺症が残ってしまい、症状固定後も通院が必要と判断される場合には平均余命までの将来治療費が認められることになっています。
将来治療費が認められる場合は、将来治療する際にかかる通院交通費も認められます。

将来治療費については、こちらをご覧ください。

(3) 付添人交通費

近親者が入院に付添い看護している場合、付添人が病院へ訪れる際の交通費も、被害者本人の損害として認められることになっています。
また、通院に付添い看護している場合も、被害者本人の交通費のみならず、付添人の交通費も被害者本人の損害として認められることになっています。

入通院付添費については、こちらをご覧ください。

(4) 見舞いのための交通費や駆けつけ費用

入院看護ではなく、見舞いのために近親者が病院へ行った際の交通費も認められることがあります。
子どもが入院している場合や、被害が重大な場合に認められる傾向にあります。

(5) 通勤交通費

交通事故前は電車・バス・自家用車などで通勤していたが、足のケガなどにより従来の通勤方法では通勤できなくなり、タクシーを利用して通勤したという場合、このタクシー代が交通事故による損害として認められることがあります。

交通事故で請求できる損害 6

入院雑費

入院雑費

交通事故に遭い入院してしまったという場合、入院中の寝具・衣類・洗面具・食器等の日用品雑貨費の支出を余儀なくされたり、他にも、入院の報告や家族との連絡などのための電話代、新聞雑誌代・テレビ賃借料などの文化費など細々とした支出を余儀なくされることが多いです。

交通事故による損害賠償というのは、損害の裏付けとなる証拠を被害者の側が準備して、1つ1つ立証していくのが原則となっていますが、上記の入院中の雑費を1つ1つ個別に立証し、その相当性を判断していくというのは、著しく手間であるし、実益に乏しいことから、一般的に、入院雑費は日額1500円と定額化されています。
従いまして、入院していたことの立証さえ行えばよく、レシートなどを一々保管しおく必要はありません。
ただし、日額1500円以上の請求をしていくという場合は、証拠が必要となってきますので注意が必要です。

交通事故で請求できる損害 7

子どもの関係の損害
(入通院付添費・学習費・保育費・通学付添費など)

子どもの関係の損害

(1) 入通院付添費

お子様が交通事故に遭われてしまった場合、その入通院の付添費がお子様本人の損害として認められる傾向にあります。
入院付添費の裁判基準額は日額6500円、通院付添費の裁判基準額は日額3300円となっています。

なお、親御さんが仕事を休んで、お子様の入通院に付き添われた場合、欠勤分の給料減少額(もしくは有給休暇を取得した場合の給料日額)が上記入通院日額を上回る場合は、この休業損害相当額を入通院付添費として請求していくことになります。

(2) 学習費

交通事故によって進級遅れとなった場合、卒業遅れとなった場合、休学となった場合の授業料・入学金や、留年のためのアパート賃料の延長分などが損害として認められます(名古屋地方裁判所平成17年11月30日判決交通事故民事裁判例集第38巻6号1634頁、東京地方裁判所平成22年10月13日判決交通事故民事裁判例集第43巻5号1287頁、東京地方裁判所平成24年11月28日判決 交通事故民事裁判例集第45巻6号1388頁など)。

これらのほか、学習の遅れや学力不足を取り戻すための補修費、家庭教師の謝礼についても、必要性が認められる場合には、実費相当額が損害として認められます(東京地方裁判所平成16年12月21日交通事故民事裁判例集第37巻6号1695頁、東京地方裁判所平成9年11月11日交通事故民事裁判例集第30巻6号1638頁、東京地方裁判所平成6年10月6日判決交通事故民事裁判例集第27巻5号1378頁)。

(3) 保育費・看護費

普段幼児等の保育や看護にあたっている親が交通事故に遭ってしまった場合や、お子様が交通事故に遭ったため付添看護をしなくてはならなくなり被害児童の弟や妹の保育や看護ができなくなった場合など、第三者に保育・看護を委託する必要性が認められる場合は、その実費相当額が損害として認められます(仙台地方裁判所平成19年2月9日判決自保ジャーナル1740号19頁、名古屋地方裁判所平成20年12月10日判決交通事故民事裁判例集第41巻6号1601頁、大阪地方裁判所平成5年2月22日判決交通事故民事裁判例集第26巻1号211頁、山口地方裁判所平成4年3月19日判決判例タイムズ793号217頁)。

(4) 通学付添費

お子様が交通事故に遭ってしまった場合、必要性が認められれば、通学付添費が認められることになっています。
通学付添費の算定は、下記のとおりです。
タクシーで通学する必要ある場合は、タクシーの実費相当額。
電車やバスで通学付添いをした場合は、電車代やバス代の実費相当額。
親が自家用車で送り迎えをした場合は、自宅から学校までの距離に対し1㎞あたり15円。

交通事故で請求できる損害 8

損害賠償関係費用その他

損害賠償関係費用その他

損害賠償関係費用その他の損害としては、下記のようなものがあります。

  1. (1)診断書・カルテなどの文書料

  2. (2)医師の意見書代(水戸地方裁判所下妻支部平成20年2月29日判決 自保ジャーナル1743号7頁)

  3. (3)交通事故証明書代(神戸地方裁判所平成28年10月26日判決 自保ジャーナル1990号90頁)

  4. (4)刑事記録取得費用(東京地方裁判所平成22年12月15日判決自保ジャーナル1844号114頁、大阪地方裁判所平成26年3月20日判決自保ジャーナル1927号118頁)

  5. (5)警察署に行くための交通費や刑事裁判傍聴の交通費(仙台地方裁判所平成25年3月29日判決自保ジャーナル1906号147頁、横浜地方裁判所平成25年5月27日判決交通事故民事裁判例集第46巻3号667頁)

  6. (6)交通事故鑑定のための鑑定料(東京地方裁判所八王子支部平成10年9月21日判決 交通事故民事裁判例集第31巻5号1430頁)

  7. (7)目撃者への謝礼や犯人探しの交通費(東京地方裁判所平成13年4月11日判決 交通事故民事裁判例集第34巻2号497頁)

  8. (8)保険会社に提出する戸籍謄本の取得費用(横浜地方裁判所平成29年8月21日判決 自保ジャーナル2008号87頁)

  9. (9)交通事故によって無駄になってしまった支払済みの教育費や旅行代金など

    1. ①授業料及び教材費約50万円と、通学定期代約3万円(東京地方裁判所平成6年9月29判決日 交通事故民事裁判例集第27巻5号1329頁)
    2. ②旅行キャンセル料(大分地方裁判所平成6年9月30日判決交通事故民事裁判例集第27巻5号1363頁、東京地方裁判所平成12年10月4日判決交通事故民事裁判例集第33巻5号1603頁、東京地方裁判所平成15年9月2日判決交通事故民事裁判例集第36巻5号1192頁、大阪地方裁判所平成16年12月7日判決自保ジャーナル1605号2頁、名古屋地方裁判所平成26年4月22日判決自保ジャーナル1924号23頁)
    3. ③自動車教習所代32万円全額(東京高等裁判所平成14年6月18日判決 交通事故民事裁判例集第35巻3号631頁)
    4. ④司法書士の資格を取るための専門学校学費全額(東京高等裁判所平成14年7月30日判決 自保ジャーナル1455号2頁)
    5. ⑤留学キャンセル料(名古屋地方裁判所平成16年7月7日判決 交通事故民事裁判例集第37巻4号917頁)
    6. ⑥コンサートキャンセル料(横浜地方裁判所平成23年6月16日判決 自保ジャーナル1866号47頁)
    7. ⑦通うことのできなくなったスポーツクラブ会費(東京地方裁判所平成25年7月16日判決 交通事故民事裁判例集第46巻4号915頁)
    8. ⑧礼金及び前払い家賃(大阪地方裁判所平成30年4月16日判決 自保ジャーナル2068号95頁)
  10. (10)交通事故によって本来かかっていなかった費用や労働が発生した場合

    1. ①介護する家族が交通事故に遭ってしまい、費介護者を介護施設に入れざるを得なくなった場合の介護施設料やベッドレンタル代(横浜地方裁判所平成5年9月2日判決交通事故民事裁判例集第26巻5号1151頁、大阪地方裁判所平成27年3月3費判決自保ジャーナル1948号106頁)
    2. ②交通事故により世話ができなくなったペットの預け費用(横浜地方裁判所平成6年6月6日判決交通事故民事裁判例集第27巻3号744頁、京都地方裁判所平成15年1月31日判決自保ジャーナル1485号23頁、大阪地方裁判所平成20年9月8日判決交通事故民事裁判例集第41巻5号1210頁)
    3. ③被害者が経営していた会社の清算費用(京都地方裁判所平成30年11月26日判決 自保ジャーナル2040号120頁)

交通事故で請求できる損害 9

物損や着衣損害・携行品

物損や着衣損害・携行品

(1) 物損

車量損害

修理が相当な場合は、適正修理費相当額が認められます。
ただし、修理費が、車量時価額に買替諸費用を加えた額を上回る場合には、修理費は認められず、車量時価額に買替諸費用を加えた金額のみが認められることになります。
また、修理不能な場合も、車量時価額に買替諸費用を加えた金額が認められることになります。

評価損(格落ち損)

修理しても外観や機能に欠陥を生じ、または交通事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合は、評価損が認められます。
考慮要素としては、①初年度登録からの期間、②走行距離、③損傷の部位、④事故車両の人気度合い、⑤購入時の価格、⑥中古車市場での通常価格などが挙げられます。
傾向としては、外車又は国産人気車種の場合、初年度登録から5年以内・走行距離6万㎞以下だと評価損が認められやすい傾向にあります。
その他の車種の場合は、初年度登録から3年以内・走行距離4万㎞以下だと評価損が認められやすい傾向にあります。
評価損の金額は、修理費の10%~30%とされることが多く、新車購入した間もない交通事故の場合はさらに増額される傾向にあります。

代車使用料

相当な修理期間または買替期間中、レンタカーの使用などにより代車を利用した場合に認められます。
部品の調達や営業車登録などの必要があるときは長期間の代車使用が認められることがありますが、そのような事情が無い限り、裁判所の代車使用認定期間は短めとなりますので、早めに代車は返還した方が良いといえます。

休車損

緑ナンバーなどの営業車の場合、相当なる買替期間中もしくは修理期間中の休車損が認められます。
休車損の詳細はこちらをご覧ください。

家屋・店舗・設備に関する損害

車が店舗などに突っ込んでしまった事故の場合、店舗内装修理費、その間の地代家賃、損傷した備品などの損害を請求することができます。
当事務所の弁護士の解決事例では、原状回復工事費・応接セット・パーテーション・テーブル・椅子・マット・ほうき・姿見・ハンガーラック・テレビモニター・灰皿・プランター・植木・衣類(クリーニング代)・靴・クッション・座布団・廃棄物収集運搬処理費・原状回復工事の期間中の家賃相当額など請求するすべての損害が認められた解決事例があります(横浜地方裁判所第6民事部)。

(2) 着衣損害・携行品

被害者が着ていた衣服、携行品(カバンやスマートフォンなど)に損傷がある場合、その損害についても賠償請求することができます。
なお、衣服など日常生活において必要不可欠のものとして身体に密着させているものについては、物損ではなく人損として扱われます。
物損と人損の違いは、主に、①時効期間が違うことと、②自賠責保険の対象となるか否かの違いです。

時効についての詳細はこちらをご覧ください

交通事故で請求できる損害 10

遅延損害金

遅延損害金

交通事故の日から遅延損害金が発生します。
その利率については、令和2年3月31日までの交通事故の場合は5%とされています。
令和2年4月1日以降の利率は、事故日によって異なるとされています(民法第404条3項)。

なお、令和2年4月1日から令和5年3月31日までの交通事故の場合は3%と決まっています(民法第404条2項)

交通事故で請求できる損害 11

弁護士費用

弁護士費用

民事訴訟を提起すると、判決で認容された損害額の10%程度が弁護士費用の損害として更に認定されます。
なお、裁判で認定された弁護士費用は、実際依頼する弁護士に支払う弁護士費用とは別物です。

当事務所にご依頼いただく場合の弁護士費用については、こちらをご覧ください

Other 重度後遺障害特殊の損害

交通事故で請求できる損害 12

近親者の慰謝料

近親者の慰謝料

ご家族が交通事故によって重傷・重体となってしまった場合、死亡事故の場合にも比肩し得べき精神上の苦痛を受けたときは、民法第709条,710条に基づいて、ご家族自身が近親者慰謝料を請求できるとされています(最高裁判所昭和33年8月5日判決 最高裁判所民事判例集第12巻12号1901頁)。

重度後遺障害の場合に認められやすい損害といえます。

当事務所の弁護士の解決事例でも、後遺障害等級2級の高次脳機能障害のケースにおいて、被害者本人の慰謝料のほかに、夫・子ども2人・父母の計5名の近親者慰謝料が認められたケースがあります。

この解決事例の詳細はこちらをご覧ください。

交通事故で請求できる損害 13

症状固定後の治療費・将来の治療費

症状固定後の治療費・将来の治療費

症状固定とされた場合、これ以上治療しても症状は改善せず、後遺症として残ってしまうとの判断がされたということですから、症状固定日以降の治療費は原則として認められません。
ただし、①いわゆる植物状態(遷延性意識障害)などで生命を維持するうえで症状固定後の治療の必要性・蓋然性が認められる場合、②治療によって症状の悪化を防止する必要性が認められる場合、③症状固定後も強い身体的苦痛が残り、苦痛を軽減するための治療の必要性が認められる場合などについては、症状固定後の治療費や将来の治療費が認められるものとされています。

ちなみに、症状固定後の治療費とは症状固定後に出費した治療費のことです。
将来の治療費とは平均余命までの間に出費するであろう将来の治療費のことで、症状固定後の治療費と異なり、まだ出費のないものをいいます。

将来の治療費の場合は、中間利息控除がなされますが、健康保険などの自己負担分以外も請求が認められるというメリットがあります。
他方で、定期金賠償の場合は、中間利息控除は行われませんが、認められるのは健康保険などの自己負担分のみに限られることになります。

交通事故で請求できる損害 14

付添看護費用
(入院付添費・通院付添費・自宅付添費)

付添看護費用

(1) 入院付添費

被害者が入院している間の、家族の付添い費用が認められることがあります。
入院付添費は、日額6500円というのが裁判の一般的な基準とされていますが(東京地方裁判所平成25年3月7日判例タイムズ1394号50頁など)、症状の程度や被害者が幼児・児童である場合は1割~3割の範囲で増額が考慮されることがあります(7150円~8450円)。

また、仕事を休んで入院に付き添ったという場合で、欠勤分の給料減少額(もしくは有給休暇を取得した場合の給料日額)が上記入院日額を上回る場合は、この休業損害相当額を入院付添費として請求していくことになります。

(2) 通院付添費

足を骨折して歩行できない、高次脳機能障害のため1人で通院できない、まだ子どもであるため1人で通院できないといった場合、家族の通院付添い費が認められることがあります。
通院付添費は、日額3300円というのが裁判の一般的な基準とされていますが、事情に応じて増額されることがあります。

また、仕事を休んで通院に付き添ったという場合で、欠勤分の給料減少額(もしくは有給休暇を取得した場合の給料日額)が上記通院日額を上回る場合は、この休業損害相当額を通院付添費として請求していくことになります。

(3) 自宅付添費

退院後に自宅療養している間、ご家族が自宅で付添い看護をしているという場合、自宅付添費が認められることがあります。
裁判基準日額というものは決まっていませんが、入院付添費の日額6500円というのが目安になります。
ただし、入院時よりも症状が改善していることが多いと思われますので、事情によっては日額6500円よりも低額の認定となることがあります。
他方で、入院中は看護師による完全看護体制が取られているのに対し、自宅看護中はご家族が主に看護をしなければならなくなりますから、入院付添費よりも高額の日額算定がなされることもあります。

交通事故で請求できる損害 15

将来介護費

将来介護費

重度の後遺症を残してしまい、今後もずっと介護が必要であるという方については、将来介護費が認められることになっています。
職業付添人に介護を頼んでいる場合や、介護施設に入所している場合については、その実費相当額が認められます。
ご家族の方が介護をしているという場合は、日額8000円が裁判基準とされています。
ただし、これらについては、具体的看護状況によって増減することがあるとされています。

また、子どもが交通事故に遭い重度の後遺症を残してしまい、親がその介護をしているという場合は、親が67歳になるまでは近親者介護として計算し、親が67歳となった以降は職業付添人介護として将来介護費を算定することが多いです。

なお、将来の費用となりますので、逸失利益と同様、定期金賠償を求めないのであれば、中間利息の控除が行われます。
中間利息の控除についてはこちら、定期金賠償についてはこちらをご覧ください。

また、現在は介護保険給付によって1割分の介護費しか負担していない場合であっても、将来介護費の算定に当たっては10割の請求ができることになっています。
例えば、現在の年間の介護費負担が50万円という場合は、将来介護費の算定にあたっては、年間介護費負担は500万円ということになります。
そして、この年額が平均余命の期間認められることになっています。
平均余命の計算は、厚生労働省が毎年出している簡易生命表によって行いますが、例えば、平成30年の50歳女性の場合、平均余命は38年とされています。
年間介護費500万円・平均余命38年の場合の将来介護費は、500万円×38年に対応するライプニッツ係数16.8679=8433万9500円となります。
なお、令和2年4月1日以降の交通事故の場合の38年に対応するライプニッツ係数は22.4925とされますので、このライプニッツ係数で計算した場合は1億1246万2500円となります。

交通事故で請求できる損害 16

将来雑費
(今後ずっと支出していくことになるおむつ代など)

将来費用

重度の後遺症を残してしまい、おむつ代などの雑費の出費を余儀なくされているという場合、平均余命までの将来雑費が損害として認められることがあります。

将来の費用となりますので、逸失利益と同様、定期金賠償を求めないのであれば、中間利息の控除が行われます。
中間利息の控除についてはこちら、定期金賠償についてはこちらをご覧ください。

将来雑費の種類としては下記のようなものが挙げられます。

  1. ①排泄関係

    おむつ、尿取りパッド、清掃用尻拭き、カテーテル、ゴム手袋、人工肛門のケア用品など

  2. ②食事関係

    食事中のエプロン、飲食物にとろみをつけるもの、ミキサーなど

  3. ③口腔関係

    歯磨き用の吸い込み、口腔洗浄時の汚水受け、たん吸引機など

  4. ④その他

    気管切開チューブ、胃ろう、注入栄養液、皮膚保護剤、ティッシュ、ガーゼなど

例えば、平成30年の50歳女性につき、月10万円の介護雑費の支出があるケースにおける将来雑費は、月10万円×12か月×平均余命38年に対応するライプニッツ係数16.8679=2024万1480円となります。
なお、令和2年4月1日以降の交通事故の場合の38年に対応するライプニッツ係数は22.4925とされますので、このライプニッツ係数で計算した場合は2699万1000円となります。

おむつ代など細々とした雑費の支出も、今後一生続くとなると多大な出費となりますので、領収書やレシートなどを保管しておくようにしてください。

交通事故で請求できる損害 17

装具・器具等購入費

装具・器具等購入費

車いす・介護用ベッドなどの装具・器具の購入費は、必要性があれば認められることになっていて、また、同じものを一生使い続けるわけにはいきませんから、耐用年数に応じた将来の買い替え費用も請求できることになっています。

将来の買い替え費用を請求する場合は、逸失利益と同様、定期金賠償を求めないのであれば、中間利息の控除が行われます。 中間利息の控除についてはこちら、定期金賠償についてはこちらをご覧ください。

損害として認められる装具・器具としては、下記のようなものが挙げられます。

  1. ① 目の関係

    義眼、メガネ、コンタクトレンズ

  2. ② 耳の関係

    補聴器

  3. ③ 歯や口腔関係

    義歯、歯・口腔清掃用具、吸引機、障害者用はし、うがいキャッチなど

  4. ④ 手の関係

    義手、上肢装具など

  5. ⑤ 足や移動の関係

    義足、車いす(手動・電動・入浴用)、盲導犬費用、折り畳み式スロープ、歩行訓練器、下肢、装具、短縮障害対応の特注靴、杖、自動車リフトなど

  6. ⑥ ベッド関係

    電動ベッド、介護支援別途、エアマット、体位変換補助用具、特殊寝台専用手すり、ベッドサイドテーブルなど

  7. ⑦ 入浴関係

    入浴についての天井走行リフトや走行用レール、入浴用担架、洗髪器など

  8. ⑧ その他

    人工呼吸器、コルセット、サポーター、介護テーブル、座位保持装置、起立保持具、補助いす、脊髄刺激装置、カツラ、エレベーター、手すり、パソコン、障害者用マウス、会話補助具など

交通事故で請求できる損害 18

家屋改造費・自動車改造費・転居費用等

家屋改造費・自動車改造費・転居費用等

被害者の後遺症の内容や程度からして、必要性が認められる場合には、家屋改造費・自動車改造費・転居費用・家賃差額・自動車購入費などの相当額が認められることになっています。
ただし、バリアフリー化などは他の家族の便益となることもありますので、全額が損害として認められずに、支出した費用の一部のみが損害として認められることも多いです。
立証の良し悪しによって、認定額が変わってくる損害費目です。
交通事故前の家や自動車の状況と、被害者の後遺症の内容程度を照らし合わせて、このままでは家で生活できないことや、病院への通院に支障が出ることを立証していく必要があります。
また、医学的見地からの意見も重要ですので、医師にも、従来の家の状況や車の状況を写真などで確認してもらい、医学的に、どのような家屋改造や自動車改造などが必要であるのかについて医学的な意見をもらうことも行っていきます。

医師から意見書を取り付けて、家屋改造費を認めさせた解決事例 >>

家での介護状況の調査を行い、家屋改造費を満額認めさせた解決事例 >>

交通事故で請求できる損害 19

後見等関係費用

後見等関係費用

交通事故により重度の後遺症を残してしまい、家庭裁判所による後見人の選任が必要となってしまったというケースでは、成年後見開始の審判手続費用や、後見人報酬などが損害として認められることがあります。

交通事故で請求できる損害 20

依頼者の声

依頼者の声

福岡市30代男性 主婦 後遺障害等級2級(高次脳機能障害)
歩行者vs車

妻は交通事故のせいで重い後遺症を残してしまいました。
事故後しばらくは生死をさまよう状態が続きましたが、365日家族全員で代わる代わるサポートして、コミュニケーションがとれるまでに回復をしました。
ところが、この奇跡的な解決を保険会社が逆手に取り、重い後遺症は残っていないのだから、自賠責認定の後遺障害等級2級の賠償金まで支払う必要はないと主張されてしまいます。
小杉弁護士が将来の治療費・介護費用・慰謝料など1つ1つの損害項目について、お医者さんから意見を聞いてくれて、結果として総額2億5000万円の賠償額で解決することができました。
コミュニケーションがとれるまでに回復したとはいえ、まだ家族のサポートがずっと必要な状況でしたから、現状の大変さを裁判所に理解してもらえて良かったと思っています。

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神奈川県50代女性 会社員 後遺障害等級8級(大腿骨骨折)
歩行者vs車

横断歩道上を歩いていたところ車にはねられてしまい、大腿骨を骨折してしまいました。
人工骨頭を入れることになり、今後歩けなくなる日がくるのではないかと不安に思っていました。
事故の後、収入も大幅に減ってしまいましたので、慰謝料などの賠償も大事でしたが、それよりも、将来人工骨頭の入れ替えが必要となるのではないか、その際の手術費はいくらくらいになるのか、将来の治療費も保険会社にみてもらえるのかといったことが不安でしょうがありませんでした。
小杉弁護士より医師面談の提案を受け、私も同席しましたが、人工骨頭の入れ替えの話やその際の手術費の見込みなどを病院の先生から聞き出してくれました。
病院の先生の話を小杉弁護士がまとめてくれて、その内容で病院の先生が意見書を作ってくれ、これを元に保険会社と交渉してくださいました。
その結果、示談の内容で、保険会社が将来の治療費もみると約束してくれました。
交通事故のせいで大きな不安を抱えながら過ごしておりましたが、おかげで不安がだいぶ減りました。

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北九州市40代男性 自営業 後遺障害等級12級(TFCC損傷)
バイクvs車

夜間バイクで走行していたところ、いきなりUターンしてきた車にはねられてしまい、手首を痛めてしまいました。
私は柔道整復師として整骨院を経営していましたので、手首の痛みは致命的で、仕事に大きな支障が出てしまいました。
初めに出た等級は右手の捻挫ということで14級でしたが、普通の痛みではなかったため、14級という等級に納得がいきませんでした。
そうしたところ、小杉弁護士に、造影剤を入れてのMRI撮影をすればTFCC損傷が判明することがあると教えてもらい、その旨病院に依頼をしてみました。
そうしたところ、言われたとおりTFCC損傷が判明し、自賠責も判断を改めて、12級の後遺障害等級をつけてくれました。
保険会社の回答が渋かったため、裁判したいと申し出をして、裁判をしましたが、こちらの過失は0となり、仕事のしづらさも25%と認めてもらえて、通常の12級の場合よりも高額で解決することができました。
ありがとうございました。

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横浜市40代男性 自営業 後遺障害等級14級(むち打ち)
車vs車

追突事故に遭い、むち打ちとなりました。
弁護士費用特約に加入していたため弁護士さんを付けようと考え、事故から2日後に無料相談に行きました。
まだ、むち打ちの症状も治るかどうか分からない時期でしたが、小杉弁護士より、3か月程度で治った場合や、6か月程度で治った場合、6か月程度通院したが症状が治らなかった場合などケースごとに説明してもらい、それぞれの場合に事件がどう進んでいくかや、賠償額の見立て、通院の際の注意点などについて教えてもらい、この先生にお願いしようと決めました。
途中保険会社から治療費を打ち切られましたが、健康保険に切り替え通院を継続し、無事後遺障害等級14級を獲得してもらいました。
ただ、私が確定申告で過少申告をしていたことを理由に、慰謝料80万円しか払わないと言われてしまい、裁判をすることにしました。
契約書や領収書、預金通帳などから実際のお金の流れを分析してもらい、また、家計収支表なども作成してくれて、裁判では事故前の収入の立証をしてもらいました。
そうしたところ、事故によって収入が減ったことが認められ、自賠責保険金75万円の他に360万円の和解金での解決をすることができました。
早めに被害者側専門の弁護士さんに依頼をしておいて良かったと思っています。

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福岡市50代男性 自営業 後遺障害等級14級(むち打ち)
車vs車

仕事中に追突事故にあい、むち打ちになってしまいました。
弁護士費用特約を付けていたので、弁護士さんを探すことにし、何軒か回りましたが、小杉弁護士の説明が、最もわかりやすく、解決までの流れが理解できたので、お願いすることにしました。
なかなか痛みが取れず通院は7か月ほど続きましたが、小杉弁護士と病院の先生と相談をして、後遺障害の申請をすることにしまいた。
小杉弁護士より、受けるべき検査や、撮るべき画像の指示をもらっていたので、それを病院の先生に実施してもらい、また、後遺障害診断書の作成要領についてもペーパーを頂いていたので、それに基づいて病院の先生に後遺障害診断書を書いてもらいました。
そうしたところ、無事併合14級という後遺障害等級を取ることができました。
驚いたのは示談交渉で、私の仕事の流れを朝から晩までヒアリングしてくださった後に、後遺障害等級を受けた部位との整合をしてくれて、実際どのような作業がしづらくなったかを丁寧に保険会社に説明してくださいました。
そうしたところ、私の等級は14級だったのですが、1つ上の13級と同水準での示談をすることができ、満足行く賠償金を受け取ることができました。
弁護士選びは大事だなと思った次第です。

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神奈川県60代男性 自営業 後遺障害等級14級(むち打ち)
車vs車

私は個人事業主でカラオケ店を営んでいました。
地元住民のみなさんに愛されていたお店だったと自負しています。
私一人でお店を切り盛りしていました。
追突事故に遭い、首や腰の調子が悪くなり、お客さんの対応が難しくなったことから、何十年も続けたお店を閉めざるを得なくなってしまいました。
ところが、私が確定申告をしていなかったものですから、保険会社の担当者さんから、資料が無いと休業損害は支払えませんよと言われてしまいます。
収入や生き甲斐を失った私は、弁護士さんにお願いをして、やれるところまでやってみることにしました。
小杉先生は、残っていたお店の資料を元に、事故前4年間の売上げの推移を月別に精査してくれて、部屋の入室状況、お客さん単価、曜日別の売上分析、時季ごろの売上分析、お酒やおつまみなどのメニューの仕入れや売上げ、第一興商への支払いなどを丁寧に立証してくれました。
そうしたところ、東京地方裁判所の裁判官は、休業損害として400万円以上を認めてくれました。
むち打ちの休業損害としては多く認めてくれたみたいで、小杉先生には感謝しております。

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北九州市50代女性 自営業 後遺障害等級14級(むち打ち)
自転車vs車

自転車で走っているところで車にはねられてしまい、むち打ちになってしまいました。
私は自営業をしておりますが、主人の名義でやっていましたので、休業損害は認められず、総額で140万円しか支払わないと言われてしまいます。
ただ、実際お店の運営をしていたのは私で、主人は名義だけでしたので、私が事故に遭ってお店が回らなくなってしまった分については賠償してもらわないと納得がいきませんでした。
話しやすかった小杉弁護士にお願いすることにして、示談交渉をしてもらいました。
帳簿などを見て、保険会社に色々言ってくれたようで、既に受け取っていた金額を除いて更に総額440万円以上もらえることになりました。
示談金額が大きく上がったので、驚きました。

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福岡県60代男性 会社役員 後遺障害等級14級(むち打ち)
車vs車

仕事中に追突事故にあり、むち打ちとなっていました。
ある弁護士さんにお願いして、後遺障害等級14級を取ってもらいましたが、なかなか連絡が取れないし、連絡がとれた時もかなり横柄な態度で、こちらの話を全然聞いてくれなかったので、他の弁護士さんを探すことにしました。
小杉弁護士は、話をよく聞いてくれて、今後の見通しの説明も明快だったので、小杉弁護士に依頼することに決めました。
私は会社役員でしたので、事前に決まっている役員報酬が毎月支給されるため事故後も減収はなかったのですが、小さい会社ですから、営業などの実働もすべて私が行っています。
休業損害は給料が減っていないと請求は難しいようなのですが、小杉弁護士は、私に対する丁寧な聴き取りをしてくれて、治療期間中に営業に出れずに契約件数などを把握してくれました。
このことを保険会社に言ってくれて、340万円以上の休業損害を勝ち取ってくれました。
その他、慰謝料なども多く取ってくれて、総額730万円で示談解決することができました。
感謝しております。

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佐賀市20代女性 大学生 後遺障害等級14級(むち打ち)
歩行者vs車

買い物を終え、ドラッグストア店舗前の駐車場内を歩いて帰ろうとしたところ、いきなり発車してきた車にはねられてしまいました。
加害者からは謝罪もなく、また、無保険であったため、賠償もしてもらえるのか不安な状況でした。
そこで、弁護士さんに探すことにして、小杉弁護士と出会い、お願いすることになりました。
加害者は不起訴処分となっていましたが、どうしても許せなかったので、小杉弁護士にお願いして告訴をしてもらいました。
小杉弁護士は捜査担当の検察官とも連絡を密にとってくれて、なんとか加害者に罰金刑が下ることになりました。
民事の方は、後遺障害等級を獲得してくれて、その後加害者に対して提訴をしてくれました。
事故後大学の試験や就職活動に影響が出たことなどを丁寧に立証してくれて、佐賀地方裁判所の裁判官に、裁判基準以上の慰謝料や逸失利益を認めてもらいました。
加害者からは直接回収は出来ませんでしたが、私の父の人身傷害保険から、判決で認められた金額の全額を払ってもらうことが出来ました。
尋問の練習も念入りにやってくださり、小杉弁護士には感謝しています。

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横浜市30代男性 会社員 後遺障害等級14級(環指末節骨開放骨折)
バイクvs車

バイクで走行していたところ、突然、駐車中の車の運転席ドアが開き、そのドアに衝突してしまいました。
薬指の骨を骨折してしまい、治療期間中も、うまく骨がくっつかなったことから、14級6号という後遺障害等級に該当することになりました。
今後も骨がくっつくことはないとお医者さんに言われてしまい、今後ずっと薬指が使いづらい状態が続くのかと嘆いていましたが、いざ示談交渉の場となると、保険会社は今後仕事がしづらくなることの賠償は3年間までしか認めないと言ってきました。
これでは納得がいかないので、示談ではなく裁判をしてもらうことにしました。
保険会社は3年までしか賠償を認めないという主張に加えて、私に2割の過失があるとも主張してきましたが、小杉弁護士と準備した尋問が成功し、今後仕事がしづらくなることの賠償は37年分認められ、過失も加害者が100%悪いという判決を獲得することができました。
既に治療費や休業損害などで400万円以上払ってもらっていたのですが、裁判をしてさらに700万円以上払ってもらうことになり、大満足な結果となりました。

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横浜市20代男性 無職 後遺障害等級14級(上腕骨剥離骨折)
バイクvs車

バイクで交差点を通過する際に、対向から右折してきた車にはねられ、上腕骨を剥離骨折してしまいました。
肩の痛みは残っていたのですが、骨もキレイにくっついていましたので、後遺障害等級には該当しないという結果になりました。
ただ、小杉弁護士より、一度異議申立てをしてみようと勧められ、先生にお任せしたところ、後遺障害等級14級を獲得できました。
示談交渉では、私は事故の時は仕事をしていなかったのですが、ハローワークに通って就職活動をしていたことなどを熱心に主張してくれたようで、200万円の休業損害を勝ち取ってくれました。
慰謝料などを含めると400万円以上での示談解決になりました。
小杉弁護士に依頼する前は、休業損害という言葉が保険会社から出ることはなかったので、プロにお願いしてよかったなと思っています。

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交通事故で請求できる損害 21

よくある質問

よくある質問

Q 症状固定の後の治療費は支払ってもらえないのですか?

Q 交通事故に遭ってしまいましたが、慰謝料はいくらもらえますか?

Q 加害者から一度も謝罪がありません。このことは慰謝料で考慮されるのでしょうか?

Q 保険会社の担当者の態度に、ストレスが溜まります。保険会社の担当者の態度の悪さは、慰謝料で考慮されるのでしょうか?

Q 家族が交通事故に遭い、私も精神的なショックを受けています。被害者家族の精神的な苦痛は賠償の対象にならないのでしょうか?

Q 交通事故に遭い経営するお店を休みにしてしますが、事業を継続するかどうか悩んでいます。事業を継続するとなった場合、休業中の家賃代などを払い続けなければいけなくなりますが、こうした費用は認められるのでしょうか?

Q 交通事故に遭ったときは無職だったのですが、交通事故さえなければ就職活動をしていて、いまは定職に就けていたと思います。私のような場合でも、休業損害などは認められるのでしょうか?

Q 交通事故で後遺症となってしまったのですが、今後の生活費は保険会社が面倒を見てくれるのでしょうか?

Q 交通事故でケガをしてしまい、身体が痛いので、タクシーで通院したいのですが、いいでしょうか?

Q 交通事故の後遺症で杖をついて生活しています。杖を新しく買い替える場合、その費用も都度払ってもらえるのでしょうか?

Q 交通事故で車の修理費が100万円近くかかるのですが、保険会社から時価額20万円しか払わないと言われていて納得ができません。愛着のある車だったので修理して乗りたいのですが、どうにかならないでしょうか?

Q 交通事故に遭い、車を修理したのですが、修理歴がついてしまったことによる評価損の請求がしたいです。可能でしょうか?

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。